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菅田将暉、真っ青「緊張して、ただただボーッとしてた」

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記念写真撮影の時に後方から目線を要求され、とぼけた顔をする北野武監督(中)を見て爆笑する(左から)蒼井優、菅田将暉、ひとりおいて三島有紀子監督、田中麗奈

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壇上で笑顔を見せる菅田将暉(右)と松坂桃李

 「あああーーーーー!」

 「第42回報知映画賞」授賞式終了後。会場のザ・プリンスパークタワー東京の厳かな廊下に叫び声が響き渡った。ある後悔にうなだれていたのは、なんと主演男優賞の栄冠を手にした菅田将暉だった。

 今もっとも輝いている俳優と言っていいだろう。17年はまさに「菅田将暉、ここにあり」の1年だった。「キセキ」では、人気グループ「GReeeeN」のメンバー、「帝一の國」では、腹黒エリート高校生、「あゝ、荒野」では、孤独なボクサー、「火花」では、笑いに青春をささげる芸人と演じ分け、“カメレオン俳優”の評価は上がる一方。

 役者だけにはとどまらない。4月、ニッポン放送「菅田将暉のオールナイトニッポン」(月曜・深夜1時)が始まり、6月には、シングル「見たこともない景色」で歌手デビュー。激動の1年で国民的俳優の階段を駆け上がった。

 その結果、報知映画賞において新人賞や助演男優賞を飛び越え、審査員の満場一致での初栄冠。対象4作での受賞は史上初の快挙となった。

 多くの大舞台を経験しているが、授賞式では役所広司、坂本龍一、寺尾聰など映画賞でしか会えないような大先輩たちの集結に身も心も固まった。壇上で「主演男優賞という大きなものをまだ24歳の僕が頂いていいのかなって。これが感無量ってことかなって思います」。顔をこわばらせながらも、受賞の喜びをかみ締めた。

 緊張が和らいだ場面は、わずか2回。「―荒野」チームでの写真撮影の場。同作で演じたボクサー・新次のボクシンググローブのような赤いシャツの袖が際立つなか、ファイティングポーズをとった。そして「お兄ちゃんみたい」と慕う、事務所の先輩であり「キセキ」で兄弟役を演じた松坂桃李から花束を受け取った時。兄からの祝福に人懐っこい笑顔で固い握手をした。

 ド緊張の菅田をさらに緊張させ、失意の叫び声を上げさせたのが北野武監督の存在だった。写真撮影の時、隣には「アウトレイジ」3部作で特別賞を受賞した北野監督がいた。「火花」でビートたけしの代表曲「浅草キッド」をカバーするなど思い入れは強かった。

 表彰式後に記者が「北野監督と話しましたか?」と聞くと、大きく目を見開き、冒頭の叫び声が飛び出した。「話してない…やってもうた!」と頭を抱えた。世界のキタノを横目に「緊張して、ただただボーッとしてた」と真っ青に。

 その後も「(米津玄師とのコラボ曲)『灰色と青』は『キッズ・リターン』をイメージしているんですよ」「『アウトレイジ』見ました」。監督はその場にいなかったが、話したかったことがあふれ出した。「こんなにもご縁があったのに…悔やまれる」。出てくる言葉全てが後悔だった。「映画で北野監督と再会したいか?」という質問には「そうですね」。言葉は少なかったが、その目は映画を愛する少年のように輝いていた。

 不思議なつながりがある菅田将暉と北野武監督。むしろ、今回2人の人生が交わらなくてよかったのかもしれない。夢を追い続ける24歳の若手俳優と70歳の巨匠のご縁はどうか、スクリーンの中で結ばれますように。 (記者コラム

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