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【巨人】17年目で初開幕弾・阿部、4番奪取を決意した由伸監督との食事

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↑ジャビットとVサインの阿部

 ◆巨人6―2中日(31日・東京ドーム)

 プロ野球がセ・パ同時に開幕。巨人が中日に快勝して球団最長タイとなる5年連続の白星スタートを切った。阿部が初回にプロ17年目で開幕戦初アーチとなる2ラン、3回にも適時打を放ち、4番の仕事を果たした。坂本勇も1号2ランを放ち、4回には頭脳的な守備でピンチの芽を摘むなど、攻守にけん引。7回2失点のマイコラスからマシソン、カミネロとつなぐ史上初の外国人リレーによる開幕戦勝利も決まった。

 両手をバチンとたたくと、阿部は腹の底から雄たけびを上げた。打球は、右中間席へ飛び込んだ。

 「追い込まれちゃったから、このへん(ストライクゾーン)は全部打つつもりでした。少し体勢は崩されましたが、(バットの)芯でとらえられたし、角度もよかったので『行ったかも』と思いました」

 両軍無得点の初回2死二塁。大野の外角フォークを、最後は右腕一本ですくい上げた。午後6時20分、プロ17年目にして初となる開幕弾は、12球団今季一番乗りのアーチとなった。巨人の4番が開幕戦の第1打席で本塁打を放つのは、89年の原辰徳以来28年ぶりだ。

 どうしても打ちたかった。グアム自主トレを打ち上げて帰国した直後の1月下旬。高橋監督から食事に誘われた。同じ内野にマギーが加入することになり、起用法に関する話と覚悟していたが、違った。

 「雑談といったらアレだけど、野球の話はほとんどしなかった。俺の悩みや愚痴も聞いてもらったし、監督も、俺らの見えないところでたくさん苦労しているんだと知った。気を使ってくれたんだろうけど、昔みたいで懐かしかったな」

 やるべきことがはっきりした。「俺がしっかりすれば、監督に余計なエネルギーを使わせないで済む」。4番と一塁のポジションを奪い取ると誓った。キャンプでは連日、若手と一緒に早出練習。沖縄では、韓国のプロ野球チームが9時間かけて打撃練習していると聞きつけると、参考になることはないかと、休養日を使って見学に行った。

 昨季は右肩痛で出遅れ、由伸巨人の初陣はテレビで観戦していた。あれから1年。「ダイナミック・ベースボール」で日本一奪回を目指す高橋監督は、試合前のミーティングで「今日から始まるという強い気持ちを一年間、忘れないようにしよう。目の前のワンプレーのために最善を尽くす。それが勝ちにつながる」と強い言葉でナインに訴えかけた。「監督も2年目で、意気込みを感じた」と阿部。3回2死一、二塁では中前適時打。指揮官がつくり上げた一体感にバットで応えた。

 チームは5年連続で開幕戦を勝った。坂本が新リーダーとして成長し、中井や岡本らの台頭で“新化”しつつあるが、背番号10がいてこそチームは引き締まるというもの。高橋監督も「本当に信頼して4番を任せたし、その期待に応えてくれたというか、やっぱりさすが」とうれしそうだった。今年も阿部が、ぶっとい柱であることに変わりはない。

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