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ベテランカメラマンだけが感じ取った釈明会見での斉藤由貴の「魔性」?

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↑3日の緊急会見にラフなワンピースにボサボサの髪で登場した斉藤由貴

 数々の俳優、スポーツ選手をファインダー越しに捕らえ続けてきたベテランカメラマンの目線はさすがに鋭いな―。そんなことを3日夜の取材で感じた。

 同日発売の「週刊文春」で横浜市在住の50代の開業医の男性とのダブル不倫疑惑を報じられた斉藤由貴(50)。渦中の女優が都内のビル11階の会議室で緊急会見を開くとあって、先輩カメラマンと駆けつけた。

 直前まで出演ドラマ「カンナさーん!」のロケに参加していたため、斉藤の入室は予定時間から15分遅れ。純白のロングワンピースで登場し、「15分もお待たせしてしまいまして、すみません」。深々と頭を下げる姿は80年代のヒット曲「卒業」、主演ドラマ「スケバン刑事」以来、ずっと目にしてきたアイドル女優そのものだった。

 しかし、会見自体は要領を得ない内容に終始。男性との関係について「家族がみんな、お世話になっているお医者さん。(男女の関係とか)そういうことではない」と改めて不倫関係を否定する一方で、相手に好意があることこそ認めたが、「え~と」「あの~」「記憶にない」を約20回繰り返すなど、しどろもどろな内容だった。

 その場から送る速報原稿を提稿し終わり、社へと引き上げる途中、先輩カメラマンに思わずつぶやいてしまった。「謝罪でもなく釈明も仕切れていない…。とらえどころのない会見でしたね」。

 すると、先輩は「いや、あの服が気になったんだよね。釈明会見とは思えないワンピースに胸元もかなり開けていただろ。あの見た目はちょっと違うんじゃないか。スタイリストは何してたんだろ」

 確かにロケ現場から駆けつけた斉藤は本人も「昨日、今日とロケが続いて家にも帰っていません。着たきりすずめです」と吐露。私服に近いワンピースに後ろでまとめた髪も本人いわく「ぼさぼさで恥ずかしい」状態。トップ女優とは思えない“無防備な”外見でテレビカメラ14台、約140人の取材陣の前に24分39秒間、立ち続けた。

 だが、一見、無防備に見えるその装いが“計算”だとしたら―。私が気づく、ずっと前に斉藤の左手薬指に指輪がないことに気づき、写真も送信済みだった“鋭い”先輩の一言で、そんな邪推が頭に浮かんだ。そうだ。そもそも斉藤由貴は「魔性の女」と呼ばれたこともあったんだったと…。

 ここ1年、不倫報道を受け、釈明会見をした俳優は数多い。渡辺謙、中村芝翫(当時・橋之助)、三遊亭円楽。誰もがダーク・スーツに身を包んでいた。そう、男たちはスーツという“戦闘服”で殺到する質問から身を守るっているかのように見えた。

 実は、か弱い男たちがスーツで身を守る一方で「そのままの姿」で登場した斉藤。カメラマンのファインダー越しの視線は、そこにある種の“不自然さ”を感じ取っていた。

 そもそも今回の会見は、渡辺らのケースで見られた主役の周囲をリポーター、記者らが取り囲む囲み形式ではなく、上手にただ一人、マイクを持って立った斉藤に対し、約5メートルの距離を置いて正対するリポーター陣が質問するという形。マイクも一人が質問したら、次の質問者に回すという形式を取ったため、畳みかけるように質問することが不可能になった。渡辺の会見で「世界のワタナベ・ケンも一人の男なんですね」など、鋭すぎる質問を飛ばした女性リポーターも出席していたが、その舌鋒はやや抑えめだった。

 会見場の設定は老舗所属事務所の看板女優を守るための完璧な仕切りによるものだが、斉藤自身もうるんだ目で一人一人の質問者の目をきちんと見つめて答え続けた。

 勝手な想像だが、その思いは私はこんなに無防備です。全てをさらけ出して答えていますか―。「目は口ほどに物を言い」いや、この場合は「装いは口ほどに物を言い」。ベテラン女優のロケ現場から直行の生成りの装いが取材陣の「本音を聞き出すぞ」という勢いを見事にそぎ落とした部分はなかっただろうか。

 ふと振り返れば、斉藤が頭を下げたのは冒頭の15分の遅れを謝罪した部分のみ。もちろん、不倫関係を完全否定したわけで、その他の部分での謝罪の必要は一つもない。それでも、どこか、ベテラン女優の手に平の上で踊らされた24分39秒だった感が否めない。

 最後の最後、91年の故・尾崎豊さん、93年の川崎麻世との不倫騒動に続く釈明会見となった斉藤に取材陣から「3度目の不倫報道ですが、こうした騒ぎから『卒業』できそうですか」という往年のヒット曲の題名を盛り込んだ質問が飛んだ。

 数秒、絶句した後、「気の利いたことを言った方がいいんでしょうが、そういう場じゃないし」とつぶやいた後、質問者をじっと見つめながら「そういうことを聞かれるってことが…」と言葉を続けようとした斉藤。その瞬間、隣にいた事務所の社員に肩を抱かれ、会見場から連れ出される形となったが、その時だけ「計算ではない」生身の斉藤の姿が垣間見えた気がした。その言葉の先が聞きたかった。(記者コラム・中村 健吾)

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