巨人の菅野智之投手（２８）が今オフ、畠世周（はたけ・せいしゅう）投手（２３）と米ハワイで合同自主トレを行うことが１７日、分かった。１年目の今季６勝を挙げ、２年目の飛躍を目指す畠にとって、大黒柱とのタッグは技術や考え方を吸収する絶好の機会で、エース道の伝授に期待がかかる。自主トレには宮国とオリックスの西、吉田凌も参加予定。「チーム菅野」の鍛錬が、先発王国の礎になる。
日本一奪回へ菅野が動いた。今オフ、来季の飛躍が期待される後輩の畠とハワイで合同自主トレを行うことを決めた。昨オフもハワイで自主トレを行った西、宮国に加え、東海大相模高の後輩、２０歳右腕のオリックス・吉田凌も初参加となるが、特に注目は「菅野×畠」のタッグ結成だ。
畠は昨秋の右肘手術の影響で出遅れたが、７月に１軍デビューして６勝。巨人の新人では沢村栄治、江川卓らに次いで７人目となる、２度の２ケタ奪三振をマークした。菅野は自身と同じ右の本格派の台頭に刺激を受け、シーズン中から「畠には頑張ってほしいです」と積極的に助言。互いに高め合うため、オフの行動をともにすることに決めた。
１７勝５敗、防御率１・５９で最多勝と最優秀防御率を獲得した菅野は、１６日に選手会長就任が決定。この日「チームが過渡期というかあまりよろしくない状況で就任することに意味があると思います。若手の底上げと言われているので、やりやすい環境を作れるようにしていきたいです」と改めて決意を口にした。毎年、後輩と自主トレするのは中心選手の責任感から。１５年オフにハワイで合同トレした田口は、翌１６年シーズンに自身初の１０勝。今年はリーグ４位の１３勝と着実にステップアップしている。成長著しい畠も菅野の下で鍛錬すれば、大きく飛躍する可能性は十分だ。
畠は今季、斎藤投手コーチが菅野、マイコラス、田口と並んで「４本柱」と呼ぶ活躍を見せた。それでも「菅野さんのように、もっとバッターに振る（強振する）チャンスを与えない投球をしたいです」と慢心せず上を目指してきた。「１軍の選手と一緒にやらせていただいて、自分はもっとやらないといけないと思いました」とオフは徹底的に追い込む覚悟でいる。
２年目の来季は開幕からフル回転が期待される。さらなる飛躍へ、プロ初のオフの過ごし方は重要。ハワイではグラウンドで菅野の高いプロ意識や技術を肌で感じ、寝食をともにすることで考え方を吸収することも可能。大事な時期を一緒に過ごせるメリットは計り知れない。オリックスで実績十分の西からも学ぶことは多いだろう。
スーパーエースから期待の星に継承される「エース道」。異国の地で流した汗が先発王国誕生、悲願のＶ奪回への力になる。（片岡 優帆）
◆畠 世周（はたけ・せいしゅう）１９９４年５月３１日、広島・呉市生まれ。２３歳。近大福山高では甲子園出場なし。近大では３年秋に３試合連続完封などを記録した。昨秋のドラフト２位指名後に右肘の手術を受け、プロ入りはリハビリスタート。７月６日の広島戦（マツダ）で１軍デビュー。今季は１３試合で６勝４敗、防御率２．９９。１８６センチ、７８キロ。右投左打。年俸１２００万円。