昨年、結成から10年が経過したAKB48。トップを極めたメンバーから、グループではそこまで輝きを見せることができなかったアイドルまで、“元AKB48”という肩書きを持つ人は多数いるが、卒業後の進路はモデルやタレント、歌手とさまざまだ。そんな中、最もオーソドックスではあるが、厳しい道が“女優”というジャンルだろう。多くの元AKBグループのメンバーたちが卒業後、「女優としてやっていきたい」と明確な意思をみせた。ここでは、女優という仕事に進む彼女たちの活動を検証してみたい。
↑前田敦子
「AKB48卒業⇒女優」という流れでまず思い浮かぶのが前田敦子だろう。デビュー前から「演技をしたい」という想いを抱いていたことは今となっては有名だが、AKB48在籍時からドラマや映画には意欲的に出演していた。以前のインタビューでは「1ヶ月平均して20~30本は映画を見る」と映画マニアを公言していたが、女優という仕事への想いの強さは本人の立ち振る舞いからはヒシヒシと伝わる。
出演作もなかなか渋く、AKB48卒業寸前に公開された『苦役列車』(12年/東映)や『もらとりあむタマ子』(13年/ビターズ・エンド)、『さよなら歌舞伎町』(15年/東京テアトル)らの作品では、非常に“華のない役”を、自身の持つ独特な存在感で見事に演じ切った。前田が大好きだと言っている山下敦弘監督も「普通の役をやるイメージがない」と女優としての引き出しの多さを評価していた。また山下監督をはじめ、廣木隆一監督、堤幸彦監督、最新作『モヒカン故郷に帰る』の沖田修一監督など、映画ファンから評価の高い監督から出演のオファーがあるということも、彼女の女優としての前途が洋々であることを示しているだろう。
そんな状況に「感謝」を述べる一方で“女優”という仕事に対して謙虚な発言が多い。日プロ大賞で主演女優賞を受賞した際「わたしにと言っていただける役なら、どんな役でもチャレンジした」と満面の笑顔で語っていた。大好きな世界だからこそ“壊したくない”“大切にしたい”という気持ちが感じられる。
↑大島優子
前田と共にAKB48の一時代を築いた大島優子も、卒業後の進路を“女優”と明言した一人だ。卒業後出演した映画『紙の月』(14年/松竹)では、宮沢りえ扮する主人公・梅澤梨花の後輩銀行員・相川恵子を演じた。映画オリジナルキャラクターという位置づけで注目度も高く、本作で第38回日本アカデミー賞助演女優賞ノミネートや、報知映画賞・助演女優賞などを受賞した。
その後、フジテレビ系ドラマ『銭の戦争』でヒロイン、TBS系ドラマ『ヤメゴク~ヤクザやめて頂きます~』で連続ドラマ初主演を務めるなど、メジャーな露出を展開する一方、劇場公開数20館弱というタナダユキ監督がメガホンをとった映画『ロマンス』(15年/東京テアトル)で主演を務め、大倉孝二、窪田正孝ら実力派俳優たちと味のある演技をみせた。現時点で前田ほど幅広い作品での女優活動は行っていないが、9月に公開される堤幸彦監督の『真田十勇士』(松竹/日活)では火垂を演じる。同時期に上演される舞台版では篠田麻里子が火垂を演じる予定になっており、堤監督の評価とともにどんな演技を見せるか注目だ。
前田、大島と同じく卒業後、女優の道をまい進しているのが秋元才加だ。AKB48在籍時から、『ハイキック・ガール』(09年/ヘキサゴン・ピクチャーズ)や『ウルトラマンサーガ』(12年/松竹)などアクション系の作品への出演があったが、卒業後『奴隷区 僕と23人の奴隷』(14年/ティ・ジョイ)ではハードな役柄で新境地を見せた。当時「卒業によって(アイドルというイメージが消えて)役柄の幅が広げられそう」と期待を口にしつつも「女優です」とはっきり言い切る自信がないという胸の内を明かし「いろいろな選択肢を持つことで“逃げ道”を作り、“傷つかないように”という予防線を張っていた」と発言していた。
そんな秋元も、三谷幸喜の舞台『国民の映画』(14年)に抜擢されたことによって意識が変わった。好きな仕事を逃げずに向き合うことにより、演技の幅も広がった。恩人である三谷の『ギャラクシー街道』(15年/東宝)をはじめ、小規模公開であるが『マンゴーと赤い車椅子』(15年/アイエス・フィールド)、『媚空 -ビクウ-』(15年/東北新社)で主演を務め、存在感を示した。
一方、篠田麻里子や板野友美はAKB48卒業後、モデルやアーティスト活動などを中心に行ったいた印象を受ける。実際、篠田は「演技は一番向いていない職業だと思っていた」と積極的に女優という仕事に向き合っていなかったと吐露していた。板野も出演作はコンスタントにあったが、演じることを主軸には置いていなかった。
