↑サンフランシスコで開催した野球教室で豪快な打撃を披露する松井秀喜氏
↑2月の宮崎キャンプでは臨時コーチとして高橋監督(左)をサポートした松井氏
【サンフランシスコ(米カリフォルニア州)=西村茂展】巨人、ヤンキースなどで活躍した松井秀喜氏(42=ヤンキースGM付特別アドバイザー)が24日(日本時間25日)、サンフランシスコ市内で野球教室を開催。古巣・巨人の高橋由伸監督(41)の手腕に「すごくよくやってるし、頑張っている」と“合格点”を与えた。優勝こそ逃したが、過渡期のチームを率いて2位につける采配を評価。クライマックスシリーズ(CS)から逆転日本一を目指す由伸巨人に、ゴジラ流のエールを送った。
サンフランシスコのまばゆい日差しは、未来を照らす光のようだった。松井氏は古巣・巨人の今季の戦いぶり、特に高橋監督について問われると、ゆっくりと切り出した。「僕が評価するとか、じゃなくてね」と前置きした上で「僕は彼なりに、すごくよくやってるし、頑張っていると思います」と“合格”を言い渡した。
98年から5年間、ともに巨人の顔として戦った1歳下の後輩の動向は当然、気にかけていた。広島に優勝こそ譲ったが、指揮官の手腕に疑いはない。「もちろん優勝を逃したことは残念でしょうけど、いきなり選手から監督になるって難しいと思いますよ。その中でちゃんとチームを率いて、2位になりそうだよね?」と、引退して即指揮官に就任し、チームをまとめた力をたたえた。
10年の長期にわたった第2期・原政権の後を継いだ由伸監督。前政権下で主軸を担った阿部が37歳、村田が36歳と年を重ねるなど、過渡期のチームを託された。「チームの一時の強かった時期からメンバーも少しずつ変わってきている中で、よくやっている」と松井氏。一塁の守備に苦しんだギャレットを左翼で起用して再生。小林誠も辛抱強く起用し、レギュラーに定着させた。投手陣では田口を筆頭に若手にチャンスを与え、内海、大竹寛のベテラン勢に刺激を与えつつ復調させた。これまで得点507、失点527ながら、用兵の妙で3つの貯金を作る手腕を見事とした。
2月の宮崎キャンプでは臨時コーチを務めたものの、シーズン開幕後は連絡を取ることは控えた。「『嫌な先輩だな』と思われても嫌だし。『うるせえよ』と思われるのも嫌だし」。冗談めかしたが、余計な重圧をかけないように配慮した。就任時に「自分の思ったように好きなようにやればいい」と背中を押したように、信頼の静観だった。一方、由伸監督も苦境にあっては、松井氏の座右の銘「不動心」をよりどころにしてきた。
この日の野球教室では、7歳から12歳の児童30人を対象に約2時間、指導。フリー打撃では、ホームランの要求に3連発を含む4本のサク越えを放って応えた。「もう僕のこと、絶対知らないですよ。親と同世代だから。今日、来る前にさんざん親にレクチャーされたんだと思う」と自虐的に笑ったが、描いた優雅な放物線はいつまでも野球ファンを魅了する。古巣はレギュラーシーズン残り5試合。2位死守、その先の下克上を見据え、厳しい戦いが続く。それでも、由伸監督は今の野球を続けていけば大丈夫―。松井氏らしい、頼もしいエールだった。
〇…松井氏がDeNA・筒香を絶賛した。15年の春季キャンプで指導したスラッガーは、今季ここまで43本塁打と大きく飛躍。高卒7年目では自身の42発を超える活躍に「うれしいと言うよりも感心して見てます。素晴らしい打者だなと。僕が去年行った時点で素晴らしかった。全く驚きはないですね」と話した。「パワーという面では(メジャーに)かなわない部分はあると思う。少ないという意味で、日本では貴重な存在になるのも当然」と希少な和製大砲として、今後に期待を寄せた。
〇…松井氏が指導の“難しさ”を吐露した。今年で2年目を迎えたヤ軍傘下マイナーでの指導について「面白さはないですよ。みんながみんな違う感覚の持ち主。同じ言葉でも人によって違う感じ方をするかもしれないし、言ってることが分かってないかもしれないし」と苦笑した。次回の野球教室は10月16日に故郷・石川県で行う予定。「自分の生まれ育った街、場所ですから。同じ所で育った子供たちと野球をやるのは楽しみ」と心待ちにした。
