↑ここまで打率3割をマークするなど、新天地で完全復活を見せる坂口
交流戦を終え、今季の消化試合数が70試合を超える球団も多くなった。その中で、新天地に身を投じた男たちは、どのような活躍、パフォーマンスを見せたのか。昨オフにFAやトレード、自由契約を経て新球団へと移った選手たちの“現在”を見つめ直したい。
「センター」の穴を埋めたヤクルト・坂口
チームの順位はさておき、今季移籍組の中での最大の成功者は、オリックスから東京ヤクルトへ移籍した坂口智隆で間違いないだろう。ここまで71試合に出場して打率3割(267打数80安打)は立派な数字。2003年に大阪近鉄にドラフト1位入団、11年には最多安打のタイトルを獲得するなど実力に疑いの余地はなく、自由契約となった経緯も減額制限を超える大幅減俸を提示されたことによって自ら選択したものだったとはいえ、予想を上回るパフォーマンスを見せていると言っていい。
昨季リーグトップの574得点を叩き出したセ界最強のヤクルト打線においても、その中で唯一固定できていなかったのが「1番・センター」だった。開幕こそ6番だったが、その後は40試合で1番打者として先発出場。5月下旬からは2番に座って“打てるつなぎ役”として強力打線を支えている。
ヤクルトの昨季のチーム打撃成績を見ると、打順別打率は1番が打率2割6分9厘、2番が打率2割9分2厘だったが、それが今季は1番が打率2割9分で、2番も打率2割9分6厘と上昇。投手陣の不振で黒星先行となっているが、攻撃陣だけを見ると今季は72試合320得点(143試合換算で636得点)は、優勝した昨季の574得点ペースを優に上回る。また、ここまで無失策という守備面でも貢献している。
トライアウト組の大砲2人は?
ヤクルトにはもう一人、高校時代から甲子園で名を馳せた“世代ナンバーワンスラッガー”鵜久森淳志が新加入した。北海道日本ハム在籍11年で計6本塁打と期待に応えることができず、戦力外通告、そして合同トライアウトを経てつかみ取った再チャレンジの舞台。キャンプから必死のアピールを続けて開幕1軍入りを果たすと、移籍後初スタメンとなった3月30日の阪神戦(神宮)の第2打席で自身4年ぶりとなる1軍アーチを放った。
その後は2軍降格、5月10日に約1カ月ぶりに1軍再昇格直後に二塁打&三塁打のマルチ安打を放ったが、その後は結果を出せずに今季ここまで13試合に出場して打率1割4分3厘、1本塁打、1打点の成績。“当たれば飛ぶ”のは確かなのだが、ここから課題の確実性をどう上げていくか。正念場が続く。
鵜久森と同じ「トライアウト組」では、福岡ソフトバンクの育成契約を蹴って横浜DeNAの支配下契約を勝ち取った白根尚貴も、今季注目の一人だ。7打席で長打2本を含む3安打と結果を出したトライアウトの勢いを新天地移籍後も保ち、まずは2軍で打ちまくってイースタン・リーグの3・4月の月間MVP賞を受賞(打率3割2分8厘、2本塁打、14打点)。1軍にも昇格して4月16日のヤクルト戦(松山)に「6番・ファースト」でプロデビューも飾った。
残念ながら1軍2試合で3打数無安打のまま2軍降格となったが、ファームでは依然として好調をキープし、イースタン・リーグ3位の打率2割9分5厘に、チームトップの5本塁打&33打点をマークし、20日に再び1軍昇格を果たした。
シーズン半分を消化、移籍選手の今
苦戦が続くFA野手たち
↑苦しい阪神のリリーフ陣の中で活躍を続ける高橋
一方、昨オフにFA宣言した後に新天地に移籍した選手は計4人。中日から阪神に移籍した高橋聡文、千葉ロッテから東北楽天へと飛び立った今江敏晃、埼玉西武から古巣・巨人への出戻りとなった脇谷亮太、広島から西武にテスト入団の形で加わった木村昇吾である。
最も貢献度の高いのは高橋だろう。左の中継ぎ、ワンポイントとしてチーム最多の32試合に登板。開幕11試合連続無失点の後、5月途中まで防御率2点台をキープ。6月15日の楽天戦での4失点乱調が響いて防御率4.50となってはいるが、ここまでチームトップの15ホールドを挙げ、金本タイガースの新方程式の一角として存在感を発揮している。
苦しんでいるのは野手陣だ。今江は開幕から不動の正三塁手として出場を重ねたが、4月13日のロッテ戦(koboスタ宮城)で左腕に死球を受けて戦線離脱。5月3日に1軍復帰を果たしたが、打撃の調子が上がらずに同27日に今季2度目の登録抹消。ここまで打率2割6分3厘、0本塁打、8打点。移籍後初アーチがお預けになったまま、現在は2軍調整中だ。
