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脇谷、寺内、松本……。原巨人を支えた“名脇役”たちは再び輝くことができるか【死亡遊戯コラム】

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原辰徳前監督が率いていた頃の読売ジャイアンツから一新しようと、若手起用に積極的となっている高橋由伸監督。

 当時の巨人を支えてきた3選手が、ベテランの域にさしかかり、再び1軍で輝くために今日も2軍で練習している。

原巨人時代のバイプレーヤーは2軍キャンプ

 そこに彼らの名前はなかった。

 2月14日から沖縄セルラースタジアム那覇で行われている那覇キャンプ。
 内野手のメンバーは主力陣に加え、岡本和真、山本泰寛、柿澤貴裕、辻東倫、吉川大幾といった20代前半の若手選手が選出。

 外野手は長野久義とギャレット・ジョーンズというレギュラークラス以外、飛躍を期待される2年目の重信慎之介、北海道日本ハムファイターズから移籍してきた石川慎吾、紅白戦で2塁手起用された立岡宗一郎の3名のみ。

 一気に1軍帯同メンバーが若返り、原巨人時代に貴重なバイプレーヤーとして存在感を発揮していた脇谷亮太、寺内崇幸、松本哲也らのベテラン選手は2軍調整の日々。
 早いもので、若いイメージのあった彼らもそれぞれ30代中盤を迎えようとしている。

 数年前、叩き上げの男たちの活躍に多くのファンが心踊らせたものだ。

 レギュラーのほとんどがドラフト1位選手、FA選手、助っ人外国人選手が占めるビッグクラブ巨人において、ドラフト下位指名、もしくは育成上がりの男たちがチームを救ってみせる。

 皆、プロ野球選手としては小柄で体格に恵まれているわけでもなく、野球エリートでもない。
 それでも、時にレギュラー陣を凌ぐ働きを見せ、ヒーローになった。
 そんな彼らがそれぞれ活躍したシーズンと昨季成績を比較してみよう。

脇谷亮太(35)05年大学生・社会人ドラフト5位
10年 132試合 打率.273 7本塁打 43打点 28盗塁 OPS.729
16年 54試合 打率.157 1本塁打 7打点 0盗塁 OPS.433

寺内崇幸(33)06年大学生・社会人ドラフト6位
13年 114試合 打率.225 2本塁打 12打点 6盗塁 OPS.544
16年 55試合 打率.129 0本塁打 1打点 0盗塁 OPS.290

松本哲也(32)06年育成ドラフト3位
09年 129試合 打率.293 0本塁打 15打点 16盗塁 OPS.665
16年 52試合 打率.174 0本塁打 1打点 2盗塁 OPS.426

 脇谷は10年に2塁手レギュラーとして規定打席に到達し、15試合連続得点のセ・リーグ記録を樹立。前年の09年シーズンには中日ドラゴンズと戦ったクライマックスシリーズでMVPを獲得する勝負強さを発揮し、チームの日本シリーズ進出に大きく貢献してみせた。

 堅い守備が売りの寺内は12年と13年の2年間で計217試合に出場。13年には故障選手の代役としてオールスターに初選出。さらに広島東洋カープとのCSではエース前田健太から貴重な勝ち越し3ランを放ち、日本シリーズでも東北楽天ゴールデンイーグルスのエース田中将大からホームラン。意外性の男として名を馳せる。

 そして、松本哲也は「育成の星」として09年に129試合に出場。当時、育成出身野手初の新人王を獲得。「1番坂本、2番松本」の新世代オーダーで日本一にも貢献した。小さな身体で飛ぶ捨て身のダイビングキャッチは球場を盛り上げ、東京ドームでも人気プレーヤーのひとりだ。

常に「崖っぷち」だった脇役たち

 だが時の流れは早い。昨季はそれぞれ50試合ほどの出場で打率1割台に低迷。
 優勝を逃した球団もオフには大型補強を敢行し、本格的にチーム再生へと舵を切った。

 今キャンプでは彼らより10歳近く年下の選手たちが、首脳陣の熱い視線を受けているのが現実だ。

 求められているのは世代交代。WBCで主力組の坂本勇人やルイス・クルーズがチームを離れ、FA移籍の陽岱鋼も故障で3軍調整中。
 オープン戦では空いたポジションを巡り熾烈な争いが展開されるが、由伸監督もまずは若手を優先的に試すだろう。

 果たして、彼らベテランバイプレーヤーの時代はもう終わってしまったのか?

 いや今思えば、そのキャリアは常に「崖っぷち」だったはずだ。

 脇谷は30歳の時に右肘の靱帯再建手術で育成選手契約を経験。松本は2年目にようやく辿り着いた1軍デビュー戦で1塁ベースを駆け抜けた際、右くるぶし剥離骨折の大怪我。寺内にいたっては、入団仮契約会見で100人は入れる会見場に集まった記者はたったの2人だけだったという。

 屈辱と挫折の野球人生。終わりそうで終わらない。そんなハードな環境で10年以上生き延びてきた。今さら失うものなのなど何もないはずだ。

 毎年春季キャンプではWBC代表組、ドラ1やFA移籍や外国人の新入団選手が話題を独占する。

 だが彼ら「主役」たちだけではプロ野球は成立しないだろう。
 数年前、巨人が強かった頃は、主役はもちろん原前監督からスーパーサブと称された「脇役」の功績も大きかった。

 脇谷亮太、寺内崇幸、松本哲也。

 2017年、巨人軍の終わらない男たちの逆襲を待ちたい。

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