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カープ名物ドライバー引退へ 名選手を支え、愛された40年

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↑広島の用具運搬係の前真澄さん
広島カープ一筋40年の名物ドライバーが、6月10~12日の仙台遠征をもって一線を退く。用具運搬係の前(まえ)真澄さん(65)だ。

 6トントラックに選手の用具を載せて遠征地に運ぶのが仕事。リーグ初優勝翌年の1976年から、片道12時間の東京―広島間を中心に幾度となく車を走らせてきた。

 遠征先の試合前練習では、自ら率先してノッカーにボールを渡すなど練習の手伝いもする。

 「球団からは“そんなことやらないでください”と言われたこともあるけど、遠征先は人手も足りない。じっとしているのも好きじゃないし」

 運搬だけにとどまらないチームを支える姿もあり、数々の選手、球団関係者から愛されてきた。5月31日のロッテ戦(QVCマリン)の試合前には、ニュース番組の取材で球場を訪れた前田智徳氏とも談笑。「今年の初め以来に会ったけど、“わし終わるぞ”と言ったら驚いていたよ」。山本浩二氏にも報告済みで、「長い間よくやってくれたね」とねぎらわれた。

 一番の思い出は、79年に大阪球場で行われた近鉄との日本シリーズ第7戦の「江夏の21球」を目の当たりにしたこと。「あれは興奮した」。このときを含め、遠征先で行われたビール掛けにも参加してきた。

 チームは91年を最後にリーグ優勝から遠ざかっているが、今年は優勝を狙える雰囲気を感じているという。

 「去年は優勝候補だなんて騒がれて、浮かれているような感じもあった。それで、あの結果(4位)だろ? 秋のキャンプから東出(打撃コーチ)が入ったりとコーチ陣も代わって、“やってやろう”という雰囲気を感じる。このままの状態が続けば、十分優勝はあると思う」

 広島の生え抜き現役選手が知らない「優勝するチームの空気」を数多く感じてきた生き字引として、太鼓判を押した。

 前さんには最後の大仕事が待っている。6月7~9日の旭川&札幌遠征だ。「広島から青森まで陸路で行って、フェリーに乗って、また陸路。だいたい24時間かかる。最後しっかりやらないと」と屈託のない笑みを浮かべた。

 決して体調を崩しているわけではないが、球団との話し合いの結果、年齢の関係もあり、今年初めに“引退”を決意。4月からは、後任の甥・洋央さん(34)と2人でトラックに乗り込んで遠征に出掛け、イズムを注入してきた。

 「今後も手伝いで遠征に行くことは、たまにはあると思う」と話すが、40年の現役生活にいったん終止符を打つレジェンド。餞別(せんべつ)代わりの25年ぶりVを心待ちにしている。

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