↑IWGPヘビー級王者のオカダ・カズチカ(左)と昨年のG1覇者、ケニー・オメガ
新日本プロレスの夏の本場所「2017 G1クライマックス27」が17日に北海きたえーる(北海道立総合体育センター)で開幕する。G1の開幕戦と言えば、IWGP王者や前年覇者が敗れるなど、いつも波乱の幕開けというイメージがある。
そもそも第1回大会の1991年は、開幕戦(8月7日・愛知県体育館)で“絶対権力者”の長州力を後輩の蝶野正洋が破る下克上でスタートした(そして蝶野が優勝)。昨年の開幕戦は、今年と同じく北海きたえーるでの開幕戦(7月18日)で、IWGPヘビー級王者のオカダ・カズチカが、プロレスリング・ノアの丸藤正道に敗れる波乱の展開に。
今年の開幕カードはというと…。Aブロック公式戦が4試合。“最後の出場”永田裕志VS YOSHI‐HASHI、真壁刀義VSバッドラック・ファレ、後藤洋央紀VS石井智宏、棚橋弘至VSザック・セイバーJr.、そして飯伏幸太VS内藤哲也。
現IWGPヘビー級王者のオカダや前年覇者のケニー・オメガはアンダーカードのタッグマッチに出場する。棚橋はIWGPインターコンチネンタル王者だが、オカダやケニーが公式リーグ開幕で敗れる大波乱は回避されている。だからといって見過ごしていいはずがない。
昨年度のプロレス大賞(東京スポーツ制定)。年間最高試合賞(ベストバウト)は、G1開幕戦のオカダVS丸藤だった。選考委員の末席にいて、この試合を生で見ていないことを恥ずかしく思った。議論にもなったが、同年10月10日に東京・両国国技館で行われたIWGPヘビー級選手権での再戦(オカダが勝利)ではなくて、である。
歴史をひもとけば、タイトルマッチや、リーグ戦の決勝戦ではない一公式戦がベストバウトになることは、過去にもあった。2013年度のG1公式リーグ戦での中邑真輔VS飯伏幸太(8月4日・大阪府立体育会館、中邑が勝利)、1986年度のIWGP公式リーグ戦での藤波辰巳VS前田日明(6月12日・大阪城ホール、引き分け)。しかも、いずれの試合も両雄ともにリーグ優勝を逃しているのも興味深い。
12日未明にCSテレ朝チャンネル2で放送された「ワールドプロレスリング完全版」で、昨年7月18日の開幕戦をやっていた。第1試合の8人タッグマッチで、現在は頭部負傷で欠場中の柴田勝頼と本間朋晃が元気に入場している姿を見て、回復を願った。完全版再放送はCSならではの楽しみがある。そしてメインの年間最高試合。
G1クライマックスAブロック公式戦、IWGPヘビー級王者のオカダ・カズチカと元GHCヘビー級王者の丸藤正道(当時の王者は潮崎豪)の初対決。地上波のダイジェスト放送では、わからなかった興奮が伝わる。オカダはIWGPヘビー級のベルト、丸藤は当時保持していたGHCタッグのベルトを巻いて入場し、両団体の頂上決戦の雰囲気を演出。解説席の獣神サンダーライガーが「ぞくぞくします。いい試合だな。解説休んでいい?」と言うほどの攻防。
19分7秒、ポールシフト式エメラルドフロウジョンからのエビ固めで勝利した丸藤は「オカダ選手は本当に素晴らしい。世界を探してもあんないい選手はいない。次やったらわからない。だが、この夏を制するのはこの俺だ」と叫んだ。結局、優勝は外国人初戴冠となるケニー・オメガだった。
1年たって、ノアとの提携は切れ、今年は丸藤は不在。代わりにノアに出ていた鈴木みのるが帰ってきた。それよりも2年ぶりのG1復帰で開幕メインを飾る飯伏幸太に期待したい。相手は昨年度プロレス大賞MVPの内藤だ。北海道で生観戦できない人には、CSテレ朝チャンネル2で完全生中継されるのも魅力だ。開幕まで待ちきれない人は、“歴代G1ベストバウト総選挙”を個々にどうぞ。(酒井 隆之)
