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滋賀のエース、神村月光の最後の夏が始まる

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↑16年のセンバツで力投する滋賀学園・神村月光

 夏の高校野球シーズンが到来した。私のふるさと滋賀県の大本命は2年連続センバツ出場を果たし、春夏連続出場を狙う滋賀学園だ。ケガから復帰した沖縄出身のエース右腕・神村月光(3年)の最後の夏に注目したい。

 滋賀県はいまだ甲子園での優勝経験がない。2001年に近江が夏の甲子園で準優勝を果たして以降も夏は3回戦が最高成績、センバツはベスト8が最高で過去に準決勝進出したことがない近畿で唯一の県だ。滋賀学園のセンバツではエース神村の登板はなかったが、それでも2回戦で福岡大大濠との延長15回引き分け再試合の死闘を繰り広げ甲子園を沸かせた。夏の大会で復活する大黒柱の存在が加わり近年の県内でトップクラスのチームだと期待を寄せている。

 私もかつて甲子園で勝つことを目標に滋賀県の彦根東で白球を追いかけたが、09年のセンバツは1回戦負け。自分がぎりぎりレギュラーで出場した10年夏の滋賀大会は決勝で敗れ甲子園には届かなかった。

 県内の野球部の雰囲気は、全国上位のチームに公式戦で勝利したり、ましてや全国制覇は絵空事のように感じていた。しかし昨春センバツでベスト8になった滋賀学園の活躍はそんな雰囲気を吹き飛ばすものだった。

 その立役者の神村は一昨年の秋の近畿大会では一人で全試合を投げ抜いた。170センチと小柄ながら伸びのある140キロ超の直球と縦横のスライダーを武器に、報徳学園、龍谷大平安を破るなど決勝へコマを進めた。大阪桐蔭に2-3で敗れたものの後一歩のところまで追い詰め昨春のセンバツ切符を掴んだ。センバツでは桐生第一(群馬)、釜石(岩手)に勝利し、この年の覇者・智弁学園に敗れたが、当時2年のエースの奮戦には目を奪われた。「有名な相手であれば自分の、そしてチームの株をあげるチャンスだと思っています。僕は有名になりたい。強い相手ほど燃えますね」と大舞台で物怖じしないマウンド度胸も魅力的だ。

 1年の秋からエースとして活躍する神村だったが、投げすぎたこともあり体重は昨春センバツ時の67キロから昨秋は63キロまで落ち調子をくずした。冬はノースローの期間も作って今春のセンバツに備えたが、腰痛のため登板を回避。「無理してでも投げたいという思いはありましたが、投げられない間はチームのために尽くすことに集中しました」と今春のセンバツでは伝令としてマウンドに走りナインを鼓舞した。

 登板しない期間の収穫もあった。神村は5月28日の練習試合から実戦復帰。ベンチにいるときはバッターを観察し配球をシュミレーションした。「キャッチャーのリードの狙いが分かるようになった。ここはこの球で勝負だと思ったらサインもそれがでる。投球に迷いがなく腕をふることができるようになった」と1年秋からバッテリーを組む後藤との呼吸がさらに合うようになった。体重も現在は72キロまで増量。「フォームが安定して、全力で投げなくても質の良い球を投げることができるようになり省エネで投球ができるようになりました」と手ごたえを掴んでいる。

 滋賀学園の初戦は7月9日。腰痛から復帰した神村に加え、今センバツで好投した棚原(3年)、宮城(2年)、光本(2年)に外野手の武井(3年)も144キロをマークし、左投手はいないが投手力は磐石。攻撃面では高校通算30発超の捕手・後藤(3年)が打線を引っ張る。「目指すのは全国制覇。でも上ばかり見てたら足もとをすくわれてしまう。目の前の1試合1試合が勝負。気づいたらてっぺんにいるのが理想ですね」と神村。まずは昨年逃した春夏連続甲子園出場へ。慢心を一切捨てて勝負に挑む。

 最後に母校の彦根東も今春の近畿大会で準決勝で大阪桐蔭にサヨナラ負けしたものの勝利まであとアウト3つのところまで善戦した。私が現役のころは大阪桐蔭との練習試合では、身体能力の差に圧倒され、「本当に同じ高校生ですか?」と心の中で苦笑いした記憶しかなかった。滋賀県の野球レベルは上がっているなあとしみじみと感じる。現在は東京勤務なので滋賀大会を撮りに行けないが、関東圏の甲子園をかけた地方予選を取材できる日が待ち遠しい。同じ夢を見た一人の高校野球ファンとして、カメラマンとして熱い野球の夏を楽しみたい。

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