↑ノックバットを手に選手を指導する円谷コーチ
巨人の円谷英俊3軍内野守備走塁コーチ(32)が、コーチ1年目の終盤を迎えている。12年に現役引退後は、子供向け野球教室「ジャイアンツアカデミー」の講師を務めてきたが、今季からコーチに就任して手探りの状態で指導に当たってきた。新米コーチが1年間行ってきた指導の裏にあった方針や現在の目標に迫った。(取材・構成=小島 和之)
今季、新設された3軍の内野守備走塁コーチとして初のコーチ生活を経験した。その中で、川相3軍監督の下で勝利にこだわる“川相イズム”に間近で触れたことが大きな収穫だった。
「川相監督の下で勝つために必要なことを学びました。一つでも先の塁を狙う姿勢や相手の隙を付く意識など、強い巨人を作るためにとても大事なことを学べたことが大きいと思います」
06年に巨人入団後は内野全ポジションをこなす器用さで期待を集めたが、12年に育成選手となり同年オフに戦力外通告を受けた。その後、巨人が開校した子供向け野球教室「ジャイアンツアカデミー」のアシスタントコーチを務めてきた。
「まさか自分が(プロの)コーチになるとは思っていなかったです。でも引退後3年間、指導に関してはしっかりと準備ができていたので戸惑うことはなかったです」
「―アカデミー」では5~12歳の子供に野球の技術、ルールを分かりやすく教える必要があった。そこで磨いた“伝える”技術は、コーチでも生かされた。
「自分の強みは選手と目線を合わせて向き合えること。分かりやすく興味を持ってもらえるように、意識してアカデミーではやってきました」
選手目線に立つ指導方針は自身の現役生活の経験がもとになっているという。
「どんな練習も理解して取り組まないと意味がない。自分が現役の時は『この練習で何が良くなるのか』という疑問を解消できないまま取り組んでいた。選手たちには練習内容に納得してもらったうえで取り組ませるようにしたかったんです」
選手からの質問も積極的に受け付け、時には練習内容について選手に感想を求めた。疑問に答えるための準備も欠かさなかった。
「とにかく本を読みました。技術や指導、青山学院大の原晋(陸上競技部)監督の本など、いろいろな所にヒントはある。いいものはどんどん取り入れました。今年は50冊以上読みました」
苦労が報われるのは、やはり選手が活躍した瞬間。シーズン中盤からは育成の増田が3軍から昇格し、2軍の遊撃手として出場機会を得るなど結果を残した。
「少しでも成長してくれたら、こんなにうれしいことはない。増田だけじゃなく、川相拓も(和田)恋もみんなそう。彼らが1軍の舞台に立ったら、うれしすぎて泣くかもしれないです」
この1年でやりがいも、苦労も経験した32歳が描く夢は大きい。
「野球界の指導者の中で1番を目指したい。若い時からコーチをやらせていただき、誰よりもスタートが早いわけですから。そのためにもっと勉強をしていきたいです」
◆円谷 英俊(つぶらや・ひでとし)1984年9月17日、神奈川県生まれ。32歳。横浜高から青学大を経て、06年の大学・社会人ドラフト4巡目で入団。11年オフに支配下から育成選手契約となり、12年オフに戦力外通告を受けた。今年から巨人3軍内野守備走塁コーチに就任。通算21試合、打率1割4分3厘、1本塁打、5打点。181センチ、78キロ。右投左打。
巨人の円谷英俊3軍内野守備走塁コーチ(32)が、コーチ1年目の終盤を迎えている。12年に現役引退後は、子供向け野球教室「ジャイアンツアカデミー」の講師を務めてきたが、今季からコーチに就任して手探りの状態で指導に当たってきた。新米コーチが1年間行ってきた指導の裏にあった方針や現在の目標に迫った。(取材・構成=小島 和之)
今季、新設された3軍の内野守備走塁コーチとして初のコーチ生活を経験した。その中で、川相3軍監督の下で勝利にこだわる“川相イズム”に間近で触れたことが大きな収穫だった。
「川相監督の下で勝つために必要なことを学びました。一つでも先の塁を狙う姿勢や相手の隙を付く意識など、強い巨人を作るためにとても大事なことを学べたことが大きいと思います」
06年に巨人入団後は内野全ポジションをこなす器用さで期待を集めたが、12年に育成選手となり同年オフに戦力外通告を受けた。その後、巨人が開校した子供向け野球教室「ジャイアンツアカデミー」のアシスタントコーチを務めてきた。
「まさか自分が(プロの)コーチになるとは思っていなかったです。でも引退後3年間、指導に関してはしっかりと準備ができていたので戸惑うことはなかったです」
「―アカデミー」では5~12歳の子供に野球の技術、ルールを分かりやすく教える必要があった。そこで磨いた“伝える”技術は、コーチでも生かされた。
「自分の強みは選手と目線を合わせて向き合えること。分かりやすく興味を持ってもらえるように、意識してアカデミーではやってきました」
選手目線に立つ指導方針は自身の現役生活の経験がもとになっているという。
「どんな練習も理解して取り組まないと意味がない。自分が現役の時は『この練習で何が良くなるのか』という疑問を解消できないまま取り組んでいた。選手たちには練習内容に納得してもらったうえで取り組ませるようにしたかったんです」
選手からの質問も積極的に受け付け、時には練習内容について選手に感想を求めた。疑問に答えるための準備も欠かさなかった。
「とにかく本を読みました。技術や指導、青山学院大の原晋(陸上競技部)監督の本など、いろいろな所にヒントはある。いいものはどんどん取り入れました。今年は50冊以上読みました」
苦労が報われるのは、やはり選手が活躍した瞬間。シーズン中盤からは育成の増田が3軍から昇格し、2軍の遊撃手として出場機会を得るなど結果を残した。
「少しでも成長してくれたら、こんなにうれしいことはない。増田だけじゃなく、川相拓も(和田)恋もみんなそう。彼らが1軍の舞台に立ったら、うれしすぎて泣くかもしれないです」
この1年でやりがいも、苦労も経験した32歳が描く夢は大きい。
「野球界の指導者の中で1番を目指したい。若い時からコーチをやらせていただき、誰よりもスタートが早いわけですから。そのためにもっと勉強をしていきたいです」
◆円谷 英俊(つぶらや・ひでとし)1984年9月17日、神奈川県生まれ。32歳。横浜高から青学大を経て、06年の大学・社会人ドラフト4巡目で入団。11年オフに支配下から育成選手契約となり、12年オフに戦力外通告を受けた。今年から巨人3軍内野守備走塁コーチに就任。通算21試合、打率1割4分3厘、1本塁打、5打点。181センチ、78キロ。右投左打。