↑トークショーでマエケン
体操を披露したドジャース・前田
去就に不安を抱えていた1年前と表情がまるで違っていた。12月9、10日。ドジャースの前田健太投手(28)が、大阪、広島でイベントに登場した。明るい顔つきで「日本に帰ってきた時点でリフレッシュしています」。メジャー1年目から16勝。堂々の凱旋(がいせん)だった。
PL学園高からドラ1入団、広島、日本のエースから米国へ―。順風満帆なエリート街道に映るが、11年から前田を取材してきて、根底にあるのは「見返す」「やり返す」の気持ちだ。少年時代は「やられたらやり返すまで帰って来るな」と厳しく育てられて成長。広島時代も「この世界は見返すことができる」と反骨心を力に変えてきた。
メジャーでもマイナスのスタートをバネにした。入団前にコンディションを不安視され、契約できるかさえわからない「人生最大」の不安に陥った。ド軍との交渉で年俸のベースはメジャー平均より安く抑えられたが、ほぼ満額で出来高をクリアし、総額は1290万ドル(約14億8350万円)。大方の予想を覆してみせた。
来季はさらに進化するはずだ。先発投手の指針とされ、6回以上を自責点3以内に抑えるクオリティースタート。昨季の89・7%が43・8%に下降。ポストシーズンを含めたシーズン最後の5登板はすべて4回以内で降板したが、同じことは繰り返さない。
「新しいものを取り入れて、前に進むことが成長につながっている」。ゴロを打たせるため、今オフは変化の小さいカットボールの習得やツーシームの改良など挑戦も試みている。
野球以外でも刺激を受け続けている。「練習も大事ですけど、オフもいろいろ経験したい」の信条を持ち、例年はバラエティー番組への出演や異なるジャンルとの交流にも前向き。本業の糧にしてきた。
今季の開幕直前のことだ。アナハイムへ向かう道中、活躍したらオフに出演したい番組を聞いた。私が推したのはテレビ朝日系「徹子の部屋」。レジェンドにトークで挑む姿を見たかったのだが…。考えた末に、本人の答えは同局の「金曜★ロンドンハーツ」。こちらの新たな挑戦が実現するかも楽しみにしている。(記者コラム・田島 正登)