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故障不安のヤクルト打線に救いの手。坂口智隆が1番・センター固定濃厚

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セ・リーグのディフェンディングチャンピオン――この称号はおそらく、ヤクルトにとって何の意味も持たないだろう。

 6球団の中に、特に際立った補強に踏み切ったチームは見当たらない。新人は各球団の上位指名選手がそれぞれに持ち味を発揮しており、助っ人の出来もシーズンが始まらないことには何とも言い難い。要するに戦力的な変動に乏しいオフを経た今季のペナントレースは、昨季からの混戦の様相を引き継ぐ展開になると予想される。

 むしろ昨季の優勝チームであるヤクルトは、他球団のターゲットとなることで苦戦を強いられると考えた方がいいのかもしれない。

 ヤクルトの強みは、投手陣のもろさを補って余りある攻撃力だ。昨季、大車輪の活躍を見せた川端慎吾、山田哲人、畠山和洋は言うに及ばず、雄平、バレンティンと中軸打者の名前はすらすらと挙がる。

不安が的中、負傷者が……。

 しかし春季キャンプでは畠山が腰痛で一軍から離脱し、川端もインフルエンザにかかって調整の出遅れを余儀なくされた。契約最終年を迎えて復活が期待されるバレンティンまでもが、ここにきて左脇腹の肉離れで開幕戦の出場は絶望的と報じられた。

 先日、ある野球解説者に今季の展望を聞く機会があった。オープン戦もまだ始まっていない時期だったが、ヤクルトについてのコメントが示唆的だった。

「打つ方はセ・リーグでナンバーワン。それは間違いないけど、ケガ人が出た時の代わりがまだ育ってないですね。レギュラーがきっちりという感じになっているので、ケガ人が出た時にはガタガタになるかもしれない。開幕までにケガ人が何人か出るようだと、苦しいスタートになると思います。代わりがいないですから」

打撃陣に関しては、その予想が的中する形となってしまったうえに、オープン戦でのチーム防御率は4.53と12球団中ワースト。投手力への不安もいまだ拭いきれずにいるのだ。

ただ、明るい話題がないわけではない。

オープン戦の“隠れ首位打者”。

 特に注目したいのは、オリックスから移籍した坂口智隆だ。昨季は右ヒジを痛めた影響もあって36試合の出場にとどまったが、オープン戦では全19試合に出場(うち18試合がスタメン)。コンスタントに安打を放ち、打率は.415にまで達した。規定打席に届かなかったため打者成績ランキングから名前は消えたものの、あと1打席でも立っていれば堂々1位の“隠れ首位打者”である。

 実はヤクルトにとって、1番・センターの固定は積年の課題だ。2011年、不動のレギュラーだった青木宣親がチームを去って以来、シーズンを通して外野の真ん中を守り続けた選手は出てきていない。

 2013年、当時の小川淳司監督は激化するセンター争いをこう表現していたことがある。

「俊足の選手もいれば打撃のいい選手もいて、三者三様どころか五者五様ですよ。センターですから守備重視の人選になるかなとは思うけど、点が取れない状況が続けば攻撃型にシフトすることも考えている。ひとつ言えるのは、5人がひしめいている状況の中で、我慢して誰かを使い続けることはない、ということです」

申し分ないオリックス時代の実績。

 小川の言った“五者”とは、上田剛史、雄平、飯原誉士、松井淳、比屋根渉を指している。あれから3年が経ち、雄平は主にライトで起用されるようになり、センターは上田と比屋根が出場機会を分け合う構図となっている。

 この2人は俊足で守備力に定評がある一方で、打撃が課題とされてきた。1番打者に求められる出塁率も、昨季は上田が.313、比屋根が.300と、青木が残した数字(ヤクルト在籍通算8年で.402)に遠く及ばない。

 その点、坂口の実績は申し分ない。かつてオリックスで不動の1番・センターを務め、ゴールデングラブ賞に輝くこと4度(2008~2011年)、2011年には最多安打(175安打)のタイトルも獲得している。

 問題は、2012年に右肩を故障して以来、本来の成績を残せていないことだったが、オープン戦での活躍でその不安は払拭されつつある。

昨季叶わなかった日本一を狙うために。

「このままいけば(センターは)坂口になると思う」

 3月9日の時点で、真中満監督はそう発言したという。

 バレンティンの故障により、オープン戦後半は5番や6番の打順に入り、レフトの守備につくことも多かったが、主砲が復帰となれば1番・センターに回る可能性が濃厚だ。

 古巣オリックスから、野球協約上の減額制限を超える大幅な減俸提示という事実上の戦力外通告を受け、ヤクルトに新天地を求めた坂口は今年で32歳。まだまだ老けこむような年齢ではないだろう。

 坂口がこのままの状態を維持し、かつての輝きを取り戻せば、ヤクルト打線の得点力は確実に上がる。それは故障者を抱え、迫力の低下が不安視される打線のこれ以上ない補強材料だ。

「1番・センター 坂口」――これが、セ・リーグ連覇、そして昨季叶わなかった日本一を再び狙うために、ヤクルトの重要なピースとなることは間違いなさそうだ。

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