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辻西武「新しい風」に期待

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↑入団会見に臨んだ(前列左から)今井達也、中塚駿太、(中列左から)源田壮亮、辻監督、鈴木将平、(後列左から)平井克典、田村伊知郎

 「きっと新しい風がやってくれるでしょう」。西武・辻発彦監督(58)は、来季へ向け期待を込めてそう言った。

 10月3日に西武は辻氏の監督就任を発表した。鋭い眼光で話す就任会見を見て抱いた印象は、真面目で厳しそう、取材するのが難しそうだなぁというものだった。「辻さん厳しそうですね」と不安に思う選手もいた。

 最初は距離感もつかめず、話しかけるのをためらうこともあった。しかし、就任からの2か月間を見ていると、グラウンド内外で積極的に選手に声をかけたり、担当記者にも昔話や、見出しになりそうなことを言ってくれたりと、コミュニケーションを大事にする「辻色」が見えてきた。

 本当に野球が好きな人なんだなと感じる。ノックの最中には、選手の後ろでトンボをかけたり、ボールを運んだりと裏方に徹することもあり、遠目に見ていてもうずうずしているのが伝わってくる。

 そして、アドバイスなどをして一度スイッチが入ると、指導は1時間を超えることもある。若手のグラブさばきを見て「俺の方がうまいな」とゴールデン・グラブ賞8回のプライドをのぞかせることもあった。

 道具に関しても、履いているアップシューズは必ず自分で洗い「これじゃないとダメなんだ」と洗うためのマイブラシをうれしそうに見せてくれたりと、最初の印象のように厳しくて取材するのが難しいということはなかった。

 それでも、14日の西武の新人入団会見の時に、壇上に上がった6人のルーキーの多くが「(顔が)黒いです」と答えたことには驚かされた。辻監督の第一印象についてだった。自分の父親ほど年が離れた、一見厳しそうな人によくそんなことが言えるなと逆に感心した。

 入団会見後に辻監督は「いや~、やっぱりか。黒いか…」と新人たちの回答にため息を漏らし、何とも言えない表情を見せていたが「いや、堂々としていて頼りになるな」と“新しい風”たちを評価した。

 そんな新監督は3年連続のBクラスとなった古巣の立て直しを託された。その一つとしてドラフト1位の作新学院・今井のキャンプ1軍帯同を示唆。「今井がいることで他の若い投手の刺激にもなるかもしれない」と相乗効果を期待していた。

 さらに「昔と違って、ファンサービスをしないと。今井が南郷に行けば、お客さんもたくさん来るだろうし、マスコミも多く来る」と営業面も考えていた。黄金時代を知る人間だからこそ、今のライオンズの現状が寂しく見え、離れていたからこそ見えてくる部分もあるのだろう。低迷からの脱出を担う“新しい風”は、辻監督なのかもしれない。(記者コラム・吉田 淳)

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