↑UFCラストファイトに敗れた五味隆典(右)(Photo by Josh Hedges/Zuffa LLC/Zuffa LLC via Getty Images)
日本で世界を体感することができるバトルウイークだった。16日に世界最大のプロレス団体WWE(ワールド・レスリング・エンターテイメント)が大阪公演「WWE Live Osaka」をエディオンアリーナ大阪(大阪府立体育会館)で行い、23日には、世界最高峰の総合格闘技(MMA)団体UFC(アルティメット・ファイティング・チャンピオンシップ)が2年ぶりとなる「UFCファイトナイト・ジャパン」をさいたまスーパーアリーナ(SA、埼玉)で開催した。
両大会を取材したので、比較してみることにする。エンタメのWWEと競技性のUFC。ジャンルが二極化してしまっているが、日本での興行戦争であることに変わりはない。米国(=世界)を熱狂させている2大団体は、日本でどういう位置付けなのか。分かりやすいのは観客動員だ。WWEは大阪府立に4626人。UFCはさいたまSAに8571人が観戦した。
会場の規模が違い単純比較はできないので、日本の代表的な大会と比較してみよう。大阪府立で新日本プロレスが夏の本場所「G1クライマックス」を開催した8月5日は、札止めの5490人が入った。そして、さいたまSAで7月30日に開催された日本最高峰のMMA大会「RIZIN」は1万7730人を集めた。さいたまSAは、観客席が伸縮可能なため、半数としても“フルハウス感”は出せていた。だが、WWEもUFCも日本の人気大会と比較すると、メジャー旋風とはいかず、海外のマニアックな大会という印象か。
注目カードは、WWEはメインイベントとして、元新日本プロレスの中邑真輔(37)がジンダー・マハル(31)がWWE王座(世界ヘビー級選手権)に挑んだタイトルマッチ。UFCは、かつてのPRIDEライト級王者“火の玉ボーイ”こと五味隆典(39)=東林間ラスカルジム=のUFCラストマッチを目玉に据え、メインイベントは負傷代役で6日前に出場が決まった岡見勇信(36)=和術慧舟會東京本部=が務めた。余談だが、岡見は新日本プロレスの入門テストに2度落ちた経歴がある。いずれも“日本代表”は結果を出せなかった。世界レベルを体感する大会としては、その方が説得力があったのかもしれない。
日本でのテレビ中継は、WWEはなし。UFCは、CSのFOXスポーツで生中継し、深夜の1時間枠でフジテレビが地上波で放送した。しかもUFCは興行時間が米国時間に合わせて異例の午前9時開始。米国でも生中継されるから、「ファイトナイト」なのだった。WWEは米国での放送もなし。日本公演は、ファーイースト(極東)のハウスショー(地方巡業)に過ぎない、という位置付けは、悔しいが現実だ。だが、負けた中邑が大阪公演のエンディングをマイクパフォーマンスで締めたのは、「一番すげぇのはプロレスなんだよ」を体現してくれたのだと思う。
そして、WWEとUFCの両方の世界ヘビー級王者になったブロック・レスナー(現WWEユニバーサル王者)をつくづく偉大だと思った。(酒井 隆之)
日本で世界を体感することができるバトルウイークだった。16日に世界最大のプロレス団体WWE(ワールド・レスリング・エンターテイメント)が大阪公演「WWE Live Osaka」をエディオンアリーナ大阪(大阪府立体育会館)で行い、23日には、世界最高峰の総合格闘技(MMA)団体UFC(アルティメット・ファイティング・チャンピオンシップ)が2年ぶりとなる「UFCファイトナイト・ジャパン」をさいたまスーパーアリーナ(SA、埼玉)で開催した。
両大会を取材したので、比較してみることにする。エンタメのWWEと競技性のUFC。ジャンルが二極化してしまっているが、日本での興行戦争であることに変わりはない。米国(=世界)を熱狂させている2大団体は、日本でどういう位置付けなのか。分かりやすいのは観客動員だ。WWEは大阪府立に4626人。UFCはさいたまSAに8571人が観戦した。
会場の規模が違い単純比較はできないので、日本の代表的な大会と比較してみよう。大阪府立で新日本プロレスが夏の本場所「G1クライマックス」を開催した8月5日は、札止めの5490人が入った。そして、さいたまSAで7月30日に開催された日本最高峰のMMA大会「RIZIN」は1万7730人を集めた。さいたまSAは、観客席が伸縮可能なため、半数としても“フルハウス感”は出せていた。だが、WWEもUFCも日本の人気大会と比較すると、メジャー旋風とはいかず、海外のマニアックな大会という印象か。
注目カードは、WWEはメインイベントとして、元新日本プロレスの中邑真輔(37)がジンダー・マハル(31)がWWE王座(世界ヘビー級選手権)に挑んだタイトルマッチ。UFCは、かつてのPRIDEライト級王者“火の玉ボーイ”こと五味隆典(39)=東林間ラスカルジム=のUFCラストマッチを目玉に据え、メインイベントは負傷代役で6日前に出場が決まった岡見勇信(36)=和術慧舟會東京本部=が務めた。余談だが、岡見は新日本プロレスの入門テストに2度落ちた経歴がある。いずれも“日本代表”は結果を出せなかった。世界レベルを体感する大会としては、その方が説得力があったのかもしれない。
日本でのテレビ中継は、WWEはなし。UFCは、CSのFOXスポーツで生中継し、深夜の1時間枠でフジテレビが地上波で放送した。しかもUFCは興行時間が米国時間に合わせて異例の午前9時開始。米国でも生中継されるから、「ファイトナイト」なのだった。WWEは米国での放送もなし。日本公演は、ファーイースト(極東)のハウスショー(地方巡業)に過ぎない、という位置付けは、悔しいが現実だ。だが、負けた中邑が大阪公演のエンディングをマイクパフォーマンスで締めたのは、「一番すげぇのはプロレスなんだよ」を体現してくれたのだと思う。
そして、WWEとUFCの両方の世界ヘビー級王者になったブロック・レスナー(現WWEユニバーサル王者)をつくづく偉大だと思った。(酒井 隆之)