↑陽岱鋼(左)の入団会見は、こんな感じ?(右は高橋監督=写真は合成)
日本ハムから国内フリーエージェント(FA)権を行使し、巨人入団に合意した陽岱鋼外野手(29)について、19日に都内で行われる入団会見の“生中継”が検討されていることが15日、分かった。会見には、地元の台湾から複数のメディアが駆けつける見通し。現地のテレビ局関係者は「テレビでは難しくても、フェイスブックなどで生配信できたら」と話し、台湾が生んだスーパースターの節目の瞬間が、全世界に配信される可能性が出てきた。
陽岱鋼と巨人の契約交渉が合意に達し、台湾を巻き込んだ“狂騒曲”が幕を開けた。地元メディアは一斉に巨人移籍を報道。「聯合報」はこの日、陽が「球団の誠意に感謝します」などと話したことを報じた。「自由時報」は広沢、清原らに並ぶFA移籍史上最長となる5年総額15億円超の契約内容に触れ、「歴史的な大型契約」、「王建民の生涯年俸を超えることが可能」とし、ヤンキース時代の2006年、19勝(6敗)でリーグ最多勝に輝き、メジャー総額で17億円以上を稼いだ台湾球界のエースと比較した。
日本で主力選手に成長した陽は、台湾で圧倒的な人気を誇る。現地では、今季まで在籍した日本ハムの試合が中継されるなど、スターの地位を確立している。台湾の野球人気は、陽の存在によって上昇したという声もある。移籍に伴い、地元紙「アップルデイリー」では、陽が画面から消えるかもしれない―と心配する記事や、「東京まで陽を見に行く」というファンの声を紹介した。
今季の巨人は中堅手を固定できなかったとあって、「自由時報」は「陽岱鋼が穴を埋めるはず」と報道。さらに、日本ハムから巨人に移籍して大成功した選手として、小笠原(現中日2軍監督)の名前を挙げ、地元が誇るスーパースターの成功を期待した。カリスマの移籍によって、地元ではさまざまな反応が起きている。
19日には都内で入団会見を予定。英雄が巨人のユニホームに袖を通す瞬間を一刻も早く伝えようと、台湾のあるテレビ局は入団会見の“生中継”を検討中という。「テレビ生中継は難しいかもしれませんが、フェイスブックなどで生配信できたらと思っている」と関係者。環境面など諸条件がクリアされれば、背番号2の「巨人・陽岱鋼」が台湾を含む全世界に“生中継”される可能性が出てきた。台湾だけでなく、日本にいる巨人ファンも生中継を見られることになる。
19日の球団事務所には、すでに現地の報道陣から複数の問い合わせが届いている。現時点では地元で入団会見が行われるかは未定で、19日には多数の台湾メディアが日本に駆けつける見通し。2月の春季キャンプやペナントレースにかけてもフィーバーが続く可能性がある。端正なマスクと華やかなプレースタイルでファンを魅了する陽岱鋼。北海道から東京へ戦いの舞台を移す英雄の一挙手一投足が、国境を越えて注目されている。
◆過去の新入団フィーバー
▽ボブ・ホーナー 大リーグ・ブレーブスの大砲は87年4月、2年連続最下位と低迷していたヤクルトを救うべく来日した。現役バリバリのメジャーリーガーを見ようと、公式戦デビュー前の公開練習に報道陣250人が大挙。お披露目となった5月5日の阪神戦(神宮)には、5万2000人の観衆が詰めかけた。
▽李承ヨプ 03年に韓国プロ野球でシーズン56本塁打のアジア新記録を樹立した。オフにロッテ入団が決まり、翌04年1月に来日。成田空港の到着ロビーには、韓国のスポーツ紙5紙にテレビカメラのクルーも加わり、日韓合わせて50人以上の報道陣でごった返し、空港の警備員が20人以上も投入された。記者会見の位置取りを巡っては、日本語、韓国語で怒号が飛び交う一幕も。
▽新庄剛志 大リーグメッツから4年ぶりに日本復帰した03年12月、日本ハムの本拠地・札幌Dのグラウンドで入団会見。一般非公開の予定だったが、ファンが殺到し、会見30分前に急きょ客席を開放。約2000人の観客、50社213人の報道陣を集めた。熱狂の模様は地元テレビ局が生中継した。