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絶好調・テレ東社長もひれ伏すマツコのスタッフ“教育力”?

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↑テレビ東京社長も称賛するスタッフへの“教育力”を誇る「テレビ界のモンスター」マツコ・デラックス

 民放キー局社長の予想以上に熱い答えに質問した、こちらの方が面食らった。

 5月31日に行われたテレビ東京・小孫茂社長(66)の定例会見。ちょうど、マツコ・デラックス(45)が先月19日から6月10日まで同局の特別番組5つに立て続けに出演する「無理矢理、マツコ。テレ東に無理矢理やらされちゃったのよ~」が順次、放送中だった。

 月曜の「月曜から夜ふかし」から土曜の「マツコ会議」まで、民放キー局の番組プラス東京MX「5時に夢中!」の計8番組にレギュラー出演中と、見ない曜日がない超売れっ子にとって、2011年1月以来の同局番組への出演。ついに“招聘(しょうへい)”にこぎ着けた感のあるテレ東トップに、その感想が聞きたかったから聞いた。

 「7年ぶりのマツコさんのテレ東出演。ご覧になった社長の感想は?」

 すると、メガネの奥の目を光らせた小孫社長は「単純に出ていただけて、ありがたいの一言に尽きます。こういうことが起こるんだなあと思っています」と、いきなり感謝のコメント。

 「テレビ東京が今、元気があるということになって、今まで考えられなかった、久しぶりの方や初めての方に出ていただけるようになった。私も後から聞いて『へェ~、マツコさんに出ていただけるんだ』と思ったくらいです」と正直に続けた。

 会見に同席した長田隆編成局長も熱かった。私の「民放各局でレギュラーを持つマツコさんですが、今回の大型プロジェクトを受けて、テレ東でもレギュラー番組の準備は?」という前のめり気味の問いかけに「まずは6月の放送も終えてからと言うことになりますが…」といなしつつも、「マツコさんとまた(番組作りで)ご一緒したいと、会社全体で思っております」と社を挙げてのラブコールを送った。

 番組でのコメントに切れがあり、やり取りが面白いという以上にマツコを起用することでテレビ局が受ける恩恵は大きい。答えは「実際、番組を見て、なるほどと納得することが多くて、社員、スタッフもマツコさんに教えていただいている感じ。いろいろな意味で参考にしたいと思います」という、この日の小孫社長の言葉の中にある。

 今回のプロジェクトのうちの一つ、クイズ形式の番組「マツコがマネーをあげたいクイズ」の収録現場を取材したのは、5月11日のことだった。

 この収録では、マツコが進行役だった入社3年目の若手・原田修佑アナウンサー(24)を3時間に及んだ収録で「おまえ、遠慮しなくていいからな。誰もおまえのこと知らないんだから」「もっと我を出せ! 我を見せてくれ」「ヘタクソー~! おまえ、アナウンサー向いてない」と叱咤しつつ教育。開始時は素人目にも頼りなく見えた同アナが、収録の最後には空気を読まない進行で逆に笑いを取る急成長を見せたことは、前回、このコラム(5月21日配信「収録中に若手アナを愛情たっぷり教育…マツコ「タレント力NO1」の秘密」)で書いた。

 マツコは、この番組のプロデューサーで「ゴッドタン」などのヒット番組を手掛け、現在のテレ東隆盛の中心人物と目される佐久間宣行プロデューサー(42)にも容赦なかった。

 収録中、「おまえ、ヒットプロデューサーとしてインタビューとか受けてたけど、こんなもんか?」「慣れ過ぎちゃってる。慣れで仕事するのって良くないんだよ」とピシャリ。収録後の囲み取材でも、司会を務めた佐久間氏を「(テレ東に)7年間出なかったことに意味はあったなって、やってみて思ったわね。今日の(収録)は完全に(安全策で)置きにいってました」と“口撃”。佐久間氏は「置きに行ってません! マツコさんと戦いながら、いい番組を作ろうと思ったんです」と反論したが、マツコは「現時点で2本収録したんだけど、1本目は、もっと置きにいっていた」と、さらに言い切った。

 ついには集まった取材陣に「テレ東っぽさって、なんだと思う?」と逆質問。この際に「みんな、テレ東のことを勝手にすごい良く思ってるのよ。テレ東は、もはや弱者ではない!」という名言が飛び出したのだ。

 この言葉について、小孫社長は「『テレビ東京は弱小じゃない』っておっしゃった。お褒めいただいたけど、テレ東は相変わらず弱小です。弱小と分かった上で励まして下さったんですかね。もう少し直した方がいいよと」と笑いを取ったが、マツコの言葉自体に対しては、「いろいろな意味で参考にしたい。ありがとうございますと言いたいです」と、さらに感謝した。

 そう、一緒に仕事をすることでアナウンサーもスタッフも皆、成長できる希有な存在がマツコ・デラックス。過去、こんなタレントがいただろうか。30年続いたフジテレビのバラエティー「みなさんのおかげでした」のとんねるずや「めちゃ×2イケてるッ!」のナインティナインはスタッフと共に成長し、ビッグタレントになっていった感が強い。

 今、多数のレギュラー番組を誇る池上彰さん(67)や林修さん(52)は元々、教育者的要素が強い。今年、話を聞いた際、その仕事への命がけで真摯な姿勢に感銘を受けた坂上忍(51)は番組を引っ張る推進力こそパワフルそのものだが、スタッフを成長させるという点では疑問符がつく。

 180センチ、140キロの巨体の存在感に抜群のトーク力。さらに、その優しさと視野の広さでスタッフへの“教育力”まで兼ね備えたマツコは全く新しいタイプの「テレビ界のモンスター」ではないか。月曜から土曜まで、その名がズラリと並んだ番組表を見ながら、そう思った。(記者コラム・中村 健吾)

 ◆マツコ・デラックスの現在のレギュラー番組

 ▽日本テレビ
 「月曜から夜ふかし」(月曜・後11時59分)
 「マツコ会議」(土曜・午後11時)

 ▽テレビ朝日
 「マツコ有吉 かりそめ天国」(水曜・後11時15分)
 「夜の巷を徘徊する」(木曜・深夜0時15分)

 ▽TBS
 「マツコの知らない世界」(火曜・後9時)
 ▽フジテレビ
 「ホンマでっか!?TV」(水曜・後9時)=パネラー
 「アウト×デラックス」(木曜・後11時)

 ▽東京MXテレビ
 「5時に夢中!」(月曜・後5時)=コメンテーター

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