↑ここ数年はケガとの戦いが続く棚橋弘至
↑再び輝きを取り戻しつつある棚橋弘至
場内に渦巻く人気レスラーへの声援が、そのレスラーの置かれた現状を露骨に物語ってしまうことがある。
7月17日、北海道・北海きたえーるでの開幕以来、連日超満員の興行が続く新日本プロレス真夏のシングル総当たり戦「G1クライマックス27」。毎回、ロックスター風の華麗な衣装で入場する棚橋弘至(40)へのプ女子(プロレス・ファンの女性)の「タナ~」という嬌声、「棚橋~」という野太い男性ファンの声。2000年代の新日マットをエースとして支えてきた「100年に一人の逸材」には、今でも団体一の音量を誇るコールが降り注ぐ。
一方、新日にカネの雨を降らせる「レインメーカー」としてIWGPヘビー級王者に君臨、8月5日の大阪城ホール大会でEVIL(30)に敗れるまで、ほぼ1年間、シングル戦での黒星が無かったオカダ・カズチカ(29)には「オカダ」コールに倍ほどの相手選手への“判官びいき”のコールが場内にこだまする。
この差は何か? 勝利の後、「強すぎて、ごめんなさ~い」とマイクを握って謝るオカダへの強すぎるゆえの“反感”か。対する「棚橋コール」には、どこか、力の衰えてきた過去のスターへの愛情?まで感じ取ってしまって切ない。
昨年負った左肩剥離骨折と上腕二頭筋断裂の大ケガ。今年も右上腕二頭筋遠位断裂で約1か月戦線離脱と満身創痍で戦う棚橋の姿はどこか、ミッキー・ローク(64)が主演映画「レスラー」(2008年)で演じた心臓病のため引退勧告を受けた元スター・レスラーを思い起こさせるものだった。
昨年、インタビューで「僕はただ、かっこいいだけなんですよ。後は普通なんですね」と自虐的に語って話題になった棚橋。40歳になり、どこか自分のレスラー人生をまとめにかかっていたかに見えたスーパースターが、しかし、今年のG1では、どこか変わった。一皮むけた。7月20日からの東京・後楽園ホールでの3連戦と8日の横浜文化体育館大会。棚橋自ら「僕の大事な根幹の部分」という筋肉は全盛期の張りを取り戻し、トップロープからのハイフライフローなど、従来の身体能力全開のファイトも完全に取り戻した。
元々が立命館大に一般入試で合格したインテリ。数々のバラエティ番組にも引っ張りだこのコメント力も輝きを取り戻した。
6月11日の大阪城ホール大会で今をときめく「ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン」を率いる内藤哲也(35)からIWGPインターコンチネンタル王座のベルトを奪取した際は「まだ死んでなかったでしょ。棚橋は生きているから。休場明けの横綱が強いように、故障明けのホームランバッターがホームラン打つように、少し休んでも、エースはエースだから」と言い切った男は、このG1でも、ここまで6勝2敗、勝ち点12の快進撃を見せている。
超満員4761人の観客を沸かせた8日の試合後もベルトを肩にかけ、「大阪城ホールで俺は今より悪い状態で、このベルトを取って見せたわけだから―。試合勘も戻ってきたし、動けるようになったし。このままなら、俺の勝利は固い。(G1の優勝は)15年以来、2年ぶりか。ちょっくら優勝してきます」と笑顔で言い切った。
そう、「100年に一人の逸材」が今、新日マットに帰ってきた。オカダや内藤に「今でもエースと名乗っている人」と揶揄されたベテランは、11日の東京・両国国技館Aブロック公式戦で勝ち点12同士の内藤との決勝進出をかけた一戦に臨む。その時、リング上での輝きが「一瞬の夏」になるのか、第二の黄金時代へのゴングとなるのか。結論は、もうすぐ出る。
↑再び輝きを取り戻しつつある棚橋弘至
場内に渦巻く人気レスラーへの声援が、そのレスラーの置かれた現状を露骨に物語ってしまうことがある。
7月17日、北海道・北海きたえーるでの開幕以来、連日超満員の興行が続く新日本プロレス真夏のシングル総当たり戦「G1クライマックス27」。毎回、ロックスター風の華麗な衣装で入場する棚橋弘至(40)へのプ女子(プロレス・ファンの女性)の「タナ~」という嬌声、「棚橋~」という野太い男性ファンの声。2000年代の新日マットをエースとして支えてきた「100年に一人の逸材」には、今でも団体一の音量を誇るコールが降り注ぐ。
一方、新日にカネの雨を降らせる「レインメーカー」としてIWGPヘビー級王者に君臨、8月5日の大阪城ホール大会でEVIL(30)に敗れるまで、ほぼ1年間、シングル戦での黒星が無かったオカダ・カズチカ(29)には「オカダ」コールに倍ほどの相手選手への“判官びいき”のコールが場内にこだまする。
この差は何か? 勝利の後、「強すぎて、ごめんなさ~い」とマイクを握って謝るオカダへの強すぎるゆえの“反感”か。対する「棚橋コール」には、どこか、力の衰えてきた過去のスターへの愛情?まで感じ取ってしまって切ない。
昨年負った左肩剥離骨折と上腕二頭筋断裂の大ケガ。今年も右上腕二頭筋遠位断裂で約1か月戦線離脱と満身創痍で戦う棚橋の姿はどこか、ミッキー・ローク(64)が主演映画「レスラー」(2008年)で演じた心臓病のため引退勧告を受けた元スター・レスラーを思い起こさせるものだった。
昨年、インタビューで「僕はただ、かっこいいだけなんですよ。後は普通なんですね」と自虐的に語って話題になった棚橋。40歳になり、どこか自分のレスラー人生をまとめにかかっていたかに見えたスーパースターが、しかし、今年のG1では、どこか変わった。一皮むけた。7月20日からの東京・後楽園ホールでの3連戦と8日の横浜文化体育館大会。棚橋自ら「僕の大事な根幹の部分」という筋肉は全盛期の張りを取り戻し、トップロープからのハイフライフローなど、従来の身体能力全開のファイトも完全に取り戻した。
元々が立命館大に一般入試で合格したインテリ。数々のバラエティ番組にも引っ張りだこのコメント力も輝きを取り戻した。
6月11日の大阪城ホール大会で今をときめく「ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン」を率いる内藤哲也(35)からIWGPインターコンチネンタル王座のベルトを奪取した際は「まだ死んでなかったでしょ。棚橋は生きているから。休場明けの横綱が強いように、故障明けのホームランバッターがホームラン打つように、少し休んでも、エースはエースだから」と言い切った男は、このG1でも、ここまで6勝2敗、勝ち点12の快進撃を見せている。
超満員4761人の観客を沸かせた8日の試合後もベルトを肩にかけ、「大阪城ホールで俺は今より悪い状態で、このベルトを取って見せたわけだから―。試合勘も戻ってきたし、動けるようになったし。このままなら、俺の勝利は固い。(G1の優勝は)15年以来、2年ぶりか。ちょっくら優勝してきます」と笑顔で言い切った。
そう、「100年に一人の逸材」が今、新日マットに帰ってきた。オカダや内藤に「今でもエースと名乗っている人」と揶揄されたベテランは、11日の東京・両国国技館Aブロック公式戦で勝ち点12同士の内藤との決勝進出をかけた一戦に臨む。その時、リング上での輝きが「一瞬の夏」になるのか、第二の黄金時代へのゴングとなるのか。結論は、もうすぐ出る。