◆日本ハム１―８西武（３１日・札幌ドーム）
西武の菊池が７回１失点の好投で、球団の左腕の開幕投手としては１９８８年の工藤公康以来となる白星を手にした。花巻東高の後輩・大谷には２安打を許したが、昨年の日本一軍団を１５０キロ超の速球を軸に封じ込め、辻新監督に初勝利をプレゼントした。
投手として完璧な攻めだった。初回１死一塁。菊池は、花巻東高の後輩、３番・大谷に真っ向勝負を挑んだ。１ストライクから３球続けた直球で内角を突いて追い込み、最後は外角低めでワンバウンドする１３５キロのスライダー。空振り三振に斬った。７回４安打１失点で辻西武の初陣を飾り、「初日に勝つというのは気持ちが楽になる。ホッとしてます」。昨季の日本一チームをねじ伏せ、球団左腕の開幕投手では８８年の工藤公康以来となる白星を挙げた。
５回に市川に左越えソロを浴びたが、大谷との力勝負は札幌Ｄを熱くさせた。第２、３打席は内角を突いた直球を右翼へ運ばれて苦笑い。「ちょっと甘く入ったらアジャストしてくる。もっと自分自身のレベルを上げないといけない。改めてすごい打者だと思ったし、もっと対策を練らないといけない」と素直に反省した。
春季キャンプ序盤に指揮官から開幕投手に指名され、万全の状態で迎えた２年連続の大役。昨年の開幕戦、チームはサヨナラ勝ちしたが、自身は６回２失点で勝ち負けは付かず。今年に懸ける思いは強かった。３月２８日に行われた選手陣決起集会では、代表のあいさつに立って決意を語った。
「自分を含めてほとんどの選手が優勝を経験出来ていない。調子が良い時も悪い時も、チーム一丸となって戦っていきましょう。３年連続Ｂクラスに終わっていますが、今年は優勝して、またおいしいお酒を飲みましょう」。重圧を力に変えて、全力で左腕を振った。
スタンドには昨年６月に結婚したフリーアナウンサーの妻・深津瑠美（３０）や親族、関係者が１００人以上駆けつけた。米大リーグのスカウトも熱視線を送る前での力投を、指揮官は「緊張もある中で上出来。よく頑張った」と評価した。「来週にはソフトバンク戦がある。１回も勝てていないので、克服していく一年にしたい」と菊池。１年前に届かなかった白星をつかみ、最高のスタートを切った。