↑巨人のドラフト1位ルーキー・吉川尚輝内野手
↑ティー打撃を行う吉川尚
ドラフト1位の大卒内野手が、3軍で1年目の春季キャンプを終えた。巨人・吉川尚輝内野手(22)=中京学院大=である。
1月の新人合同自主トレ期間中に上半身のコンディション不良を訴え、別メニュー調整。実力不足ではなく、今年からリハビリ組が3軍に組み込まれたための措置だったが、それでも「ドラ1が3軍」の衝撃度は大きい。その衝撃を一番感じていたのは、本人だったのではないだろうか。
3軍キャンプインを控えた1月下旬のある日。もがき悩んでいる姿を垣間見た。「今は、大学のことは思い出せないですよ。今しか考えられないです」。大学時代のプレースタイルについて取材したとき、返ってきた言葉だ。いつ万全な状態になるのか分からない不安、プロ入りや上京で大きく変わった環境、周囲の期待や反応…。日々、丁寧な取材対応を欠かさない真面目な性格の持ち主だからこそ、抱える悩みも大きかったに違いない。
それでも、日々の練習やリハビリに取り組み、表情や発する言葉にも変化が見られた。キャンプインしたジャイアンツ球場から、2次キャンプを行う宮崎へ移る直前。率直に抱いた言葉をぶつけてみた。「表情が明るくなったね」と。その瞬間、吉川尚の表情が一変した。「そんなことないですよ! それじゃあダメですって」。現状に満足していると思われることを嫌がっての強い否定―。自分の言葉足らずを痛感すると同時に、背番号0の必死さに触れた。
宮崎の2次キャンプでは、温暖な気候が後押しし、順調に調整を進めた。通常通りの練習メニューにも参加し、試合にも出場。取材対応でも冗談を繰り出す場面も多くなった。宮崎でのキャンプを終えた3月2日。「たくさん勉強することもできて、全ての面で成長できた良いキャンプでした」。誰もが認めるようなすがすがしい表情で、キャンプを振り返るドラ1がいた。
プロ入り直後から大きな壁にぶち当たった。当初は大きく悩み、表情に影を落としたが、今は違う。
「プロに入ったら、壁とか打てない時期とかエラーとかつきものなので。そのときは周りからアドバイスをもらってやっていこうと思ってます」
キャンプ後も、3軍での調整が続く。それでも焦りは見せない。「今は3軍でやっている中で準備して、そこで結果を残して、一つずつ上に上がっていきたい」
現状に、開き直っているわけでも、満足しているわけでもない。吉川尚輝は、自分のペースで歩みを進めていく強さを手にした。そう強く思った。
↑ティー打撃を行う吉川尚
ドラフト1位の大卒内野手が、3軍で1年目の春季キャンプを終えた。巨人・吉川尚輝内野手(22)=中京学院大=である。
1月の新人合同自主トレ期間中に上半身のコンディション不良を訴え、別メニュー調整。実力不足ではなく、今年からリハビリ組が3軍に組み込まれたための措置だったが、それでも「ドラ1が3軍」の衝撃度は大きい。その衝撃を一番感じていたのは、本人だったのではないだろうか。
3軍キャンプインを控えた1月下旬のある日。もがき悩んでいる姿を垣間見た。「今は、大学のことは思い出せないですよ。今しか考えられないです」。大学時代のプレースタイルについて取材したとき、返ってきた言葉だ。いつ万全な状態になるのか分からない不安、プロ入りや上京で大きく変わった環境、周囲の期待や反応…。日々、丁寧な取材対応を欠かさない真面目な性格の持ち主だからこそ、抱える悩みも大きかったに違いない。
それでも、日々の練習やリハビリに取り組み、表情や発する言葉にも変化が見られた。キャンプインしたジャイアンツ球場から、2次キャンプを行う宮崎へ移る直前。率直に抱いた言葉をぶつけてみた。「表情が明るくなったね」と。その瞬間、吉川尚の表情が一変した。「そんなことないですよ! それじゃあダメですって」。現状に満足していると思われることを嫌がっての強い否定―。自分の言葉足らずを痛感すると同時に、背番号0の必死さに触れた。
宮崎の2次キャンプでは、温暖な気候が後押しし、順調に調整を進めた。通常通りの練習メニューにも参加し、試合にも出場。取材対応でも冗談を繰り出す場面も多くなった。宮崎でのキャンプを終えた3月2日。「たくさん勉強することもできて、全ての面で成長できた良いキャンプでした」。誰もが認めるようなすがすがしい表情で、キャンプを振り返るドラ1がいた。
プロ入り直後から大きな壁にぶち当たった。当初は大きく悩み、表情に影を落としたが、今は違う。
「プロに入ったら、壁とか打てない時期とかエラーとかつきものなので。そのときは周りからアドバイスをもらってやっていこうと思ってます」
キャンプ後も、3軍での調整が続く。それでも焦りは見せない。「今は3軍でやっている中で準備して、そこで結果を残して、一つずつ上に上がっていきたい」
現状に、開き直っているわけでも、満足しているわけでもない。吉川尚輝は、自分のペースで歩みを進めていく強さを手にした。そう強く思った。