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いつか上原先輩のように…ロッテのドラ2・酒居のプロ人生が幕を開けた

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↑4日の楽天戦でプロ初先発したロッテ・酒居

 白星こそつかなかったが、苦しい戦いを続けるチームで希望を感じさせる快投だった。4日の楽天戦(コボパーク)。ロッテのドラフト2位右腕・酒居が、プロ初先発で8回1失点に抑えながら、右ふくらはぎをつってマウンドを譲った9回にチームはリードを守れず、逆転サヨナラ負け。18年前に7回途中4失点で黒星デビューを喫した大体大の先輩で、カブスで活躍する“上原超え”の勝利はならなかった。

 「自分のやってきた以上のものは出ない。自分を信じることが一番」と地に足ついた24歳。178センチ、80キロと決して大きくはない。むしろ、1軍先発陣では最も小柄だ。比較するのは恐れ多いが、上原が大学から直接ドラフト1位で巨人入りしたのに対し、酒居は卒業後に大阪ガスで2年を過ごした。大先輩の大学通算36勝に遠く及ばないが、酒居も3年秋にMVPを獲得するなど15勝。4年の大学選手権で白星を挙げ、順調にステップアップしてきた。

 酒居は昨年まで上原と面識はない。だからこそ、どうしてもプロ入りに際してあいさつしておきたかった。1月の新人合同自主トレのある休日のこと。関係者に頼み込み、都内で自主トレを行うベテラン右腕のもとを思い切って訪れた。

 初めて対面し「あいさつだけでしたけど、優しかったですね」。それだけではない。思わぬ幸運に恵まれた。ブルペン投球するメジャー右腕をマウンド後方から見学。「スプリットを投げられてたんですけど、軽く投げてもすごい変化でした」と驚きの表情。超一流のレベルを目の当たりにし、自分が飛び込んだ世界のすごさに気が引き締まった。

 ドラフト1位の佐々木ばかりが注目される中、開幕ローテこそ外れたが、4月下旬に初昇格。中継ぎとはいえ、1軍の雰囲気を体感できたことは大きかった。夏場に状態を上げ、満を持しての再昇格だ。2度目の先発は8月11日の西武戦(ZOZO)。その翌週は5連戦のため先発が余るが、期待以上の好投で18日のオリックス戦(京セラD)も内定した。

 「本拠地で(初勝利)できるのが一番いい」。プロ野球生活は始まったばかり。大先輩の遠く見えない背中を地道に追いかけながら、自分の投球を続けていれば、おのずと白星が転がり込んでくるはずだ。(記者コラム・田島 正登)

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