↑V奪回に向けてスタートしたチームに鋭い視線を送る高橋監督
↑秋季練習スタート前に円陣を組み話をする高橋監督(中央下)
巨人の高橋由伸監督(41)が17日、オフに入る11月下旬まで「地獄の秋」になると予告した。ベテランを含めた1軍選手の秋季練習がG球場でスタート。クライマックスシリーズ(CS)第1ステージ(S)でDeNAに敗れ、最大のテーマを若手の育成、強化とし「新しい選手がレギュラーをつかむことが課題」と20代の底上げを求めた。質より量を重視し、野手は振り込み、投手は走り込みによる体力強化を予定。V奪回を目指す来季に向け、猛練習で土台を築く。
レギュラーを目指す若手に、休んでいる暇はない。今季は広島に17・5差をつけられて屈辱の2位。来季に向け、戦力の底上げは不可欠だ。由伸監督は、秋の猛練習で心、技、体を鍛える構想を披露した。
「当然、量はやらないといけないし、質も大事。やらせないといけない。個の力を上げることがメイン。20代のレギュラーは坂本しかいないわけだから。新しい選手がレギュラーをつかむことはチームの課題」
優勝を逃した要因の一つが、得点力不足だ。チーム総得点はセ4位の519。684得点で同トップの広島と大差があった。阿部、村田のベテランが復活したのに対し、20代で結果を残したと言えるのは首位打者の坂本だけ。中井、大田ら後のない20代中盤組に加え、20代前半の岡本、重信、山本らが強化指定選手だ。
村田ヘッドコーチ「1人でも2人でも、若いやつが出てこないと。そのためには振らなあかん。質、質と言うけど、質だけを求めていいのは選ばれたやつら。ヘボは練習せなあかん」
秋季練習、11月上旬から宮崎で行われる秋季キャンプは野球漬けとなる。1日数百スイングは当たり前だ。今季、由伸監督はチーム打率2割6分を目標に掲げたが、結果は2割5分1厘。指揮官は、若手のレベルアップが、チームの成績向上に直結すると考えている。
「その目標は間違っていないと思うので、引き続きやらなくてはいけない大きな課題。選手自身も考えるなりして、結果を残してもらわないといけない」
投手陣も課題は多い。今季は開幕から菅野が孤軍奮闘。田口が10勝を挙げたが、新戦力に乏しく、終盤はベテランの内海、大竹寛の経験に頼るしかなかった。先発の「菅野依存」脱却には、将来性のある平良、与那原らの成長が不可欠。この秋、走り込み、投げ込みで徹底的に体力面を強化する。
尾花投手コーチ「菅野には110球くらいで完投することを課題として提示した。ただ、来年(3月)は彼もWBCがある。開幕に投げられないことも想定して準備しないといけない。個のレベルアップが必要」
巨人の「地獄の秋」といえば79年オフ、長嶋茂雄監督が猛練習を課した伝説の伊東キャンプがある。場所は違うが、若手には同等の覚悟を求める。この日は休養明けの初日で野手はティー打撃、投手はダッシュなど軽めだったが、由伸監督は徐々に強度を上げていく構えだ。
「負けているのでね。ダメだったところを少しでも良くすれば、結果は少しずつ変わると思う。それに向けてやっていくしかない」
課題山積のチーム再建には練習あるのみ。17年シーズンの戦いは、すでに始まっている。(片岡 優帆)
◆巨人の猛特訓
▽伝説の茂林寺 1936年、職業野球リーグ夏季大会で惨敗したことを受け、藤本定義監督が群馬・館林市の茂林寺・分福球場でキャンプを実施。指揮官自らが「選手が倒れるか、わしが倒れるか思い切って対決する」と進退をかけて臨んだ。「茂林寺の千本ノック」と呼ばれた猛練習で鍛え直し、秋季大会を制覇した
▽地獄の伊東キャンプ シーズンを5位で終えた79年オフ、長嶋監督は静岡・伊東に若手精鋭を集め、43年ぶりに秋季キャンプを再開。指揮官は冒頭のミーティングで「いつまでもV9の威光に頼っていては、没落するだけだ。今の巨人は王も張本も長嶋もない。君たちが明日から地面にはいつくばるような猛練習を重ねて新しい巨人を作る以外ないのだ」。
▽26日間無休キャンプ 5位でシーズンを終えた05年、再建を託された原監督は、秋季キャンプでナインに猛特訓を課した。「時間にとらわれる必要はない」と時間無制限のデスマッチモード。休養日にも夜間練習を行い、実質26日間無休だった。
