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【巨人】坂本、イチ流の秘打!地面スレスレ芸術的V打「たまたまですよ」

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↑3回1死二、三塁、坂本勇が能見のフォークボールに対応し、中前へ逆転の2点適時打を放つ

 ◆巨人4―1阪神(22日・東京ドーム)

 巨人が逆転勝ちで、同率2位に並んでいた阪神を下した。1点を追う3回1死二、三塁から、坂本勇が中前へ逆転2点打。能見の地面スレスレのフォークをはじき返す、技ありの一打だ。4番・阿部が休養する中で、好調の主将がV打で貫禄を示した。7回は立岡がタイムリー、8回にはマギーが中越え2号ソロで突き放し、先発の田口が7回1失点で今季2勝目を挙げた。1位・広島が敗れたため、0・5差に肉薄。23日にも首位奪取を狙う。

 体全体を使い、地面スレスレの球をバットに乗せた。坂本勇が曲芸的なバッティングを披露した。1点を追う3回1死二、三塁のチャンス。カウント2―2からの5球目を下からすくい上げるように振った。「追い込まれていたので、バットに当てることだけを考えていました」。3球続いた能見のフォークの軌道にタイミングを合わせ中前へ。一気に2者をホームへ呼び込んだ。

 芸術的なバット操作で今季初のV打。「たまたまですよ。結果オーライ。もっと打つべき球を打った方がいい」と謙遜したが、由伸監督は「勇人にしかできないようなというか、僕は高めが好きだったので僕には考えられないヒットだった」と驚きの表情でたたえた。

 二岡打撃コーチは「下半身でしっかり打てている。粘れているから、落ちるボールも拾えている」と分析。試合前には三塁側ベンチ前から左翼スタンドを目がけてロングティーを約20球打ち込んだ。わずかな時間だが、「体を大きく使う」動きを体に染み込ませるための大切な時間。独自のルーチンも生きた。

 昨季は打率3割4分4厘で首位打者に輝いたが、「変えることは怖いけど、ためらっていたら先に進めない」と一念発起。1月のグアム自主トレから打撃フォーム改造に着手した。右肘をたたみ、内側からバットを最短距離で出す「インサイドアウト」を徹底してきた。試行錯誤の成果で、今季18試合で10度のマルチ安打をマーク。この日も3打数1安打で打率3割4分3厘をキープする。数字だけ見れば、好調に映るが、本人は「しっくりきていない。去年の方が良かった」と明かす。

 どうやったら「もっと打てるのか」。背番号6は高みを目指し、悩みながら過去の自分とも戦っている。答えを探りながら打席ごとに足の上げ幅などタイミングの取り方を微妙に変えながら、相手投手と向き合っている。プロ11年目。“曲芸打ち”にはここまで積み重ねてきた経験が凝縮されていた。

 守っても花がある。6回1死の守備では糸井の中前に抜けそうな当たりを好捕。一回転して送球しアウトにする“神プレー”でスタンドを沸かせた。4番・阿部が休養のため不在の中、攻守でチームを盛り上げ、逆転勝ちに導いた。

 指揮官は「慎之助ばかり頼るわけにはいかないし、今日は慎之助抜きでもいいゲームができた。引き続き他の選手は頑張ってほしいね」と期待すれば、坂本勇も「本当に大きいですね。そういう試合に勝ちながら戦っていくことが、長いシーズンで大事になっていく」と呼応した。残り125試合。チームの顔として一戦、一戦、全力を尽くしていく。

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