↑東大・宮台康平
いつの間にか「あの人は今」になってしまった。来秋ドラフト候補左腕の東大・宮台康平(3年)である。今春リーグ戦では立大戦での完封勝利を含む2勝(4敗)、防御率2・05をマークして、東大史上2人目の大学日本代表入り。優勝をかけて先発した日米大学野球選手権の第3戦(神宮)は、3回途中1失点降板も自己最速更新の150キロをたたき出した。
こうなるとアマチュア野球担当記者はお祭り騒ぎだった。「秀才左腕」どころか「赤門最強エース!」と持ち上げ、東大の2002年秋以来のとなる勝ち点奪取は目前と、期待を膨らませていた。だが今秋は左肩の違和感に悩まされ、救援でわずか1登板。現在は完全復活を目指して、肩への負担の少ないフォーム改良に取り組んでいると聞いたが、「チームの勝敗を考えたら投げるべきで申し訳ない…」という悔しさをバネにしていることだろう。
しかし改めて思うのが、宮台康平という存在の“貢献度”である。11月26日に行われた社会人・JR東日本との年内最後の練習試合後、新主将の山田大成内野手(3年)は「一番信頼しているピッチャー」と前置きした上で、「毎カード、勝ち点を争えるチームにしたい。宮台が抜けても勝てるチーム力をつけないといけない」と真剣な表情で訴えていた。東大の年間4勝のうち、宮台が先発したのは2試合。宮台の力は絶対に必要だが、自分たちだってエース抜きでも勝ってきた―。悔しいぐらい飛び抜けた存在が、野手陣を奮起させているのは間違いない。
実は最近、スーパースターが打線を変えたという好例があった。今秋の首都大学リーグ初優勝から、明治神宮大会準Vまで駆け上がった桜美林大だ。ロッテのドラフト1位右腕・佐々木千隼(4年)は、今年のチーム公式戦17先発で14完投と文字通り大車輪の活躍。それに引っ張られるように、打線は春の1試合平均2・6点から秋は3・7点にまで、得点力が上がったことも見逃せない。
その明治神宮大会で2発を放った大平達樹捕手(3年)は、「夏のオープン戦から得点は3点以上。できなかったら練習で振り込む、と決めてやってきた」と明かした。春はエースが完投しながら、0―1で見殺しにした敗戦は3試合もあった。「俺たちがやらなければ」と目の色を変えた結果、桜美林大は新たな歴史の扉を開けたのだ。
来春に向けて東大・浜田一志監督(52)は「打は田口(耕三)が中心で、宮台が投の中心というのは変わらない」と断言する。リーグ戦通算2発をマークした4番打者のほか、「君の名は。」というようなニューヒーローの誕生を期待する次第だ。(記者コラム・坂本 達洋)
いつの間にか「あの人は今」になってしまった。来秋ドラフト候補左腕の東大・宮台康平(3年)である。今春リーグ戦では立大戦での完封勝利を含む2勝(4敗)、防御率2・05をマークして、東大史上2人目の大学日本代表入り。優勝をかけて先発した日米大学野球選手権の第3戦(神宮)は、3回途中1失点降板も自己最速更新の150キロをたたき出した。
こうなるとアマチュア野球担当記者はお祭り騒ぎだった。「秀才左腕」どころか「赤門最強エース!」と持ち上げ、東大の2002年秋以来のとなる勝ち点奪取は目前と、期待を膨らませていた。だが今秋は左肩の違和感に悩まされ、救援でわずか1登板。現在は完全復活を目指して、肩への負担の少ないフォーム改良に取り組んでいると聞いたが、「チームの勝敗を考えたら投げるべきで申し訳ない…」という悔しさをバネにしていることだろう。
しかし改めて思うのが、宮台康平という存在の“貢献度”である。11月26日に行われた社会人・JR東日本との年内最後の練習試合後、新主将の山田大成内野手(3年)は「一番信頼しているピッチャー」と前置きした上で、「毎カード、勝ち点を争えるチームにしたい。宮台が抜けても勝てるチーム力をつけないといけない」と真剣な表情で訴えていた。東大の年間4勝のうち、宮台が先発したのは2試合。宮台の力は絶対に必要だが、自分たちだってエース抜きでも勝ってきた―。悔しいぐらい飛び抜けた存在が、野手陣を奮起させているのは間違いない。
実は最近、スーパースターが打線を変えたという好例があった。今秋の首都大学リーグ初優勝から、明治神宮大会準Vまで駆け上がった桜美林大だ。ロッテのドラフト1位右腕・佐々木千隼(4年)は、今年のチーム公式戦17先発で14完投と文字通り大車輪の活躍。それに引っ張られるように、打線は春の1試合平均2・6点から秋は3・7点にまで、得点力が上がったことも見逃せない。
その明治神宮大会で2発を放った大平達樹捕手(3年)は、「夏のオープン戦から得点は3点以上。できなかったら練習で振り込む、と決めてやってきた」と明かした。春はエースが完投しながら、0―1で見殺しにした敗戦は3試合もあった。「俺たちがやらなければ」と目の色を変えた結果、桜美林大は新たな歴史の扉を開けたのだ。
来春に向けて東大・浜田一志監督(52)は「打は田口(耕三)が中心で、宮台が投の中心というのは変わらない」と断言する。リーグ戦通算2発をマークした4番打者のほか、「君の名は。」というようなニューヒーローの誕生を期待する次第だ。(記者コラム・坂本 達洋)