貯金「5」で首位を走る広島は、7日から日本ハムとの3連戦に臨む。9日の試合(札幌ドーム)に先発する野村祐輔投手(26)は、ここまでリーグトップタイの6勝をマーク。一昨年が7勝、昨年が5勝と苦しんだが、今季は既に昨季の勝ち星を上回り、投手陣の柱としてチームをけん引している。右腕の活躍の裏には何があるのか。それに迫った。
野村が投手陣の中心にいる。13年に12勝して以降、右肩下がりだった成績は今季、すでに6勝。ジョンソンと並びハーラートップタイの数字だ。開幕前は先発ローテの4番手だったが、勝ち頭としてチームの首位に大きく貢献している。
この躍進の大きな要因は、直球の威力向上を目的に取り組んだフォーム修正にある。5勝に終わった昨季を振り返った野村は「打たれているときは真っすぐが悪かった」と分析。昨秋から直球の改善をテーマに掲げたが、それは球速を上げることではなく、キレなど数字には現れにくい“質”を高めることだった。変化球などを織り交ぜ、打たせて取るタイプだが「真っすぐが良くないとほかの球も生きない」という。そこでオフには名投手と言われた選手の動画を見て研究し、ヒントを探しながらフォームを修正。ブレがなくスムーズに体重移動が行えるようになり、リリースが安定した。
直球の向上を目的に取り組んだフォーム修正は、悪癖の解消にもつながった。「悪いときは腕が横振りだった」が、常に上から振り下ろせるようになり、縦方向のスピンがしっかりかけられるようになった。6勝目を手にした前回ロッテ戦の直球は140キロ前半。それでも畝投手コーチは「手元で伸びていた」と話していた。
さらに変化球にも好影響した。特にチェンジアップ。証言するのは黒田だ。「抜けがいい。ブレーキが利いた球を投げている。しかも右打者、左打者に関係なく使えているのが大きい」。野村も「腕が縦に振れているから真っすぐと同じ軌道から落ちている」と分析した。
もう一つ、好投の要因は黒田の存在だ。レジェンドに習い、今季から試合前の調整方法を変えた。ブルペンでの投球練習を“ゼロ回”と想定。ウオーミングアップで19球を投げて一端、休憩。インターバル後、ほぼ全力で16球を投げる。「1回に投げる球数は15球前後。試合を意識して投げている」と明かす。
本番を想定して肩をつくることで10試合中、初回に失点した試合は2試合のみ。三回までの失点も初回失点分を含め4試合しかない。しかも、失点はいずれも最少で切り抜けている。「テンポがいい試合が増えてきた。取り組んできた投げ方、フォームを信じて結果が出ている。最少失点で抑えていけると、勝ち試合につながっていく」と石原。不安定だった立ち上がりを克服したことで精神面に余裕が生まれ、快投に結びついている。
また、プレート板を踏む位置を黒田と同じ一塁側にした。30センチの差は右打者へのシュートの場面で生きた。曲げられる幅が広がったことで、思い切って内角を攻められるようになったという。
飽くなき探求心が進化をもたらす。野村が考える、打たせて取る理想の投球に近づきつつある。
野村が投手陣の中心にいる。13年に12勝して以降、右肩下がりだった成績は今季、すでに6勝。ジョンソンと並びハーラートップタイの数字だ。開幕前は先発ローテの4番手だったが、勝ち頭としてチームの首位に大きく貢献している。
この躍進の大きな要因は、直球の威力向上を目的に取り組んだフォーム修正にある。5勝に終わった昨季を振り返った野村は「打たれているときは真っすぐが悪かった」と分析。昨秋から直球の改善をテーマに掲げたが、それは球速を上げることではなく、キレなど数字には現れにくい“質”を高めることだった。変化球などを織り交ぜ、打たせて取るタイプだが「真っすぐが良くないとほかの球も生きない」という。そこでオフには名投手と言われた選手の動画を見て研究し、ヒントを探しながらフォームを修正。ブレがなくスムーズに体重移動が行えるようになり、リリースが安定した。
直球の向上を目的に取り組んだフォーム修正は、悪癖の解消にもつながった。「悪いときは腕が横振りだった」が、常に上から振り下ろせるようになり、縦方向のスピンがしっかりかけられるようになった。6勝目を手にした前回ロッテ戦の直球は140キロ前半。それでも畝投手コーチは「手元で伸びていた」と話していた。
さらに変化球にも好影響した。特にチェンジアップ。証言するのは黒田だ。「抜けがいい。ブレーキが利いた球を投げている。しかも右打者、左打者に関係なく使えているのが大きい」。野村も「腕が縦に振れているから真っすぐと同じ軌道から落ちている」と分析した。
もう一つ、好投の要因は黒田の存在だ。レジェンドに習い、今季から試合前の調整方法を変えた。ブルペンでの投球練習を“ゼロ回”と想定。ウオーミングアップで19球を投げて一端、休憩。インターバル後、ほぼ全力で16球を投げる。「1回に投げる球数は15球前後。試合を意識して投げている」と明かす。
本番を想定して肩をつくることで10試合中、初回に失点した試合は2試合のみ。三回までの失点も初回失点分を含め4試合しかない。しかも、失点はいずれも最少で切り抜けている。「テンポがいい試合が増えてきた。取り組んできた投げ方、フォームを信じて結果が出ている。最少失点で抑えていけると、勝ち試合につながっていく」と石原。不安定だった立ち上がりを克服したことで精神面に余裕が生まれ、快投に結びついている。
また、プレート板を踏む位置を黒田と同じ一塁側にした。30センチの差は右打者へのシュートの場面で生きた。曲げられる幅が広がったことで、思い切って内角を攻められるようになったという。
飽くなき探求心が進化をもたらす。野村が考える、打たせて取る理想の投球に近づきつつある。