「新日本プロレスワールド」加入者数大幅アップの要因となった1月4日、東京ドーム大会でのクリス・ジェリコとケニー・オメガの激闘
たくさんのプロレスファンが金曜夜8時の、あの興奮をくっきりと覚えていた。
27日に行われたテレビ朝日・角南源五社長(61)の定例会見。席上、総合ビジネス担当の平城隆司常務(57)から同局と新日本プロレス(新日)が共同で運営するインターネットテレビ局「新日本プロレスワールド」について「新日の米国での今月25、26日の興行もチケット即完売という大好評で迎えられ、3月に入っての加入者が5000人を超えました。その6割が米国始め海外からの加入者です」という景気のいい発表があった。
「プロレスワールド」の会員数は昨年12月末、一気に4割増加して注目を集めた。要因は1月4日に行われた新日プロ最大の大会「WRESTLE KINGDOM12」。ここ7年で最多の3万4995人の大観衆が東京ドームに詰めかけた大会をネットライブ中継で見るために1月の新規会員の8割が海外から、そのうち6割が米国からの加入者という人気を呼んだ。
1・4のWメインイベントとなったIWGPヘビー級戦、オカダ・カズチカ(30)VS内藤哲也(35)戦以上に話題となったのが、IWGP USヘビー級戦でケニー・オメガ(34)に挑戦した米トップ団体・WWEのスーパースター・クリス・ジェリコ(47)の登場。トップスターとして全米での高い人気を誇るジェリコの参戦が会員数4割増の直接的な要因と見られた。
紙面ではプロレスの記事を掲載していない「スポーツ報知」だが、自社webでは新日中心にビッグマッチを取り上げている。90年代、WAR時代の天龍源一郎(68)の新日殴り込み、高田延彦(55)のUインター、前田日明(59)のリングスなど中心に取材していた私も“昔取った杵柄(きねづか)”と言ったらいいのか、今、新日の試合中心に取材している。
プ女子(プロレスファンの女性)という言葉こそ使い古された観があるが、今の新日リングは本当に熱い。IWGPヘビー級王座10連覇中の「レインメーカー」オカダ、多くのファンがそのTシャツを着て会場に押し寄せる大人気ユニット「ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン」を率いる内藤、最近は故障がちだが、まだまだNO1人気を誇る「100年に1人の逸材」棚橋弘至(41)、フリーながら絶大な人気を誇り、今年の新日本格参戦を表明している「ゴールデン☆スター」飯伏幸太(35)と、今が旬のレスラーが目白押し。
東京・後楽園ホールに両国国技館、そして東京ドームと常に満員札止めが続く人気ぶりを日々、肌で感じていただけに「プロレスワールド」で海外にも広がる新日人気がうれしかった。
喜びついでに、テレ朝トップにどうしても聞きたくなった質問があった。年度末の会見となった、この日、タイミングがいいことに同局のCEO(最高経営責任者)である早河洋会長(74)が半年に1回の出席。だから、前のめり気味に聞いた。
「『プロレスワールド』の会員数激増が証明するように新日人気は本物です。現在、地上波では土曜深夜の『ワールドプロレスリング』の放送時間繰り上げの考えはありませんか?」
そう、テレビ朝日はNET時代の1969年、プロレス中継を開始。2013年4月には放送40周年を祝った老舗中の老舗だ。金曜午後8時というまさに“ゴールデン”な放送時間を舞台に70年代にはアントニオ猪木、80年代には初代タイガーマスク(佐山聡)というドル箱を擁し、視聴率20%超えが当たり前。実況アナウンサーから古舘伊知郎氏(63)というスターまで生み出した。
しかし、87年3月に生中継を終了。93年4月からは毎週土曜の午前2時からの30分間、それも録画放送という形に落ち着いている。3月の同番組の平均視聴率も1~2%で推移しているのが現実だ。
