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イチローの盗塁哲学とは?

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↑4月29日にMLB通算500盗塁を達成したイチロー

「僕は成功率が半分とかばかな盗塁は基本的にしない。かなり確率が高いタイミングでしか行かない」

 MLB通算500盗塁を決めた4月29日(現地時間)の夜、そんな話をイチローはしたそうだ。 

 物理的にいって、二塁への盗塁の場合、投手が投球動作に入ってから捕手のミットに到達する時間と、捕手が二塁へ投げてボールが到達する時間を足したタイムよりも、自分のスピードが勝るなら盗塁は成功する。時間にして約3.3秒の攻防。モーションの早い投手で、捕手に届くまでの時間は1.1~1.2秒。マイナーリーグでは1.3秒を切るように教えられる。1.4秒を超えるようなら、イチローがスタートを切り、成功する確率が高くなる。

 投資の神様として知られるウォーレン・バフェットの名言の中に、「いったん交わした契約は反故にできないのだから、サインをする前に考慮すべきことはすべて考慮しておきなさい」(『史上最強の投資家バフェットの教訓――逆風の時でもお金を増やす125の知恵』)というものがあるが、走者もスタートを切れば、後戻りはできない。データを冷静に分析し、成功すると確信を得た上で、スタートを切る。

 それはイチローなりの盗塁哲学ともいえ、過去500盗塁以上を決めたのはイチローが38人目だが、81.4%という高い盗塁成功率は4番目(※盗塁死の記録が正確に残っていない選手は除く)に高く、この数字は紛れもなく彼の盗塁哲学を裏付けている。
城島が語った良いランナーの条件

 さて、冒頭のコメントを目にしたとき、過去のこんな話を思い出した。ちょうどイチローがメジャー通算200盗塁をマークした2006年のことだが、その年からチームメートになった城島健司が、こんな話をしていた。

「イチローさんに限らず、良いランナーというのは自分のスタートを2つも3つも持ってます」

 スタートを切る上で必要なのはタイミングの計り方。捕手として一塁走者の動きを注視してきた城島には、イチローら良いランナーは共通してリードをしながら常に3つのタイミングを正確に分類しようとしているように映るそうだ。

 その3つのタイミングとは……。

(1)ピッチャーとキャッチャー、自分の状況によって完全にセーフなタイミング
(2)あまりスタートはよくないけど、大丈夫だろうというタイミング
(3)行ってはいけないタイミング

 イチローの場合、1番目と2番目をさらに細分化して、さらにセーフの確率が高い場合のみ、スタートを切っているように映る。このタイミングで走れば、セーフなのか、アウトなのか。イチローは06年4月29日から5月16日まで45連続盗塁成功という連続盗塁成功記録のア・リーグ記録(メジャー記録はビンス・コールマンの50回)をつくったが、このメジャー記録などその予測能力に長けているからこその結果ではないか。

 城島から見ればまた、イチローはこうした資質を持ち合わせているという。

「イチローさんっていうのは、行かない勇気を持ってます」

 どういうことか。城島はこう説明した。

「キャッチャーから見て、行かない勇気を持っている(イチローのような)ランナーは、常に合わせておきながら行かない。逆に行かれたら、もう刺せるタイミングじゃない。良いランナーは共通してそういうものを持っています」

早々と完成していた盗塁技術

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↑技術とともに、どのタイミングで盗塁をするかの判断が高い盗塁成功率につながっている[写真は2006年時]

イチローは、慎重にタイミングを計る。行けるタイミングでも、さらに万全を期す。これ以上はないタイミングまでじっと待つ。リスクが限りなく低くなったところで、スタートを切る。必然、成功の確率が高くなる。対照的に行く勇気しか持っていないランナーは、「意外と盗塁のアウトも多いですし、けん制のアウトも非常に多いと思う」そうだ。

 おそらくイチローがすべて単独で走っていたなら、盗塁成功率90%は確実に超えているのではないか。ところがイチローの場合、必ずしもそうはいかない。走って欲しい場面、例えば得点圏に進んで欲しい場面などではベンチからサインも出る。その場合、少なからずリスクが生じる。約20%の失敗は、そういうところから生まれたものなのかもしれない。

 もちろん、イチローの盗塁は技術に裏打ちされた面も大きい。

 05年から07年の7月までマリナーズの監督を務めたマイク・ハーグローブがかつて、こんなことを言っていた。

「ケニー・ロフトン(ハーグローブがインディアンズの監督時代の1番打者、通算622盗塁)は、スタートのタイミングとかそういうことではなく、スピードでバッテリーをねじ伏せていた。一方、イチローには技術がある。スタートの切り方、リードの取り方、帰塁の仕方。それらすべてが洗練されたスマートなランナーだ」

 イチロー自身、過去に「僕より足の速い選手はこちらでは珍しくない」と話したこともある。それを補ったのは、先ほど触れた行かない勇気であり、高度な技術か。そしてそれは、メジャー200盗塁の時点で完成していた。あのとき、まだまだ盗塁技術は伸ばせるという意識はあるかと聞かれ、イチローは迷わず答えている。

「盗塁に関して? ないですね」

 メジャー6年目、プロキャリア15年目の初夏のことだった。

my message
まさに天才、ここにあり。
まだまだ新しい未知の記録を作ってくれそうですし、40歳になってもあの活躍は本当に素晴らしい事なのでもっと活躍をみたいですね。
イチローの記録は誰にも抜けないような記録ばかりで本当に日本が誇る、日本人メジャーリーガーですね。
頑張ろう。イチロー。
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