仮面女子・猪狩ともか
「脊髄損傷による両下肢麻痺」で車いす生活を余儀なくされることになったアイドルグループ・仮面女子の猪狩ともか(26)=スチームガールズ=は、つらい現実にもファンからの口上“ひまわりエンジェル”を体現するような満面の笑顔を見せている。仮面女子を取材するようになって約3年、内部障がい1種1級を抱える私はその強さに感服した。
猪狩は、4月11日に都内で強風によって倒れてきた看板にぶつかる大ケガを負い緊急手術。ICU(集中治療室)からHCU(準集中治療室)、その後一般病棟に移り、懸命にリハビリを続けている。
現在40歳の私は約20年前、22歳の頃に、現在TBS系ドラマ「ブラックペアン」(日曜・後9時)で題材となっている「僧帽弁置換」手術を受けた。脳梗塞を併発したことにより障がい者となったが、「今まで通りの生活ができない」と宣告されたことを受け入れるのに数年はかかった。しかし、“いがとも”は約1か月で絶望や葛藤を乗り越え前向きに生きていくことを決めた。
あまりにもつらく厳しい現実に、一時は絶望したというが、仮面女子を辞めずに活動を続けていくと決断。「脚が動かなくなっても、車椅子に乗りながらやりたいことはたくさんあります。仮面女子の曲を作詞したいです。ラジオや講演、司会など、お話する仕事をしたいです」とコメントを発表し、笑顔でこなす自身のリハビリ生活をブログなどのSNSで伝え続けている。
障がい者スポーツも取材する私は、何人かのパラリンピアンやパラアスリートから「受け入れるのに何年もかかった」と聞かされている。“いがとも”の強い精神力はどこから来るのだろう。
猪狩は2014年5月、研究生「スライムガールズ」としてステージデビュー。同年7月、オズの魔法使いをコンセプトにした上位ユニット「OZ」に昇格。ライオン担当になると、15年3月に「仮面女子候補生」が結成されリーダーとなった。当初「すぐにでも仮面女子に昇格する」と言われていたが、3回経験した組閣発表はいずれも落選。しかし17年1月、デビューから1004日で念願の仮面女子昇格をつかみ取った。その間、多数の後輩が猪狩を追い越し仮面女子に昇格。何度も昇格を逃し「なにがダメなのか分からない。ここまでだったということ。芸能界を引退する」と考えたが、「年齢を理由に“悲劇のヒロイン”に浸っていた自分を見直し、何度でも挑戦し続ける」と心機一転したことによって遅咲きながらも夢をつかんだ。約2年半の下積みを経験したことで、仮面女子の中で1、2を争うほどの抜群のMC力や、ダンススキルを身に着けた。昨年は、大ファンのプロ野球・西武の本拠地で始球式を経験。テレビや映画への出演も果たし、仮面女子を構成する4つのユニットの一つ「スチームガールズ」のリーダーにも抜てきされた。
“いがとも”の「かならず夢を叶える。私の夢を叶える姿が、夢をあきらめている人たちの希望になれば」という力強い姿勢がみんなを感動させ、笑顔にさせるのだろう。リーダーでありながらイジられ役を率先して買って出るけなげ姿も、ファンやメンバー、スタッフから愛される要因だ。急ぐ必要はない、“いがとも”の復帰はみんながじっくりと見守っている。
仮面女子メンバーも続々とお見舞いに駆けつけた。仮面女子プロデュサーの20年来の友人で、タレントの武井壮(45)からも直接お見舞いを受け車いすを贈られたり、著書「五体不満足」などの作家・乙武洋匡氏(42)に「車いすのアイドルがいたっていい」とエールを送られた。西武の高木勇人投手(28)も、ブログで励ましを記している。
仮面女子には、「声帯結節」の手術を経験した東大アイドル・桜雪(25)=アリス十番=や、「斜視」を乗り越えたグラビアクィーン・神谷えりな(26)=同=、手話を得意とする雪乃しほり(27)=スチームガールズ=らがいる。海外人気の高い仮面女子に、2020年東京パラリンピックのアンバサダー就任を期待するのは、時期尚早だろうか。新国立競技場での猪狩のひまわりのような笑顔、仮面女子の圧倒的なパフォーマンスを見てみたい。(記者コラム・松岡 岳大)
◆猪狩 ともか(いがり・ともか) 1991年12月9日、埼玉生まれ。26歳。154センチ、スリーサイズはB80(C)・W59・H88。最強の地下アイドル・仮面女子を構成する4ユニットの1つ「スチームガールズ」リーダー。2014年5月、研究生「スライムガールズ」としてステージデビュー。同年7月、オズの魔法使いをコンセプトとしたユニット「OZ」に昇格しライオンを担当。15年3月に「仮面女子候補生」が結成されリーダーに就任。17年1月8日に仮面女子・スチームガールズへの昇格が発表され、2月19日に加入式が行われた。