新日本プロレスの夏の本場所「2017 G1クライマックス27」が17日に北海きたえーる(北海道立総合体育センター)で開幕する。G1の開幕戦と言えば、IWGP王者や前年覇者が敗れるなど、いつも波乱の幕開けというイメージがある。
そもそも第1回大会の1991年は、開幕戦(8月7日・愛知県体育館)で“絶対権力者”の長州力を後輩の蝶野正洋が破る下克上でスタートした(そして蝶野が優勝)。昨年の開幕戦は、今年と同じく北海きたえーるでの開幕戦(7月18日)で、IWGPヘビー級王者のオカダ・カズチカが、プロレスリング・ノアの丸藤正道に敗れる波乱の展開に。
今年の開幕カードはというと…。Aブロック公式戦が4試合。“最後の出場”永田裕志VS YOSHI‐HASHI、真壁刀義VSバッドラック・ファレ、後藤洋央紀VS石井智宏、棚橋弘至VSザック・セイバーJr.、そして飯伏幸太VS内藤哲也。
現IWGPヘビー級王者のオカダや前年覇者のケニー・オメガはアンダーカードのタッグマッチに出場する。棚橋はIWGPインターコンチネンタル王者だが、オカダやケニーが公式リーグ開幕で敗れる大波乱は回避されている。だからといって見過ごしていいはずがない。
昨年度のプロレス大賞(東京スポーツ制定)。年間最高試合賞(ベストバウト)は、G1開幕戦のオカダVS丸藤だった。選考委員の末席にいて、この試合を生で見ていないことを恥ずかしく思った。議論にもなったが、同年10月10日に東京・両国国技館で行われたIWGPヘビー級選手権での再戦(オカダが勝利)ではなくて、である。
歴史をひもとけば、タイトルマッチや、リーグ戦の決勝戦ではない一公式戦がベストバウトになることは、過去にもあった。2013年度のG1公式リーグ戦での中邑真輔VS飯伏幸太(8月4日・大阪府立体育会館、中邑が勝利)、1986年度のIWGP公式リーグ戦での藤波辰巳VS前田日明(6月12日・大阪城ホール、引き分け)。しかも、いずれの試合も両雄ともにリーグ優勝を逃しているのも興味深い。
12日未明にCSテレ朝チャンネル2で放送された「ワールドプロレスリング完全版」で、昨年7月18日の開幕戦をやっていた。第1試合の8人タッグマッチで、現在は頭部負傷で欠場中の柴田勝頼と本間朋晃が元気に入場している姿を見て、回復を願った。完全版再放送はCSならではの楽しみがある。そしてメインの年間最高試合。
G1クライマックスAブロック公式戦、IWGPヘビー級王者のオカダ・カズチカと元GHCヘビー級王者の丸藤正道(当時の王者は潮崎豪)の初対決。地上波のダイジェスト放送では、わからなかった興奮が伝わる。オカダはIWGPヘビー級のベルト、丸藤は当時保持していたGHCタッグのベルトを巻いて入場し、両団体の頂上決戦の雰囲気を演出。解説席の獣神サンダーライガーが「ぞくぞくします。いい試合だな。解説休んでいい?」と言うほどの攻防。
19分7秒、ポールシフト式エメラルドフロウジョンからのエビ固めで勝利した丸藤は「オカダ選手は本当に素晴らしい。世界を探してもあんないい選手はいない。次やったらわからない。だが、この夏を制するのはこの俺だ」と叫んだ。結局、優勝は外国人初戴冠となるケニー・オメガだった。
1年たって、ノアとの提携は切れ、今年は丸藤は不在。代わりにノアに出ていた鈴木みのるが帰ってきた。それよりも2年ぶりのG1復帰で開幕メインを飾る飯伏幸太に期待したい。相手は昨年度プロレス大賞MVPの内藤だ。北海道で生観戦できない人には、CSテレ朝チャンネル2で完全生中継されるのも魅力だ。開幕まで待ちきれない人は、“歴代G1ベストバウト総選挙”を個々にどうぞ。(酒井 隆之)