それでも「ゴールデン帯(午後7時から10時)での生中継が見たい」―。そんな一ファンとしての思いから、早河会長への質問が口から飛び出してしまった。
早河会長は「伸びている理由の一つはアメリカでの展開です。アメリカ進出が奏功しているとは思う」。そう冷静に分析した上で「新日の正月興行は3万人以上集めるほど、コアなファンがいる。そういう人たちが確認視聴したりするし、今、(オカダら)それなりのスターも生まれている。そういう人への関心もあると思う。力道山、ルー・テーズの頃(の人気)までは行っていないが、コアなファンに支えられているだけに今後、新たな展開も考えられると思います」と、ほほ笑みながら答えた。
「新たな展開」という言葉が心に響き、「おっ、これはさらなる人気上昇さえあれば、ゴールデン復活もあるかも」―。そんな思いがこみ上げた。だから、すぐに速報記事を書いて、報知webにアップした。すると、多くのプロレスファンからの熱いコメントが殺到した。
「放送時間の早急な繰り上げは望めないだろうけど、まずは(現在の)30分間の放送枠を1時間にして欲しい。そうしたら、1試合堪能できる」
「つまらないバラエティー番組を放送するより、今の新日の方が視聴率が取れると思う」
「今の放送を録画して見ているけど、生放送でハラハラしながら見られたら最高」
「生中継の放送終了ぎりぎりにオカダの(必殺技)レインメーカーが決まったりしたら、胸が熱くなり過ぎる」
届いたのはファンのゴールデン復活待望論の数々。深夜2時とは言え、1~2%で推移する平均視聴率の現状からは地上波で即ゴールデンというのは夢物語かも知れない。ただ、早河会長も口にした力道山時代に街頭テレビに殺到した人々の幸せそうな顔の数々を白黒映像で見るたびに「こんな幸せな時間が戻ってきたっていいのでは…」。そんなことを、ずっと思ってきた。だから、ゴールデンに戻ってこい、新日! そう願う熟年プロレスファンが、ここにいる。それは私だ。(記者コラム・中村 健吾)
たくさんのプロレスファンが金曜夜8時の、あの興奮をくっきりと覚えていた。
27日に行われたテレビ朝日・角南源五社長(61)の定例会見。席上、総合ビジネス担当の平城隆司常務(57)から同局と新日本プロレス(新日)が共同で運営するインターネットテレビ局「新日本プロレスワールド」について「新日の米国での今月25、26日の興行もチケット即完売という大好評で迎えられ、3月に入っての加入者が5000人を超えました。その6割が米国始め海外からの加入者です」という景気のいい発表があった。
「プロレスワールド」の会員数は昨年12月末、一気に4割増加して注目を集めた。要因は1月4日に行われた新日プロ最大の大会「WRESTLE KINGDOM12」。ここ7年で最多の3万4995人の大観衆が東京ドームに詰めかけた大会をネットライブ中継で見るために1月の新規会員の8割が海外から、そのうち6割が米国からの加入者という人気を呼んだ。
1・4のWメインイベントとなったIWGPヘビー級戦、オカダ・カズチカ(30)VS内藤哲也(35)戦以上に話題となったのが、IWGP USヘビー級戦でケニー・オメガ(34)に挑戦した米トップ団体・WWEのスーパースター・クリス・ジェリコ(47)の登場。トップスターとして全米での高い人気を誇るジェリコの参戦が会員数4割増の直接的な要因と見られた。
紙面ではプロレスの記事を掲載していない「スポーツ報知」だが、自社webでは新日中心にビッグマッチを取り上げている。90年代、WAR時代の天龍源一郎(68)の新日殴り込み、高田延彦(55)のUインター、前田日明(59)のリングスなど中心に取材していた私も“昔取った杵柄(きねづか)”と言ったらいいのか、今、新日の試合中心に取材している。