「脊髄損傷による両下肢麻痺」で車いす生活を余儀なくされることになったアイドルグループ・仮面女子の猪狩ともか(26)=スチームガールズ=は、つらい現実にもファンからの口上“ひまわりエンジェル”を体現するような満面の笑顔を見せている。仮面女子を取材するようになって約3年、内部障がい1種1級を抱える私はその強さに感服した。
猪狩は、4月11日に都内で強風によって倒れてきた看板にぶつかる大ケガを負い緊急手術。ICU(集中治療室)からHCU(準集中治療室)、その後一般病棟に移り、懸命にリハビリを続けている。
現在40歳の私は約20年前、22歳の頃に、現在TBS系ドラマ「ブラックペアン」(日曜・後9時)で題材となっている「僧帽弁置換」手術を受けた。脳梗塞を併発したことにより障がい者となったが、「今まで通りの生活ができない」と宣告されたことを受け入れるのに数年はかかった。しかし、“いがとも”は約1か月で絶望や葛藤を乗り越え前向きに生きていくことを決めた。
あまりにもつらく厳しい現実に、一時は絶望したというが、仮面女子を辞めずに活動を続けていくと決断。「脚が動かなくなっても、車椅子に乗りながらやりたいことはたくさんあります。仮面女子の曲を作詞したいです。ラジオや講演、司会など、お話する仕事をしたいです」とコメントを発表し、笑顔でこなす自身のリハビリ生活をブログなどのSNSで伝え続けている。
障がい者スポーツも取材する私は、何人かのパラリンピアンやパラアスリートから「受け入れるのに何年もかかった」と聞かされている。“いがとも”の強い精神力はどこから来るのだろう。
猪狩は2014年5月、研究生「スライムガールズ」としてステージデビュー。同年7月、オズの魔法使いをコンセプトにした上位ユニット「OZ」に昇格。ライオン担当になると、15年3月に「仮面女子候補生」が結成されリーダーとなった。当初「すぐにでも仮面女子に昇格する」と言われていたが、3回経験した組閣発表はいずれも落選。しかし17年1月、デビューから1004日で念願の仮面女子昇格をつかみ取った。その間、多数の後輩が猪狩を追い越し仮面女子に昇格。何度も昇格を逃し「なにがダメなのか分からない。ここまでだったということ。芸能界を引退する」と考えたが、「年齢を理由に“悲劇のヒロイン”に浸っていた自分を見直し、何度でも挑戦し続ける」と心機一転したことによって遅咲きながらも夢をつかんだ。約2年半の下積みを経験したことで、仮面女子の中で1、2を争うほどの抜群のMC力や、ダンススキルを身に着けた。昨年は、大ファンのプロ野球・西武の本拠地で始球式を経験。テレビや映画への出演も果たし、仮面女子を構成する4つのユニットの一つ「スチームガールズ」のリーダーにも抜てきされた。
“いがとも”の「かならず夢を叶える。私の夢を叶える姿が、夢をあきらめている人たちの希望になれば」という力強い姿勢がみんなを感動させ、笑顔にさせるのだろう。リーダーでありながらイジられ役を率先して買って出るけなげ姿も、ファンやメンバー、スタッフから愛される要因だ。急ぐ必要はない、“いがとも”の復帰はみんながじっくりと見守っている。
仮面女子メンバーも続々とお見舞いに駆けつけた。仮面女子プロデュサーの20年来の友人で、タレントの武井壮(45)からも直接お見舞いを受け車いすを贈られたり、著書「五体不満足」などの作家・乙武洋匡氏(42)に「車いすのアイドルがいたっていい」とエールを送られた。西武の高木勇人投手(28)も、ブログで励ましを記している。
仮面女子には、「声帯結節」の手術を経験した東大アイドル・桜雪(25)=アリス十番=や、「斜視」を乗り越えたグラビアクィーン・神谷えりな(26)=同=、手話を得意とする雪乃しほり(27)=スチームガールズ=らがいる。海外人気の高い仮面女子に、2020年東京パラリンピックのアンバサダー就任を期待するのは、時期尚早だろうか。新国立競技場での猪狩のひまわりのような笑顔、仮面女子の圧倒的なパフォーマンスを見てみたい。(記者コラム・松岡 岳大)
◆猪狩 ともか(いがり・ともか) 1991年12月9日、埼玉生まれ。26歳。154センチ、スリーサイズはB80(C)・W59・H88。最強の地下アイドル・仮面女子を構成する4ユニットの1つ「スチームガールズ」リーダー。2014年5月、研究生「スライムガールズ」としてステージデビュー。同年7月、オズの魔法使いをコンセプトとしたユニット「OZ」に昇格しライオンを担当。15年3月に「仮面女子候補生」が結成されリーダーに就任。17年1月8日に仮面女子・スチームガールズへの昇格が発表され、2月19日に加入式が行われた。