しかし、板野は現在公開中の『のぞきめ』(KADOKAWA/プレシディオ)で映画初主演を果たし、篠田も『リアル鬼ごっこ』(15年/松竹・アスミック・エース)でトリプルヒロインの1人ケイコを、4月29日公開の『テラフォーマーズ』(ワーナー)でも火星に降り立つ乗組員・大迫空衣を演じるなど活動に変化が見られる。篠田は『リアル鬼ごっこ』の現場で園子温監督から多くの影響を受け「お芝居に関する考え方、楽しさが分かってきた」と発言している。板野も、劇場版アニメーション映画『くるみ割り人形』(14年/アスミック・エース)で声優挑戦した際、アーティスト活動とは違う女優という表現方法に前向きな姿勢をみせていた。
さらに昨年、AKB48グループを卒業し“女優宣言”した川栄李奈や松井玲奈の活動にも注目が集まっている。特に川栄は、卒業直後に出演した舞台『AZUMI 幕末編』でみせた演技が高く評価され、現在放送中の連続テレビ小説『とと姉ちゃん』では森田屋の一人娘・富江を演じるほか、10月公開予定の映画『デスノート 2016』(ワーナー)にも出演。これらの作品の評価次第では大いなる飛躍が期待できる。松井も6月から舞台『新・幕末純情伝』で沖田総司役を演じる。過去には広末涼子、石原さとみ、鈴木杏、桐谷美玲らも沖田を演じており、どんな芝居をみせるか今から注目されている。
AKB48に限らず、アイドルから女優へのシフトチェンジには「そんなに甘くない」という否定的な先入観を持つ人が多いのは事実だろう。特に一時代を築いたAKB48グループのメンバーとなれば、それはさらに強まる。本人たちも自覚しているのか、会見やインタビューでは「勉強させていただく」等の謙虚な発言が多い。そんな自信のなさを解消していくのは“経験”と“出会い”なのだろう。
女優としての潜在能力を開花させるには、力を引き出せるクリエイターとの出会いは必須といえる。前田は、世界観に心酔しているという山下監督の『苦役列車』で女優として高い評価を得て『もらとりあむタマ子』で再タッグを組んだ。篠田は園監督の現場で女優という仕事に魅了され、秋元は三谷監督との出会いで女優業に正面から向き合う決意を固めたと語っている。
それぞれが出演している作品はエンタメ系、アート系とさまざまだが、アイドルとして一線で活躍してきた彼女たちにとってはすでに認知されている“華”よりも“陰”をどれだけ新しい一面として表現できるか、そんな部分を引き出せるクリエイターとの出会いが“女優”としての成否の明暗を分けるのではないだろうか。こんな視点で彼女たちの今後の活動を見てみるのも面白いかもしれない。
my message
自分的にはAKB48を卒業してから活躍してるのは前田敦子や大島優子ですね。
大島優子は自分の夢のために頑張っていますし、前田敦子もどんな役でも嫌がらずにやってますからね。
高橋みなみの活躍に期待していきたい。
by blog described person
↑前田敦子
「AKB48卒業⇒女優」という流れでまず思い浮かぶのが前田敦子だろう。デビュー前から「演技をしたい」という想いを抱いていたことは今となっては有名だが、AKB48在籍時からドラマや映画には意欲的に出演していた。以前のインタビューでは「1ヶ月平均して20~30本は映画を見る」と映画マニアを公言していたが、女優という仕事への想いの強さは本人の立ち振る舞いからはヒシヒシと伝わる。
出演作もなかなか渋く、AKB48卒業寸前に公開された『苦役列車』(12年/東映)や『もらとりあむタマ子』(13年/ビターズ・エンド)、『さよなら歌舞伎町』(15年/東京テアトル)らの作品では、非常に“華のない役”を、自身の持つ独特な存在感で見事に演じ切った。前田が大好きだと言っている山下敦弘監督も「普通の役をやるイメージがない」と女優としての引き出しの多さを評価していた。また山下監督をはじめ、廣木隆一監督、堤幸彦監督、最新作『モヒカン故郷に帰る』の沖田修一監督など、映画ファンから評価の高い監督から出演のオファーがあるということも、彼女の女優としての前途が洋々であることを示しているだろう。
そんな状況に「感謝」を述べる一方で“女優”という仕事に対して謙虚な発言が多い。日プロ大賞で主演女優賞を受賞した際「わたしにと言っていただける役なら、どんな役でもチャレンジした」と満面の笑顔で語っていた。大好きな世界だからこそ“壊したくない”“大切にしたい”という気持ちが感じられる。
↑大島優子
前田と共にAKB48の一時代を築いた大島優子も、卒業後の進路を“女優”と明言した一人だ。卒業後出演した映画『紙の月』(14年/松竹)では、宮沢りえ扮する主人公・梅澤梨花の後輩銀行員・相川恵子を演じた。映画オリジナルキャラクターという位置づけで注目度も高く、本作で第38回日本アカデミー賞助演女優賞ノミネートや、報知映画賞・助演女優賞などを受賞した。
