巨人の阿部慎之助内野手（３８）が１日、二塁手レギュラー候補の吉川尚を絶賛し、Ｖ奪回を目指す来季のキーマンに挙げた。この日、神奈川・箱根町の「湯本富士屋ホテル」で今オフ初のトークショーを開催。若手には厳しい言葉が多かった阿部が「一番期待している。ポテンシャルが高いし、やっぱりドラ１だけある」と断言した。
阿部の口から飛び出した予期せぬ言葉に、会場は一瞬静まり返り、そして沸いた。「今年は吉川（尚輝）が出てこないとダメだったけど、僕はアイツに一番期待している」。阿部のトークショーといえば、おなじみの辛口で若手をバッサリ、というのがお約束だが、今年はまさかの褒め殺し。１６年のドラフト１位に大きな期待を寄せた。
吉川尚は今季、上半身のコンディション不良で出遅れ、１軍出場わずか５試合に終わった。だが、最終戦のヤクルト戦（神宮）で猛打賞をマークしたように、阿部はたった数試合でも素質を見抜いたようだ。「守備範囲が広いし、身体能力が高い。（広島の）菊池に守備範囲は匹敵するんじゃないか」と、５年連続ゴールデン・グラブ賞の名手を引き合いに出した。打撃にも「いい投手といっぱい当たれば打てるようになるはず」と太鼓判を押した。
以前なら「後輩を指導するにあたって、ぶん殴る準備をしようかな」とまで言っていた阿部。「この年になって嫌われるのもね…。『ゆとり世代』とか『さとり世代』とかいろいろいるけど、どうやってそいつらをやる気にさせるか、勉強していこうかな。おだてて『お前すごいなぁ～』って」と、穏やかな？笑みを浮かべた。
最近の阿部は、５歳の長男・成真（せいま）くんを特訓することが最大の楽しみだが、当の成真くんは広島・菊池の大ファンだという。吉川尚にとっては中京学院大の先輩だ。「この前、『しまむら』でカープの靴下を買っていたんだよね…」。愛息に振り向いてもらうためにも、吉川尚には頑張ってもらわないといけない。（尾形 圭亮）
◆阿部の辛口ゲキ
▽目標は高く持て！ １０年１２月、中大の後輩でこの年のドラフト１位・沢村に対し「同世代をライバル視するとか次元の低いことを言っていないで、もっと高いレベルを（求めて）」とエール。
▽野球辞めろ！ １２年１月のグアム自主トレに参加した大田に「お前、今年だめだったら、野球をやめるつもりでやれ」とゲキ。１１年のプロ３年目で初安打を放つなど、１軍で１２試合に出場したが、本塁打はゼロに終わった後輩に“最後通告”を行った。
▽巨人は終わる！ １５年１月のグアム自主トレ中、期待されながら伸び悩む宮国と今村に「お前らが出てこないと、巨人は終わる」と強烈なハッパ。
▽一人前に！ １６年１１月。翌年１月のグアム自主トレに初めて小林を帯同させることを明かし、「誠司が早く一人前になってくれないと、巨人は大変なことになる」と急成長を促した。