脇谷は今季30試合に出場しているが、スタメンは10試合のみ。層の厚い巨人内野陣の中で、復帰前から出番減少は覚悟していたことではあったが、打率1割1分9厘(59打数7安打)は本人も悔しいだろう。同じく木村も、ここまで38試合に出場しているが、打率2割2分1厘(95打数21安打)は不満が残る。ともに守備のユーティリティー性が大きな魅力ではあるが、バットでも勝負強さを発揮して存在感を見せてもらいたいところだ。
ベテラン勢は2軍で出番を待つ
FA以外でも、多くの実績のあるベテラン勢が、自身の生き残りをかけて新天地へと移籍した。広島ひと筋16年から楽天へと移籍した栗原健太は、開幕前に右ふくらはぎ肉離れで出遅れた。ようやく5月に実戦復帰を果たして5月26日のイースタン・ヤクルト戦(戸田)で“移籍1号弾”を放ったが、状態は上がらずに2軍19試合出場で打率1割6分7厘(54打数9安打)、1本塁打、8打点。本人は前向きだが、現状では昇格のゴーサインは出せない。
その意味では多村仁志の方が1軍舞台へは近いのかも知れない。中日へは育成契約での入団。栗原同様に開幕前に右ふくらはぎ肉離れで離脱したが、戦列復帰後の5月18日のウエスタン・広島戦(ナゴヤ)で“移籍1号弾”。ここまで2軍で16試合に出場して打率2割8分6厘(35打数10安打)、1本塁打、5打点。計10四球を選ぶなど出塁率は4割5分7厘で貢献度は打率以上に高い。現在、中日球団の支配下登録選手は68人。枠はまだ2つ残っている。
その他、ロッテ、オリックスを経て今季から西武に加入した竹原直隆は、対左投手の代打として1軍の出番を得ているが打率2割(30打数6安打)と苦戦中。巨人からDeNAに移籍した久保裕也は調整遅れもあって1軍未登板だが、2軍では16試合に登板して3勝0敗、防御率3.52。中日から楽天へと移籍した山内壮馬は2軍で9試合、1軍でも1試合に登板したが、久保同様に本領発揮はここからといったところだ。
全体を見ると、苦しんでいる傾向のある今季の“移籍組”。だが、まだシーズンは半分以上も残っている。途中、どんなに苦しんだとしても、最後に笑えればいい。移籍というリスクを背負い、新たな挑戦に挑んでいる男たちの活躍と成功に期待したい。
my message
坂口らしいバッティングになってきているし、移籍して正解だったのかも?
少なからず、ヤクルトのリードオフマンに定着してきているのは確かだろう。
高橋は阪神タイガースに移籍して正解だったと思うし、このまま中日に居ても出番が無ければ意味が有りませんので使い道がある球団に移籍したのはとても意味があると思う
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交流戦を終え、今季の消化試合数が70試合を超える球団も多くなった。その中で、新天地に身を投じた男たちは、どのような活躍、パフォーマンスを見せたのか。昨オフにFAやトレード、自由契約を経て新球団へと移った選手たちの“現在”を見つめ直したい。
「センター」の穴を埋めたヤクルト・坂口
チームの順位はさておき、今季移籍組の中での最大の成功者は、オリックスから東京ヤクルトへ移籍した坂口智隆で間違いないだろう。ここまで71試合に出場して打率3割(267打数80安打)は立派な数字。2003年に大阪近鉄にドラフト1位入団、11年には最多安打のタイトルを獲得するなど実力に疑いの余地はなく、自由契約となった経緯も減額制限を超える大幅減俸を提示されたことによって自ら選択したものだったとはいえ、予想を上回るパフォーマンスを見せていると言っていい。
昨季リーグトップの574得点を叩き出したセ界最強のヤクルト打線においても、その中で唯一固定できていなかったのが「1番・センター」だった。開幕こそ6番だったが、その後は40試合で1番打者として先発出場。5月下旬からは2番に座って“打てるつなぎ役”として強力打線を支えている。
ヤクルトの昨季のチーム打撃成績を見ると、打順別打率は1番が打率2割6分9厘、2番が打率2割9分2厘だったが、それが今季は1番が打率2割9分で、2番も打率2割9分6厘と上昇。投手陣の不振で黒星先行となっているが、攻撃陣だけを見ると今季は72試合320得点(143試合換算で636得点)は、優勝した昨季の574得点ペースを優に上回る。また、ここまで無失策という守備面でも貢献している。
トライアウト組の大砲2人は?
