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菊池涼介は世界一のセカンドの称号を手にするか

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↑12日のオランダ戦7回1死一塁、ボガーツのゴロを好捕した二塁手・菊池(遊撃手は坂本

 中日のエースだった川上憲伸は、ブレーブスでのメジャー挑戦1年目を終えた2009年オフに先輩投手につぶやいたという。

 「山本さん、アライバはやっぱりすごいですね。米国に行って『抑えた!』と思った当たりが外野に抜けていくんです。今まで、どれだけ助けられていたか分かりましたよ」

 投手王国だったドラゴンズをけん引していた川上と山本昌のWエース。この2人が誰よりも認め、頼りにしていたのが荒木雅博、井端弘和の二遊間だった。

 アライバコンビは04年から6年連続でゴールデングラブ賞を獲得した。めったなことで選手を褒めない落合博満も、特に荒木の守備範囲を買っていた。

 「こいつはな、世界一のセカンドだよ。メジャーでも、うまいショートはいっぱいいるだろう。でも、二塁でこれだけ動けるやつはそうそういないよ」

 もちろん落合がメジャー30球団の二遊間をすべて知り尽くしていたわけではない。ただ、当時の荒木の守備力は群を抜いていた。

 そんな名手が今、ある他球団の後輩二塁手に胸を躍らせている。

 「菊池のプレーってすごいよね。ワクワクする。あんなにすごいやつは見たことがないよ」

 かつて荒木が当たり前のように受賞していた二塁のゴールデングラブは、13年から4年連続で菊池涼介が獲得している。名実ともにふさわしい後継者が現れたのだ。

 それにしても、WBC・オランダ戦の菊池の動きは圧巻だった。7回1死一塁でボガーツの二遊間の打球に飛びつき、遊撃の坂本勇人に素早くトスした。オランダベンチからも拍手が起こるほどのスーパープレー。でも、本人の表情はトスがそれ、併殺が奪えなかった悔しさをのぞかせていた。

 完璧主義者の一面も、荒木と重なる部分だ。

 荒木はWBCの出場経験はないが、07年にドミニカ共和国のウインター・リーグに挑戦する意思を固めていた。メジャー最強遊撃手だったオリオールズのミゲル・テハダと二遊間を組む構想もあったという。だが中日が日本シリーズまで勝ち進み、日程的な都合で武者修行を断念した。

 「ドミニカに行きたかったなと思う時は、今でもあるんですよ」

 米国からのスカウトが集うドミニカでプレーすれば、荒木の守備は注目を集めていた可能性が十分にある。だが、国際舞台でその実力を見せることはできなかった。

 10年の歳月を経て、侍ジャパンの背番号4が躍動感あふれる姿を見せている。WBCが終わった時、「世界一のセカンド」の称号を手にしているかもしれない。

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