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【巨人】ドラ1吉川、尚広級の神走塁で「盗塁王」取る!

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↑5回2死一、二塁、皇学館大・岡村の打球に飛びつく中京学院大・吉川

 巨人からドラフト1位指名された中京学院大の吉川尚輝内野手(21)が21日、プロ入り前最後の一戦で衝撃の俊足を見せつけた。明治神宮大会の切符をかけた東海地区大学選手権の皇学館大戦(三重・倉田山公園)に「3番・遊撃」で先発。試合には敗れたが、捕手が送球を断念するほどのスピードで三盗を決めるなど、今季限りで引退した鈴木尚広さん(38)をほうふつとさせる快足を披露した。「盗塁王を取れる選手になりたい」と誓った即戦力に、尚広さんもスポーツ報知を通してエールを送った。

 圧倒的なスピードだった。1点を追う6回2死。カウント2―2からの5球目で、二塁走者の吉川は狙い澄ましてスタートを切った。「(配球を読んで)変化球を投げるのを待っていた。ピッチャーが足を上げた瞬間に走ることができた。いい走塁ができたんじゃないかなと思います」。50メートル5秒7の快足を飛ばして三塁に滑り込むと、捕手は送球すらできなかった。

 岐阜学生野球リーグでは2年春から3季連続で盗塁王を獲得するなど、4年間89試合で44盗塁。さらに二塁打(11本)よりも三塁打(12本)の方が多いという驚きの俊足ぶりだ。プロでも「どんどん走塁をアピールしていけたら。盗塁王が取れる選手になりたい」と目標を定めた。

 子どもの頃からとにかく足は速かった。1学年数人しか選抜されない運動会のリレーの選手に、小学1年から中学3年まで9年連続で選出。近藤正監督(69)は中京学院大の5学年上で4年連続2ケタ盗塁を記録する広島・菊池と姿を重ね「走塁は菊池クラスのセンスがある」。さらにこの日2つの遊ゴロを難なくさばいた守備力も「守備も大学4年で比べると同じくらい」と、名手レベルであることを証言した。

 そんな韋駄天が理想に掲げるのは、今季限りで引退した鈴木だ。「あの走塁ができたら他球団から本当に嫌がられる選手になる。そういう選手になりたい」。代走のスペシャリストとして、通算228盗塁の“神走塁”を受け継ぐつもりだ。今季、チームの盗塁数はセ4位の62個で、V奪回へは上積みが欲しい。巨人の盗塁王は、近年では11年の藤村がいるくらい。吉川の足は、チームを加速させる大きな武器になり得る。

 ドラフトから一夜明け。前夜は友人からの祝福のメールなどは200件にも及び、1件ずつ丁寧に返信し、気がつくと午前1時になっていた。2年春、4年春と2度の首位打者に輝いた打撃では3打数無安打でチームも敗戦。初出場初優勝を飾った6月の全日本大学選手権に続く春秋連覇はならず、大学野球生活は幕を閉じた。「本当にあっという間の4年間だったなと思います。みんなに感謝したい」。涙はなく、充実した表情で仲間との別れを惜しんだ。

 この日試合が行われた三重・伊勢市の倉田山公園球場には同市(当時は宇治山田市)出身の故・沢村栄治氏(元巨人)の銅像が立っている。14年3月にこの球場で行われた阪神とのオープン戦では、巨人は沢村氏の永久欠番「14」を全選手がつけてプレーした。試合後には銅像の前に立ち「これも何かの縁ですね」と感慨深げに話した吉川。中京学院大のユニホームに別れを告げ、巨人の一員としての自覚を強めた。(安藤 宏太)

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