↑2月の宮崎キャンプでは臨時コーチとして高橋監督(左)をサポートした松井氏
【サンフランシスコ(米カリフォルニア州)=西村茂展】巨人、ヤンキースなどで活躍した松井秀喜氏(42=ヤンキースGM付特別アドバイザー)が24日(日本時間25日)、サンフランシスコ市内で野球教室を開催。古巣・巨人の高橋由伸監督(41)の手腕に「すごくよくやってるし、頑張っている」と“合格点”を与えた。優勝こそ逃したが、過渡期のチームを率いて2位につける采配を評価。クライマックスシリーズ(CS)から逆転日本一を目指す由伸巨人に、ゴジラ流のエールを送った。
サンフランシスコのまばゆい日差しは、未来を照らす光のようだった。松井氏は古巣・巨人の今季の戦いぶり、特に高橋監督について問われると、ゆっくりと切り出した。「僕が評価するとか、じゃなくてね」と前置きした上で「僕は彼なりに、すごくよくやってるし、頑張っていると思います」と“合格”を言い渡した。
98年から5年間、ともに巨人の顔として戦った1歳下の後輩の動向は当然、気にかけていた。広島に優勝こそ譲ったが、指揮官の手腕に疑いはない。「もちろん優勝を逃したことは残念でしょうけど、いきなり選手から監督になるって難しいと思いますよ。その中でちゃんとチームを率いて、2位になりそうだよね?」と、引退して即指揮官に就任し、チームをまとめた力をたたえた。
10年の長期にわたった第2期・原政権の後を継いだ由伸監督。前政権下で主軸を担った阿部が37歳、村田が36歳と年を重ねるなど、過渡期のチームを託された。「チームの一時の強かった時期からメンバーも少しずつ変わってきている中で、よくやっている」と松井氏。一塁の守備に苦しんだギャレットを左翼で起用して再生。小林誠も辛抱強く起用し、レギュラーに定着させた。投手陣では田口を筆頭に若手にチャンスを与え、内海、大竹寛のベテラン勢に刺激を与えつつ復調させた。これまで得点507、失点527ながら、用兵の妙で3つの貯金を作る手腕を見事とした。
2月の宮崎キャンプでは臨時コーチを務めたものの、シーズン開幕後は連絡を取ることは控えた。「『嫌な先輩だな』と思われても嫌だし。『うるせえよ』と思われるのも嫌だし」。冗談めかしたが、余計な重圧をかけないように配慮した。就任時に「自分の思ったように好きなようにやればいい」と背中を押したように、信頼の静観だった。一方、由伸監督も苦境にあっては、松井氏の座右の銘「不動心」をよりどころにしてきた。
この日の野球教室では、7歳から12歳の児童30人を対象に約2時間、指導。フリー打撃では、ホームランの要求に3連発を含む4本のサク越えを放って応えた。「もう僕のこと、絶対知らないですよ。親と同世代だから。今日、来る前にさんざん親にレクチャーされたんだと思う」と自虐的に笑ったが、描いた優雅な放物線はいつまでも野球ファンを魅了する。古巣はレギュラーシーズン残り5試合。2位死守、その先の下克上を見据え、厳しい戦いが続く。それでも、由伸監督は今の野球を続けていけば大丈夫―。松井氏らしい、頼もしいエールだった。
〇…松井氏がDeNA・筒香を絶賛した。15年の春季キャンプで指導したスラッガーは、今季ここまで43本塁打と大きく飛躍。高卒7年目では自身の42発を超える活躍に「うれしいと言うよりも感心して見てます。素晴らしい打者だなと。僕が去年行った時点で素晴らしかった。全く驚きはないですね」と話した。「パワーという面では(メジャーに)かなわない部分はあると思う。少ないという意味で、日本では貴重な存在になるのも当然」と希少な和製大砲として、今後に期待を寄せた。
〇…松井氏が指導の“難しさ”を吐露した。今年で2年目を迎えたヤ軍傘下マイナーでの指導について「面白さはないですよ。みんながみんな違う感覚の持ち主。同じ言葉でも人によって違う感じ方をするかもしれないし、言ってることが分かってないかもしれないし」と苦笑した。次回の野球教室は10月16日に故郷・石川県で行う予定。「自分の生まれ育った街、場所ですから。同じ所で育った子供たちと野球をやるのは楽しみ」と心待ちにした。