プ女子(プロレスファンの女性)という言葉こそ使い古された観があるが、今の新日リングは本当に熱い。IWGPヘビー級王座10連覇中の「レインメーカー」オカダ、多くのファンがそのTシャツを着て会場に押し寄せる大人気ユニット「ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン」を率いる内藤、最近は故障がちだが、まだまだNO1人気を誇る「100年に1人の逸材」棚橋弘至(41)、フリーながら絶大な人気を誇り、今年の新日本格参戦を表明している「ゴールデン☆スター」飯伏幸太(35)と、今が旬のレスラーが目白押し。
東京・後楽園ホールに両国国技館、そして東京ドームと常に満員札止めが続く人気ぶりを日々、肌で感じていただけに「プロレスワールド」で海外にも広がる新日人気がうれしかった。
喜びついでに、テレ朝トップにどうしても聞きたくなった質問があった。年度末の会見となった、この日、タイミングがいいことに同局のCEO(最高経営責任者)である早河洋会長(74)が半年に1回の出席。だから、前のめり気味に聞いた。
「『プロレスワールド』の会員数激増が証明するように新日人気は本物です。現在、地上波では土曜深夜の『ワールドプロレスリング』の放送時間繰り上げの考えはありませんか?」
そう、テレビ朝日はNET時代の1969年、プロレス中継を開始。2013年4月には放送40周年を祝った老舗中の老舗だ。金曜午後8時というまさに“ゴールデン”な放送時間を舞台に70年代にはアントニオ猪木、80年代には初代タイガーマスク(佐山聡)というドル箱を擁し、視聴率20%超えが当たり前。実況アナウンサーから古舘伊知郎氏(63)というスターまで生み出した。
しかし、87年3月に生中継を終了。93年4月からは毎週土曜の午前2時からの30分間、それも録画放送という形に落ち着いている。3月の同番組の平均視聴率も1~2%で推移しているのが現実だ。
それでも「ゴールデン帯(午後7時から10時)での生中継が見たい」―。そんな一ファンとしての思いから、早河会長への質問が口から飛び出してしまった。
早河会長は「伸びている理由の一つはアメリカでの展開です。アメリカ進出が奏功しているとは思う」。そう冷静に分析した上で「新日の正月興行は3万人以上集めるほど、コアなファンがいる。そういう人たちが確認視聴したりするし、今、(オカダら)それなりのスターも生まれている。そういう人への関心もあると思う。力道山、ルー・テーズの頃(の人気)までは行っていないが、コアなファンに支えられているだけに今後、新たな展開も考えられると思います」と、ほほ笑みながら答えた。
「新たな展開」という言葉が心に響き、「おっ、これはさらなる人気上昇さえあれば、ゴールデン復活もあるかも」―。そんな思いがこみ上げた。だから、すぐに速報記事を書いて、報知webにアップした。すると、多くのプロレスファンからの熱いコメントが殺到した。
「放送時間の早急な繰り上げは望めないだろうけど、まずは(現在の)30分間の放送枠を1時間にして欲しい。そうしたら、1試合堪能できる」
「つまらないバラエティー番組を放送するより、今の新日の方が視聴率が取れると思う」
「今の放送を録画して見ているけど、生放送でハラハラしながら見られたら最高」
「生中継の放送終了ぎりぎりにオカダの(必殺技)レインメーカーが決まったりしたら、胸が熱くなり過ぎる」
届いたのはファンのゴールデン復活待望論の数々。深夜2時とは言え、1~2%で推移する平均視聴率の現状からは地上波で即ゴールデンというのは夢物語かも知れない。ただ、早河会長も口にした力道山時代に街頭テレビに殺到した人々の幸せそうな顔の数々を白黒映像で見るたびに「こんな幸せな時間が戻ってきたっていいのでは…」。そんなことを、ずっと思ってきた。だから、ゴールデンに戻ってこい、新日! そう願う熟年プロレスファンが、ここにいる。それは私だ。(記者コラム・中村 健吾)