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CSはセ・パたすきがけで 連日の雨で日程不備が再クローズアップ

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↑5回2死一塁、石崎の投球を避けた時に体勢を崩して倒れる筒香のユニホームは泥だらけに

 ある意味、歴史的なゲームに立ち会った。10月15日のセ・リーグのクライマックスシリーズ第1ステージ2戦目(阪神・DeNA)は甲子園の内野が全面水浸しの中で行われた。記者席の並びは、左隣に山田久志氏(日刊スポーツ評論家)、右隣に福本豊氏(スポーツ報知評論家)だった。

 「福ちゃん、長い間野球を見てきたけど、初めて見るわ」

 「ほんまやで。高校野球でもやらん」

 阪急のレジェンドOBの私を飛び越えての会話にうなずいた。レギュラーシーズンなら間違いなく、試合前に中止が決まっていた。クライマックスシリーズという特異な性質が、生み出した異様な光景。いろいろと考えさせられることが多かった。

 予定通り12時に開門した時点で、すでにノーゲームの選択は難しかった。CSのチケットは日付売りでなく、2戦目としての試合売り。中止となった場合、入場したファンは翌日に半券を持ってきて再入場となる。場内アナウンスで注意を呼びかけていたが、観客4万6761人の何人かは「知らなかった」となるに違いない。

 月曜日は仕事で来られない人だってたくさんいたはず。逆に第3戦のチケットを持ってきて「なぜ、入れない」と怒るファンも出てくる。「大混乱は間違いなかったので、入場後の中止は避けたかった」と、球場関係者は、試合成立に胸をなで下ろしていた。

 強行開催自体は、両球団ともに「ウィンウィンの関係」だった。16日はさらに悪天候の予報だったため、2試合連続中止が見込まれていた。その場合、初戦を取った阪神の負け越しはなくなり、17日の予備日の開催は行わずに、最終ステージ進出が決まるところだった。

 阪神側からすると、現場はラッキーだが、営業面で考えると1試合あたり3億円近い売り上げが水の泡となる。DeNAにとっても消化不良の敗退は避けたかった。両チームの事情を忖度(そんたく)して、セ・リーグの杵渕(きねふち)総括が開催へGOサインを出したというわけだ。

 誤算だったのは、いったん降りやむと思われた雨が降りつづけたこと。プレーボール直後は何とか持っていたグラウンド状態も、試合序盤で水が浮き始めた。だが、5回終了の試合成立前に「グラウンド不良」を超えており、雨が激しく降らない限りはコールドの選択も取りづらかった。

 こういう事態が現実に起きると、予備日が1日しかない日程の不備がクローズアップされる。第1Sと最終Sの間隔に余裕を持たせることは、リーグ優勝チームの優位性が損なわれるため、避けたいという。勝ち上がってきたチームの第1Sの初戦で登板したエース格の投手が、最終ステージで1試合しか先発できないようにするためだ。

 1勝のアドバンテージだけでも十分な気もするが、日程的な優位性をなくすどころか、さらなるハンデを求めている球団もあるという。1勝のアドバンテージが新設された2008年以降、下克上の日本シリーズ進出を果たしたのは、2010年のロッテと、14年の阪神だけ。リーグ優勝チームが「勝って当たり前感」がさらに強まると、ゲーム的な面白みは損なわれるはずだ。

 MLBのポストシーズンのように、レギュラーシーズンと別物として盛り上げるには、現行制度の手直し程度では無理だろう。セとパの対決という日本シリーズの前提を崩すことになるが、個人的には、セ1位・パ2位、パ1位・セ2位のたすき掛けで、ホームとビジターでの両開催が一番盛り上がると思うのだが…。

 そもそもだが、6チーム中3位だったチームが「日本一」になれる制度なんて、やっぱりどこかおかしい。(記者コラム・島尾 浩一郎)

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