セ・リーグ3位の横浜DeNAとクライマックスシリーズ(CS)進出を争う4位のヤクルトは、残り8試合で4ゲーム差とまさに首の皮一枚の状態にある。この苦境でヤキモキさせるのが、もっか打率・318、38本塁打、30盗塁と史上初の2年連続トリプルスリー達成を確実にしている山田哲人内野手(24)だ。11日の阪神戦(同)で左脇腹に死球を受けてから11打席連続ノーヒット。CS進出の鍵を握る上、打撃タイトルを射程圏内にとらえている男に暗雲が立ちこめている。 (宮脇広久)
「疲れたあ。あと8試合? 頑張ります」
14日のDeNA戦(神宮)は薄氷を踏む勝利を挙げたが、山田は疲労の色が濃かった。この試合も4打数ノーヒット。11日の阪神戦の第1打席で岩貞の投球を左脇腹に受けた後、3試合通算で11打席無安打(1四球)が続いている。
しかも7月30日・巨人戦(東京ドーム)でも田原誠から背中に死球を受け、その後も試合出場を続けたが状態が悪化。8月10日にMRI検査を受け、骨折一歩手前の「肋骨骨挫傷」と診断され、14日間も出場選手登録を抹消されたばかりだ。1カ月あまりのうちに、ほぼ同じ場所に死球を2度受けたことになる。
本人は「痛くないことはありませんが、野球をやれているので大丈夫。痛みもあの時(前回の死球)ほどひどくない」と気丈に話すが、押尾戦略コーチは「痛みの影響もあるだろうが、死球の“残像”があって外角球に対して踏み込みきれていない気がする。山田も人間ですから、2度死球を食らえば多少恐怖心があったとしても無理はない」と指摘する。
それでも、30盗塁、出塁率・439はリーグトップ。38本塁打はトップのDeNA・筒香から2本差。96打点はトップの広島・新井、筒香の2差につけている。打率は5位でトップの巨人・坂本に2分8厘差をつけられているが、本塁打、打点でタイトルを獲得した場合、今季年俸2億2000万円からどこまで上げればいいのか。
球団関係者は「2年連続トリプルスリーだけでも前例がない。タイトルまで加わったら、どう評価したらいいのか」と頭を抱えている。
球界関係者の間では「資金力がある方ではないヤクルトは早晩、山田を抱えきれなくなるのではないか」とささやかれている。実際、ヤクルトには山田にとって背番号「1」の先輩である青木(現マリナーズ)らを、ポスティングシステムを使って米大リーグに送り出した前例がある。
米某球団スカウトは「今、メジャーにくれば本塁打は減るだろうが、ミート力には目を見張るものがある。二塁手としてレギュラーを張れると思う。井口(現ロッテ)に近いイメージだが、若い分もっと魅力がある。年俸5億円でも安いよ」と評価する。
とはいえ、山田は球団にとって手放しがたい“収入源”でもある。チームは順位こそ14年ぶりのリーグ優勝を果たした昨季から落としているが、今季のグッズ収入は「球団史上最高だった昨季の売り上げ7億数千万円をすでに超え、年間9億円超えの見込み。CSに進出すれば10億円超えも期待できる」と衣笠球団社長。その収入の主力商品であるレプリカユニホームの売り上げは「山田のものがトップで全体の約40%を占めています」(球団担当者)。
前例のない快挙をさらりと成し遂げてしまう男だけに、周囲はヤキモキして戦いを見守っている。
「疲れたあ。あと8試合? 頑張ります」
14日のDeNA戦(神宮)は薄氷を踏む勝利を挙げたが、山田は疲労の色が濃かった。この試合も4打数ノーヒット。11日の阪神戦の第1打席で岩貞の投球を左脇腹に受けた後、3試合通算で11打席無安打(1四球)が続いている。
しかも7月30日・巨人戦(東京ドーム)でも田原誠から背中に死球を受け、その後も試合出場を続けたが状態が悪化。8月10日にMRI検査を受け、骨折一歩手前の「肋骨骨挫傷」と診断され、14日間も出場選手登録を抹消されたばかりだ。1カ月あまりのうちに、ほぼ同じ場所に死球を2度受けたことになる。
本人は「痛くないことはありませんが、野球をやれているので大丈夫。痛みもあの時(前回の死球)ほどひどくない」と気丈に話すが、押尾戦略コーチは「痛みの影響もあるだろうが、死球の“残像”があって外角球に対して踏み込みきれていない気がする。山田も人間ですから、2度死球を食らえば多少恐怖心があったとしても無理はない」と指摘する。
それでも、30盗塁、出塁率・439はリーグトップ。38本塁打はトップのDeNA・筒香から2本差。96打点はトップの広島・新井、筒香の2差につけている。打率は5位でトップの巨人・坂本に2分8厘差をつけられているが、本塁打、打点でタイトルを獲得した場合、今季年俸2億2000万円からどこまで上げればいいのか。
球団関係者は「2年連続トリプルスリーだけでも前例がない。タイトルまで加わったら、どう評価したらいいのか」と頭を抱えている。
球界関係者の間では「資金力がある方ではないヤクルトは早晩、山田を抱えきれなくなるのではないか」とささやかれている。実際、ヤクルトには山田にとって背番号「1」の先輩である青木(現マリナーズ)らを、ポスティングシステムを使って米大リーグに送り出した前例がある。
米某球団スカウトは「今、メジャーにくれば本塁打は減るだろうが、ミート力には目を見張るものがある。二塁手としてレギュラーを張れると思う。井口(現ロッテ)に近いイメージだが、若い分もっと魅力がある。年俸5億円でも安いよ」と評価する。
とはいえ、山田は球団にとって手放しがたい“収入源”でもある。チームは順位こそ14年ぶりのリーグ優勝を果たした昨季から落としているが、今季のグッズ収入は「球団史上最高だった昨季の売り上げ7億数千万円をすでに超え、年間9億円超えの見込み。CSに進出すれば10億円超えも期待できる」と衣笠球団社長。その収入の主力商品であるレプリカユニホームの売り上げは「山田のものがトップで全体の約40%を占めています」(球団担当者)。
前例のない快挙をさらりと成し遂げてしまう男だけに、周囲はヤキモキして戦いを見守っている。