１６日にエディオンアリーナ大阪で開催される世界最高峰のプロレス団体ＷＷＥの大阪公演「ＷＷＥ Ｌｉｖｅ Ｏｓａｋａ」で、元新日本プロレスの中邑真輔（３７）が、ジンダー・マハル（３１）が持つＷＷＥ王座（世界ヘビー級選手権）に挑戦する。
当初は抗争していたバロン・コービン（３２）とのシングルマッチが組まれていたが、米国でのストーリーが急展開。“ロックスター”中邑は元王者のジョン・シナ（４０）、ランディ・オートン（３７）に立て続けに勝利し、トップコンテンダーにのし上がった。
米国時間５日（日本時間６日）のスマックダウンで、オートンに勝ったことで、１０月７日（同１０月８日）にミシガン州デトロイトのリトル・シーザーズ・アリーナで行われるＰＰＶ大会「ヘル・イン・ア・セル」でマハルの王座に挑戦することまでも決まっているのだ。
だから、ハウスショー（地方巡業）に過ぎない大阪公演での“王座奪取劇”は過度に期待してはいけないのだが、シンスケ・ナカムラの別格扱いは、海を越えて伝わってきており、日本、特に熱い大阪のハウスショーを別格扱いにしてくれるんじゃないかな…という期待が渦巻いていたりする。
中邑は８月２０日（同２１日）にニューヨークで行われた真夏の祭典「サマースラム」でマハルのＷＷＥ王座に初挑戦したが、シン・ブラザーズの不可解な介入で奪取ならず。その時も書いたが、おさらいしておくと、ＷＷＥ王座は、かつてはＷＷＷＦ世界ヘビー級選手権と呼ばれた“マクマホン王国”の最高峰のタイトル。ＷＷＥ公式サイトによると１９６３年４月のバディ・ロジャースがルーツで、のべ１３２人が王者として認定されている。
日本では、アントニオ猪木が１９７９年１１月３０日に徳島市体育館で王者のボブ・バックランドに勝利し、「日本人初のＷＷＦ世界王者になる（直後に返上）」（新日本プロレスぴあ２０１７ ４５周年メモリアルＢＯＯＫ）とされるが、ＷＷＥ公式サイトの歴代王者には記されていない（猪木氏は２０１０年にＷＷＥ殿堂入りし元王者級の扱いはされている）。
大阪かデトロイトかは分からないが、もし中邑が奪取すればＷＷＥオフィシャルとしては日本人初の快挙ということになる。日本人の悲願の歴史は猪木以前にさかのぼる。１９７５年５月９日に、ジャイアント馬場が東京・日大講堂で、王者のブルーノ・サンマルチノと自身のＰＷＦヘビー級を王座をかけてダブルタイトルマッチを戦ったのが日本での嚆矢か（ドローで双方が防衛）。７８年２月８日には、坂口征二が東京・日本武道館でビリー・グラハムに挑んで敗れている。
８２年１月１日、東京・後楽園ホールで藤波辰巳（現辰爾）がバックランドに挑んで敗れた試合は、元日のゴールデンタイム地上波生中継という破格の扱いだった。ゴールデン時代では、１９８５年６月１１日に東京体育館で藤波が王者のハルク・ホーガンに玉砕したのが最後だろうか。
ＷＷＦからＷＷＥに改称されてからは、日本公演で世界ヘビー級王座に挑む日本人はいなかったはず。６月３０日と７月１日に行われた東京公演（両国国技館）では、相次ぐカード変更で、予定されていたインターコンチネンタル王座戦（王者＝ザ・ミズ）は２日とも行われなかった。日本人相手でもなく、ミズのタッグマッチはそれなりに面白かったから良かったが、中邑のタイトルマッチだけは変更のないようにお願いしたい。それよりもシン・ブラザーズの介入が心配だが…。（酒井 隆之）
◆ＷＷＥ Ｌｉｖｅ Ｏｓａｋａ（９月１６日）全対戦カード
▽ＷＷＥ王座戦
王者、ジンダー・マハル（ｗｉｔｈシン・ブラザーズ）ＶＳ挑戦者・中邑真輔
▽ＵＳ王座戦
王者・ＡＪスタイルズＶＳ挑戦者、ケビン・オーエンズ
▽ラストマン・スタンディング・マッチ
ランディ・オートンＶＳルセフ
▽タッグマッチ
ニュー・デイＶＳドルフ・ジグラー＆バロン・コービン
▽３対４ハンディキャップ・マッチ
ナオミ、シャーロット、ベッキー・リンチ（ｗｉｔｈアスカ）ＶＳナタリヤ、タミーナ、ラナ、カーメラ（ｗｉｔｈジェームズ・エルスワース）
▽シングルマッチ
サミ・ゼインＶＳエイダン・イングリッシュ
▽シングルマッチ
ルーク・ハーパーＶＳエリック・ローワン