◆巨人６―２中日（３１日・東京ドーム）
プロ野球がセ・パ同時に開幕。巨人が中日に快勝して球団最長タイとなる５年連続の白星スタートを切った。坂本勇は１号２ランを放ち、４回には頭脳的な守備でピンチの芽を摘むなど、攻守にけん引した。
ダイナミックなフルスイングから試合を決める一発が飛び出した。第１９代主将・坂本勇が、決意の一撃を右翼席へ放り込んだ。地鳴りのような大歓声。心地良い感触に包まれ、悠然とベースを駆け抜けた。二塁の手前では「ヨッシャー！ オラァ！」と雄たけび。喜びを爆発させた。
２点リードの５回１死一塁、大野の外角低めの直球を逆方向へ運んだ。軸足にパワーをため込み、一気に振り抜く。白球はバックスピンがかかり、大きな弧を描いてスタンドに届いた。「オープン戦からずっとホームランが打ててなかったので、心配していたんですけど、開幕戦で出てくれて良かったです」。不安を払拭する１号２ラン。午後７時２８分、阿部に続く今季１２球団通じて２本目のアーチだ。自身の開幕戦弾は１４年の阪神戦（東京Ｄ）以来、２本目。由伸監督も「（５回に２点を）取られた後だったので本当に大きな一発だったし、勇人もさすがだね」と褒めちぎった。
ＷＢＣでは本大会６試合に出場しチーム２位の打率４割１分７厘と打ちまくったが、大会直前の強化・壮行試合５試合では１８打数４安打、打率２割２分２厘と不調に陥った。山田、筒香ら一発を打てる打者が大勢いる中、つなぐ意識が強すぎたため、縮こまったフォームになっていたことを侍の稲葉打撃コーチに指摘された。「軸足にタメをつくって、とにかく強く振れ」と助言をもらい、復調。勢いを保ったまま開幕を迎えられた。
守備でもクレバーなプレーを披露した。４回無死一塁、ビシエドの打球が二塁後方に上がった。瞬時にビシエドの緩慢な走塁や走者が一塁付近にいることなどを確認。わざと目の前にワンバウンドさせて中井へ転送。「遊―二―一」の併殺を完成させた。
走っても魅せた。７回１死一、二塁、二塁走者としてジョーダンのクセを見抜いて三盗を決めた。普段はクールな男が、ド派手なガッツポーズを決めた。試合前のミーティングでは「ジャイアンツは一番伝統のある球団なので、そのユニホームを着てプレーできることに誇りを持って感謝しながら監督を胴上げできるようにやっていきましょう」と呼びかけた。１５年の主将就任以来、チームは優勝していない。お立ち台では「監督を男にしたい」と絶叫。リーダーとしての自覚を走攻守全てのプレーで体現した、最高のオープニングゲームとなった。