↑秋季練習スタート前に円陣を組み話をする高橋監督(中央下)
巨人の高橋由伸監督(41)が17日、オフに入る11月下旬まで「地獄の秋」になると予告した。ベテランを含めた1軍選手の秋季練習がG球場でスタート。クライマックスシリーズ(CS)第1ステージ(S)でDeNAに敗れ、最大のテーマを若手の育成、強化とし「新しい選手がレギュラーをつかむことが課題」と20代の底上げを求めた。質より量を重視し、野手は振り込み、投手は走り込みによる体力強化を予定。V奪回を目指す来季に向け、猛練習で土台を築く。
レギュラーを目指す若手に、休んでいる暇はない。今季は広島に17・5差をつけられて屈辱の2位。来季に向け、戦力の底上げは不可欠だ。由伸監督は、秋の猛練習で心、技、体を鍛える構想を披露した。
「当然、量はやらないといけないし、質も大事。やらせないといけない。個の力を上げることがメイン。20代のレギュラーは坂本しかいないわけだから。新しい選手がレギュラーをつかむことはチームの課題」
優勝を逃した要因の一つが、得点力不足だ。チーム総得点はセ4位の519。684得点で同トップの広島と大差があった。阿部、村田のベテランが復活したのに対し、20代で結果を残したと言えるのは首位打者の坂本だけ。中井、大田ら後のない20代中盤組に加え、20代前半の岡本、重信、山本らが強化指定選手だ。
村田ヘッドコーチ「1人でも2人でも、若いやつが出てこないと。そのためには振らなあかん。質、質と言うけど、質だけを求めていいのは選ばれたやつら。ヘボは練習せなあかん」
秋季練習、11月上旬から宮崎で行われる秋季キャンプは野球漬けとなる。1日数百スイングは当たり前だ。今季、由伸監督はチーム打率2割6分を目標に掲げたが、結果は2割5分1厘。指揮官は、若手のレベルアップが、チームの成績向上に直結すると考えている。
「その目標は間違っていないと思うので、引き続きやらなくてはいけない大きな課題。選手自身も考えるなりして、結果を残してもらわないといけない」
投手陣も課題は多い。今季は開幕から菅野が孤軍奮闘。田口が10勝を挙げたが、新戦力に乏しく、終盤はベテランの内海、大竹寛の経験に頼るしかなかった。先発の「菅野依存」脱却には、将来性のある平良、与那原らの成長が不可欠。この秋、走り込み、投げ込みで徹底的に体力面を強化する。
尾花投手コーチ「菅野には110球くらいで完投することを課題として提示した。ただ、来年(3月)は彼もWBCがある。開幕に投げられないことも想定して準備しないといけない。個のレベルアップが必要」
巨人の「地獄の秋」といえば79年オフ、長嶋茂雄監督が猛練習を課した伝説の伊東キャンプがある。場所は違うが、若手には同等の覚悟を求める。この日は休養明けの初日で野手はティー打撃、投手はダッシュなど軽めだったが、由伸監督は徐々に強度を上げていく構えだ。
「負けているのでね。ダメだったところを少しでも良くすれば、結果は少しずつ変わると思う。それに向けてやっていくしかない」
課題山積のチーム再建には練習あるのみ。17年シーズンの戦いは、すでに始まっている。(片岡 優帆)
◆巨人の猛特訓
▽伝説の茂林寺 1936年、職業野球リーグ夏季大会で惨敗したことを受け、藤本定義監督が群馬・館林市の茂林寺・分福球場でキャンプを実施。指揮官自らが「選手が倒れるか、わしが倒れるか思い切って対決する」と進退をかけて臨んだ。「茂林寺の千本ノック」と呼ばれた猛練習で鍛え直し、秋季大会を制覇した
▽地獄の伊東キャンプ シーズンを5位で終えた79年オフ、長嶋監督は静岡・伊東に若手精鋭を集め、43年ぶりに秋季キャンプを再開。指揮官は冒頭のミーティングで「いつまでもV9の威光に頼っていては、没落するだけだ。今の巨人は王も張本も長嶋もない。君たちが明日から地面にはいつくばるような猛練習を重ねて新しい巨人を作る以外ないのだ」。
▽26日間無休キャンプ 5位でシーズンを終えた05年、再建を託された原監督は、秋季キャンプでナインに猛特訓を課した。「時間にとらわれる必要はない」と時間無制限のデスマッチモード。休養日にも夜間練習を行い、実質26日間無休だった。