↑全日本プロレスのスポンサー、カーベルの伊藤一正社長
全日本プロレスが盛り返してきた。ジャイアント馬場さんが、日本プロレスを離脱して旗揚げしたのが45年前。マット界の王道を歩んできたが、プロレスリング・ノア旗揚げ、WRESTLE‐1旗揚げなどの分裂劇を経て、決して王道ではなくなっていた。
それが今年になって活気づいている。後楽園ホールの超満員が常態化し、8月27日には両国国技館大会を行う。いずれは“殿堂”日本武道館興行の復活を見据えている。
17日のサマーアクションシリーズ開幕戦でも後楽園ホールは超満員札止めの1595人が入った。メインイベントでは“進撃の大巨人”こと三冠ヘビー級王者・石川修司(41)が、元王者の諏訪魔(40)の挑戦を受け、19分37秒、ジャイアントスラムからの片エビ固めで下し、2度目の防衛に成功した。
石川が5月21日に同会場で王座に就いてから、後楽園の熱気が違う。195センチ、130キロの巨漢は、古き良き全日本の雰囲気たっぷり。大日本プロレスでデスマッチ王者にもなったインディーのたたき上げレスラーだけに、ファンの思い入れも増幅している。
王道の救世主は、リングサイド最前列にもいた。2年前から全日本プロレスのスポンサーになっている「100円レンタカー」のカーベルを一代で築きあげた伊藤一正社長(47)だ。愛媛の少年時代からプロレスファンで、2006年にカーベルを設立し、いろんなプロレス団体を後援してきた。
カーベルが有名になったのは、AKB48グループが女子高生レスラー役で出演して話題になったテレビ朝日系で1日まで放送されていたドラマ「豆腐プロレス」を提供したこと。まだ放送されているCMでは、リングで戦うチェリー宮脇(宮脇咲良、HKT48・AKB48)と道頓堀白間(白間美瑠、NMB48)の間に謎のマスクマンが割って入る設定。実はこのマスクマンの正体が伊藤社長だった。
マスクマンの“カーベル伊藤”は、実際に9日に千葉・Blue Fieldで開催された全日本プロレス「千葉 EXTRA DREAM 16」に参戦。大森隆男とタッグを組み、大久保一樹、原学組と対戦し、見事に勝利している(18分12秒、大森がアックスボンバーで大久保をエビ固め)。伊藤社長は、メキシコでプロレスデビューした経験があり、生半可なアトラクションではなかった。
素顔もなかなかのいい男で、タレントの風見しんご似。しかし、ここまで出過ぎると反発を買いそうなものだが、後楽園のファンを味方につけた瞬間があった。休憩前の8・27両国大会の一部カード発表がスクリーンに映し出される予定が、機材トラブルで間に合わず、奥田亮リングアナウンサーがブーイングに四苦八苦。そこでリングに上がってマイクを握ったのが伊藤社長。
「みなさーん、全日本プロレスをこれからも応援してくれますかー?」「おー」「全日本プロレス最高、とSNSで拡散してくれますかー?」「おー」「たまにはカーベルのホームページも見てくれますかー?」「この後のチャンピオンシップ、盛り上がりましょう」「おー」と見事に間をつなぎ、宴会部長ぶりを発揮した。ファンもカーベルがスポンサーについてから、全日本が右肩上がりになっていることを感じているようだ。伊藤社長に直撃すると「完全なアドリブです」と、機材トラブルで漂う寒い空気に耐えかねた行動だったという。
数年前、レスラーではないオーナーがリングに上がってレスラーに張り手を見舞うという、信じられない暗黒の時代があった全日本。そう言えば、あれは両国だったか。
石川修司にチャンスを与え、カーベル伊藤と友好関係を築いている全日本の秋山準社長(47)の手腕はさすがだ。8・27両国から、日本武道館へと王道がつながるに違いない。(酒井 隆之)
全日本プロレスが盛り返してきた。ジャイアント馬場さんが、日本プロレスを離脱して旗揚げしたのが45年前。マット界の王道を歩んできたが、プロレスリング・ノア旗揚げ、WRESTLE‐1旗揚げなどの分裂劇を経て、決して王道ではなくなっていた。
それが今年になって活気づいている。後楽園ホールの超満員が常態化し、8月27日には両国国技館大会を行う。いずれは“殿堂”日本武道館興行の復活を見据えている。
17日のサマーアクションシリーズ開幕戦でも後楽園ホールは超満員札止めの1595人が入った。メインイベントでは“進撃の大巨人”こと三冠ヘビー級王者・石川修司(41)が、元王者の諏訪魔(40)の挑戦を受け、19分37秒、ジャイアントスラムからの片エビ固めで下し、2度目の防衛に成功した。
石川が5月21日に同会場で王座に就いてから、後楽園の熱気が違う。195センチ、130キロの巨漢は、古き良き全日本の雰囲気たっぷり。大日本プロレスでデスマッチ王者にもなったインディーのたたき上げレスラーだけに、ファンの思い入れも増幅している。
王道の救世主は、リングサイド最前列にもいた。2年前から全日本プロレスのスポンサーになっている「100円レンタカー」のカーベルを一代で築きあげた伊藤一正社長(47)だ。愛媛の少年時代からプロレスファンで、2006年にカーベルを設立し、いろんなプロレス団体を後援してきた。
カーベルが有名になったのは、AKB48グループが女子高生レスラー役で出演して話題になったテレビ朝日系で1日まで放送されていたドラマ「豆腐プロレス」を提供したこと。まだ放送されているCMでは、リングで戦うチェリー宮脇(宮脇咲良、HKT48・AKB48)と道頓堀白間(白間美瑠、NMB48)の間に謎のマスクマンが割って入る設定。実はこのマスクマンの正体が伊藤社長だった。
マスクマンの“カーベル伊藤”は、実際に9日に千葉・Blue Fieldで開催された全日本プロレス「千葉 EXTRA DREAM 16」に参戦。大森隆男とタッグを組み、大久保一樹、原学組と対戦し、見事に勝利している(18分12秒、大森がアックスボンバーで大久保をエビ固め)。伊藤社長は、メキシコでプロレスデビューした経験があり、生半可なアトラクションではなかった。
素顔もなかなかのいい男で、タレントの風見しんご似。しかし、ここまで出過ぎると反発を買いそうなものだが、後楽園のファンを味方につけた瞬間があった。休憩前の8・27両国大会の一部カード発表がスクリーンに映し出される予定が、機材トラブルで間に合わず、奥田亮リングアナウンサーがブーイングに四苦八苦。そこでリングに上がってマイクを握ったのが伊藤社長。
「みなさーん、全日本プロレスをこれからも応援してくれますかー?」「おー」「全日本プロレス最高、とSNSで拡散してくれますかー?」「おー」「たまにはカーベルのホームページも見てくれますかー?」「この後のチャンピオンシップ、盛り上がりましょう」「おー」と見事に間をつなぎ、宴会部長ぶりを発揮した。ファンもカーベルがスポンサーについてから、全日本が右肩上がりになっていることを感じているようだ。伊藤社長に直撃すると「完全なアドリブです」と、機材トラブルで漂う寒い空気に耐えかねた行動だったという。
数年前、レスラーではないオーナーがリングに上がってレスラーに張り手を見舞うという、信じられない暗黒の時代があった全日本。そう言えば、あれは両国だったか。
石川修司にチャンスを与え、カーベル伊藤と友好関係を築いている全日本の秋山準社長(47)の手腕はさすがだ。8・27両国から、日本武道館へと王道がつながるに違いない。(酒井 隆之)