ヤクルトにはもう一人、高校時代から甲子園で名を馳せた“世代ナンバーワンスラッガー”鵜久森淳志が新加入した。北海道日本ハム在籍11年で計6本塁打と期待に応えることができず、戦力外通告、そして合同トライアウトを経てつかみ取った再チャレンジの舞台。キャンプから必死のアピールを続けて開幕1軍入りを果たすと、移籍後初スタメンとなった3月30日の阪神戦(神宮)の第2打席で自身4年ぶりとなる1軍アーチを放った。
その後は2軍降格、5月10日に約1カ月ぶりに1軍再昇格直後に二塁打&三塁打のマルチ安打を放ったが、その後は結果を出せずに今季ここまで13試合に出場して打率1割4分3厘、1本塁打、1打点の成績。“当たれば飛ぶ”のは確かなのだが、ここから課題の確実性をどう上げていくか。正念場が続く。
鵜久森と同じ「トライアウト組」では、福岡ソフトバンクの育成契約を蹴って横浜DeNAの支配下契約を勝ち取った白根尚貴も、今季注目の一人だ。7打席で長打2本を含む3安打と結果を出したトライアウトの勢いを新天地移籍後も保ち、まずは2軍で打ちまくってイースタン・リーグの3・4月の月間MVP賞を受賞(打率3割2分8厘、2本塁打、14打点)。1軍にも昇格して4月16日のヤクルト戦(松山)に「6番・ファースト」でプロデビューも飾った。
残念ながら1軍2試合で3打数無安打のまま2軍降格となったが、ファームでは依然として好調をキープし、イースタン・リーグ3位の打率2割9分5厘に、チームトップの5本塁打&33打点をマークし、20日に再び1軍昇格を果たした。
シーズン半分を消化、移籍選手の今
苦戦が続くFA野手たち
↑苦しい阪神のリリーフ陣の中で活躍を続ける高橋
一方、昨オフにFA宣言した後に新天地に移籍した選手は計4人。中日から阪神に移籍した高橋聡文、千葉ロッテから東北楽天へと飛び立った今江敏晃、埼玉西武から古巣・巨人への出戻りとなった脇谷亮太、広島から西武にテスト入団の形で加わった木村昇吾である。
最も貢献度の高いのは高橋だろう。左の中継ぎ、ワンポイントとしてチーム最多の32試合に登板。開幕11試合連続無失点の後、5月途中まで防御率2点台をキープ。6月15日の楽天戦での4失点乱調が響いて防御率4.50となってはいるが、ここまでチームトップの15ホールドを挙げ、金本タイガースの新方程式の一角として存在感を発揮している。
苦しんでいるのは野手陣だ。今江は開幕から不動の正三塁手として出場を重ねたが、4月13日のロッテ戦(koboスタ宮城)で左腕に死球を受けて戦線離脱。5月3日に1軍復帰を果たしたが、打撃の調子が上がらずに同27日に今季2度目の登録抹消。ここまで打率2割6分3厘、0本塁打、8打点。移籍後初アーチがお預けになったまま、現在は2軍調整中だ。
脇谷は今季30試合に出場しているが、スタメンは10試合のみ。層の厚い巨人内野陣の中で、復帰前から出番減少は覚悟していたことではあったが、打率1割1分9厘(59打数7安打)は本人も悔しいだろう。同じく木村も、ここまで38試合に出場しているが、打率2割2分1厘(95打数21安打)は不満が残る。ともに守備のユーティリティー性が大きな魅力ではあるが、バットでも勝負強さを発揮して存在感を見せてもらいたいところだ。
ベテラン勢は2軍で出番を待つ
FA以外でも、多くの実績のあるベテラン勢が、自身の生き残りをかけて新天地へと移籍した。広島ひと筋16年から楽天へと移籍した栗原健太は、開幕前に右ふくらはぎ肉離れで出遅れた。ようやく5月に実戦復帰を果たして5月26日のイースタン・ヤクルト戦(戸田)で“移籍1号弾”を放ったが、状態は上がらずに2軍19試合出場で打率1割6分7厘(54打数9安打)、1本塁打、8打点。本人は前向きだが、現状では昇格のゴーサインは出せない。
その意味では多村仁志の方が1軍舞台へは近いのかも知れない。中日へは育成契約での入団。栗原同様に開幕前に右ふくらはぎ肉離れで離脱したが、戦列復帰後の5月18日のウエスタン・広島戦(ナゴヤ)で“移籍1号弾”。ここまで2軍で16試合に出場して打率2割8分6厘(35打数10安打)、1本塁打、5打点。計10四球を選ぶなど出塁率は4割5分7厘で貢献度は打率以上に高い。現在、中日球団の支配下登録選手は68人。枠はまだ2つ残っている。
その他、ロッテ、オリックスを経て今季から西武に加入した竹原直隆は、対左投手の代打として1軍の出番を得ているが打率2割(30打数6安打)と苦戦中。巨人からDeNAに移籍した久保裕也は調整遅れもあって1軍未登板だが、2軍では16試合に登板して3勝0敗、防御率3.52。中日から楽天へと移籍した山内壮馬は2軍で9試合、1軍でも1試合に登板したが、久保同様に本領発揮はここからといったところだ。
全体を見ると、苦しんでいる傾向のある今季の“移籍組”。だが、まだシーズンは半分以上も残っている。途中、どんなに苦しんだとしても、最後に笑えればいい。移籍というリスクを背負い、新たな挑戦に挑んでいる男たちの活躍と成功に期待したい。
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坂口らしいバッティングになってきているし、移籍して正解だったのかも?
少なからず、ヤクルトのリードオフマンに定着してきているのは確かだろう。
高橋は阪神タイガースに移籍して正解だったと思うし、このまま中日に居ても出番が無ければ意味が有りませんので使い道がある球団に移籍したのはとても意味があると思う
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