横浜DeNAは19日・広島戦(横浜)に3-1で勝ち、3位以上が確定。2007年に導入されたクライマックスシリーズ(CS)に12球団で唯一出場経験のないチームが悲願の初進出を決めた。また05年の3位以来11年ぶりのAクラスに導いたアレックス・ラミレス監督(41)は近日中に来季続投が決まる見通しとなった。だが、もう1人の功労者の存在も見逃せない。昨季まで監督を務めた中畑清氏(62)は在任4年間で最下位が2回、5位が2回と散々だったが、暗黒時代からの脱出へのレールを敷いた功績がある。 (宮脇広久)
この日で4試合を残して67勝69敗3分け。手放しで喜べる成績ではないが、それでも長すぎた暗黒時代に終止符を打ったうれしさは抑えきれない。ラミレス監督は「ものすごくほっとしている」と安堵の笑み。2万7001人で満員札止めとなったスタンドがわき上がる中、10年目外野手の梶谷は「チームメートと『ヤバイくらい、うれしいな』といい合いました」と相好を崩した。
野手では主砲・筒香、2年目・倉本、投手では石田、井納ら若手たちに、先発・右腕山口らベテランたちが融合。そのチームを就任1年目のラミレス監督が見事にまとめあげた。
とはいえ、そのレールを敷いた人物の功績を無視することはできない。
この日の試合前。チームの練習が終わる頃、中畑氏が来場。用向きは三塁側の広島ベンチにあった。自分がMCを務めるテレビ番組の取材で、新井と鈴木にインタビューを行った。以前から決まっていた仕事で、スタンドから「キヨシーッ!」と声援を送られたが「まさか、こういう日に当たるとは。おれがこっち側のベンチにいるのは不自然だろう」と苦笑した。
「(古巣が)こうして結果を出してくれると、自分がやってきたことも間違いではなかったと思える」と話したが、試合開始前に「テレビで見るよ」と球場を後にした。
監督在任4年。持ち前の明るさで観客動員増に貢献したがリーグ順位には反映できず。球団の続投要請を振り切り昨季限りで辞任した。おいしいところをラミレス監督に譲った格好だがチームの礎を築いたのは事実だ。
11年オフの監督就任当初は、内川(現ソフトバンク)、村田(現巨人)の主軸がFAで流出し戦力不足に陥っていた。だが14年に抑えとして行き詰まっていた山口を先発に転向させ、今季にチーム勝ち頭の11勝をあげる布石となった。
昨季開幕前には当時23歳の筒香を主将に指名。「若すぎる」との反対の声を押しきってチームをまとめさせた。また先発要員として考えていた新人・山崎康を抑えに起用し成功。球宴前にリーグ首位に立つ快進撃を見せたが、終盤に失速し最下位に終わっている。
中畑監督時代の14年からコーチを務めている進藤ヘッドは「今季の筒香の好成績はチームを引っ張る自覚の中で生まれた。年齢でなく立場が人をつくる。主将をやっていなかったら、はたして40本塁打を実現できたかどうか」と指摘。「チームに去年の経験は間違いなく生きている。初めて勝つ喜びを知った選手が多く、失速した悔しさが残ったからこそ、苦しいときに踏ん張りがきいた」と強調した。
梶谷は「去年ようやく(CSに)手が届くんじゃないかと実感できた」と話し、筒香も「1年で強くなったわけではない。積み重ねだと思います」とうなずいた。
中畑氏は監督の座を辞する際、ナインに「優勝したらビールかけの後の飲み会には誘って」といい残した。その同氏を20年東京五輪の日本代表監督に推す声がある。指揮官として“勝つ喜び”を知る機会は訪れるのか。
この日で4試合を残して67勝69敗3分け。手放しで喜べる成績ではないが、それでも長すぎた暗黒時代に終止符を打ったうれしさは抑えきれない。ラミレス監督は「ものすごくほっとしている」と安堵の笑み。2万7001人で満員札止めとなったスタンドがわき上がる中、10年目外野手の梶谷は「チームメートと『ヤバイくらい、うれしいな』といい合いました」と相好を崩した。
野手では主砲・筒香、2年目・倉本、投手では石田、井納ら若手たちに、先発・右腕山口らベテランたちが融合。そのチームを就任1年目のラミレス監督が見事にまとめあげた。
とはいえ、そのレールを敷いた人物の功績を無視することはできない。
この日の試合前。チームの練習が終わる頃、中畑氏が来場。用向きは三塁側の広島ベンチにあった。自分がMCを務めるテレビ番組の取材で、新井と鈴木にインタビューを行った。以前から決まっていた仕事で、スタンドから「キヨシーッ!」と声援を送られたが「まさか、こういう日に当たるとは。おれがこっち側のベンチにいるのは不自然だろう」と苦笑した。
「(古巣が)こうして結果を出してくれると、自分がやってきたことも間違いではなかったと思える」と話したが、試合開始前に「テレビで見るよ」と球場を後にした。
監督在任4年。持ち前の明るさで観客動員増に貢献したがリーグ順位には反映できず。球団の続投要請を振り切り昨季限りで辞任した。おいしいところをラミレス監督に譲った格好だがチームの礎を築いたのは事実だ。
11年オフの監督就任当初は、内川(現ソフトバンク)、村田(現巨人)の主軸がFAで流出し戦力不足に陥っていた。だが14年に抑えとして行き詰まっていた山口を先発に転向させ、今季にチーム勝ち頭の11勝をあげる布石となった。
昨季開幕前には当時23歳の筒香を主将に指名。「若すぎる」との反対の声を押しきってチームをまとめさせた。また先発要員として考えていた新人・山崎康を抑えに起用し成功。球宴前にリーグ首位に立つ快進撃を見せたが、終盤に失速し最下位に終わっている。
中畑監督時代の14年からコーチを務めている進藤ヘッドは「今季の筒香の好成績はチームを引っ張る自覚の中で生まれた。年齢でなく立場が人をつくる。主将をやっていなかったら、はたして40本塁打を実現できたかどうか」と指摘。「チームに去年の経験は間違いなく生きている。初めて勝つ喜びを知った選手が多く、失速した悔しさが残ったからこそ、苦しいときに踏ん張りがきいた」と強調した。
梶谷は「去年ようやく(CSに)手が届くんじゃないかと実感できた」と話し、筒香も「1年で強くなったわけではない。積み重ねだと思います」とうなずいた。
中畑氏は監督の座を辞する際、ナインに「優勝したらビールかけの後の飲み会には誘って」といい残した。その同氏を20年東京五輪の日本代表監督に推す声がある。指揮官として“勝つ喜び”を知る機会は訪れるのか。