その後、フジテレビ系ドラマ『銭の戦争』でヒロイン、TBS系ドラマ『ヤメゴク~ヤクザやめて頂きます~』で連続ドラマ初主演を務めるなど、メジャーな露出を展開する一方、劇場公開数20館弱というタナダユキ監督がメガホンをとった映画『ロマンス』(15年/東京テアトル)で主演を務め、大倉孝二、窪田正孝ら実力派俳優たちと味のある演技をみせた。現時点で前田ほど幅広い作品での女優活動は行っていないが、9月に公開される堤幸彦監督の『真田十勇士』(松竹/日活)では火垂を演じる。同時期に上演される舞台版では篠田麻里子が火垂を演じる予定になっており、堤監督の評価とともにどんな演技を見せるか注目だ。
前田、大島と同じく卒業後、女優の道をまい進しているのが秋元才加だ。AKB48在籍時から、『ハイキック・ガール』(09年/ヘキサゴン・ピクチャーズ)や『ウルトラマンサーガ』(12年/松竹)などアクション系の作品への出演があったが、卒業後『奴隷区 僕と23人の奴隷』(14年/ティ・ジョイ)ではハードな役柄で新境地を見せた。当時「卒業によって(アイドルというイメージが消えて)役柄の幅が広げられそう」と期待を口にしつつも「女優です」とはっきり言い切る自信がないという胸の内を明かし「いろいろな選択肢を持つことで“逃げ道”を作り、“傷つかないように”という予防線を張っていた」と発言していた。
そんな秋元も、三谷幸喜の舞台『国民の映画』(14年)に抜擢されたことによって意識が変わった。好きな仕事を逃げずに向き合うことにより、演技の幅も広がった。恩人である三谷の『ギャラクシー街道』(15年/東宝)をはじめ、小規模公開であるが『マンゴーと赤い車椅子』(15年/アイエス・フィールド)、『媚空 -ビクウ-』(15年/東北新社)で主演を務め、存在感を示した。
一方、篠田麻里子や板野友美はAKB48卒業後、モデルやアーティスト活動などを中心に行ったいた印象を受ける。実際、篠田は「演技は一番向いていない職業だと思っていた」と積極的に女優という仕事に向き合っていなかったと吐露していた。板野も出演作はコンスタントにあったが、演じることを主軸には置いていなかった。
しかし、板野は現在公開中の『のぞきめ』(KADOKAWA/プレシディオ)で映画初主演を果たし、篠田も『リアル鬼ごっこ』(15年/松竹・アスミック・エース)でトリプルヒロインの1人ケイコを、4月29日公開の『テラフォーマーズ』(ワーナー)でも火星に降り立つ乗組員・大迫空衣を演じるなど活動に変化が見られる。篠田は『リアル鬼ごっこ』の現場で園子温監督から多くの影響を受け「お芝居に関する考え方、楽しさが分かってきた」と発言している。板野も、劇場版アニメーション映画『くるみ割り人形』(14年/アスミック・エース)で声優挑戦した際、アーティスト活動とは違う女優という表現方法に前向きな姿勢をみせていた。
さらに昨年、AKB48グループを卒業し“女優宣言”した川栄李奈や松井玲奈の活動にも注目が集まっている。特に川栄は、卒業直後に出演した舞台『AZUMI 幕末編』でみせた演技が高く評価され、現在放送中の連続テレビ小説『とと姉ちゃん』では森田屋の一人娘・富江を演じるほか、10月公開予定の映画『デスノート 2016』(ワーナー)にも出演。これらの作品の評価次第では大いなる飛躍が期待できる。松井も6月から舞台『新・幕末純情伝』で沖田総司役を演じる。過去には広末涼子、石原さとみ、鈴木杏、桐谷美玲らも沖田を演じており、どんな芝居をみせるか今から注目されている。
AKB48に限らず、アイドルから女優へのシフトチェンジには「そんなに甘くない」という否定的な先入観を持つ人が多いのは事実だろう。特に一時代を築いたAKB48グループのメンバーとなれば、それはさらに強まる。本人たちも自覚しているのか、会見やインタビューでは「勉強させていただく」等の謙虚な発言が多い。そんな自信のなさを解消していくのは“経験”と“出会い”なのだろう。
女優としての潜在能力を開花させるには、力を引き出せるクリエイターとの出会いは必須といえる。前田は、世界観に心酔しているという山下監督の『苦役列車』で女優として高い評価を得て『もらとりあむタマ子』で再タッグを組んだ。篠田は園監督の現場で女優という仕事に魅了され、秋元は三谷監督との出会いで女優業に正面から向き合う決意を固めたと語っている。
それぞれが出演している作品はエンタメ系、アート系とさまざまだが、アイドルとして一線で活躍してきた彼女たちにとってはすでに認知されている“華”よりも“陰”をどれだけ新しい一面として表現できるか、そんな部分を引き出せるクリエイターとの出会いが“女優”としての成否の明暗を分けるのではないだろうか。こんな視点で彼女たちの今後の活動を見てみるのも面白いかもしれない。
my message
自分的にはAKB48を卒業してから活躍してるのは前田敦子や大島優子ですね。
大島優子は自分の夢のために頑張っていますし、前田敦子もどんな役でも嫌がらずにやってますからね。
高橋みなみの活躍に期待していきたい。
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