「ほぼ丸刈り」姿で目を潤ませ会見に臨んだ中川俊直衆院議員
日本には、謝罪や深い反省の意味を示すものとして頭を丸刈りにする“伝統”がある。記憶に残っているところでは、AKB48の峯岸みなみが男性アーティストとの「お泊まり報道」後、動画サイト「YouTube」に登場した時の衝撃的な姿。ほかにも、過去に芸能人やスポーツ選手、政治家らが様々な理由で頭を丸めた様子は、弊紙の紙面を飾ってきた。
人間の心の中は読めない。それゆえ、丸刈りにするという外見の大きな変化は、態度で示したという意味で実に分かりやすい反省の方法だ。もちろん、それが必ずしも正しいかといえば、そうではない。
そこで、週刊誌で報じられた「重婚疑惑」などの女性問題について7月29日に謝罪会見を行った中川俊直衆院議員。紙面では「ほぼ丸刈りとなった中川氏は―」と書いた。「ほぼ」と付けたのは写真を見ても分かる通り、問題発生前と比較して髪をバッサリいっているものの、頭の上部を少しだけ長くしたスタイル。言ってみれば「おしゃれボウズ」なのだ。
残念ながら会見で髪を短くした理由を聞くことはできず「単に夏だから思い切って短くしてみました」なのかもしれない。ただ、その可能性はほとんどないだろう。会見の数日前にテレビ局の直撃を受けていた際にも短髪だったが、当日はそれよりも更に短くしていた。本人は「反省の意味を込めた丸刈り」を意図したと推測している。
謝罪会見が行われた会場に入る中川氏の姿を目にした瞬間の、私の第一印象は「あ、やっちゃったな」だった。身だしなみさえしっかりしていれば、髪はそのままでもよかった。中途半端な坊主頭は、逆に「とりあえず、反省しているポーズを取ってみました」と思わせるのではないかと。実際、私もそう受け取った。
果たして、後援会の会合後に行われた会見は予想通りの結果に。もっとも、裏切られた形の中川氏の夫人には何の罪もないが「最近、ようやく(夫人と)手をつなげるようになった」や、不倫相手がウェディングドレスを着て撮った写真に「要望がかなえられてよかった」という、集まった取材陣から失笑が漏れるような発言内容もどうかと思ったが…。
報道で会見の模様を知った人たちの大半も「本当に反省してるの?」と感じただろう。昨年から不倫が世間を騒がせ、数々の謝罪会見が行われてきたが、その中でも、見た目から“残念な”会見だったのではないだろうか。(記者コラム・高柳 哲人)