↑「うたのお兄さん」を卒業する横山だいすけ(中央)。左は「うたのお姉さん」の小野あつこ、右は12代目「うたのお兄さん」に就任する花田ゆういちろう
「だいすけおにいさん」の熱い思いが込められた、約1時間の“卒業会見”だった。17日の午後、ネットを駆け巡った速報に、子育て中のお母さん、お父さんから驚きの声が上がった。NHK・Eテレの幼児向け番組「おかあさんといっしょ」(月~土・前8時)の11代目「うたのお兄さん」の横山だいすけが、年度内限りで卒業すると発表された。会見で横山は「うたのお兄さん」への思い、子どもたちに届けたかった勇気、希望など、時折涙を見せ、声を詰まらせながら語った。
「高校生のときから『うたのお兄さん』になるのが夢でした。子どもたちに勇気や希望の歌を届けたい」という横山。初めての収録のことを語り出すと、声が震え、目が赤くなった。「このスタジオで初めて収録するとき、尋常でない緊張で頭が真っ白になった。スタッフが笑顔で子どもたちを迎え入れてくれて、僕らも受け入れてくれて、このスタジオが笑顔で一杯になる瞬間の中で『うたのお兄さん』としていることができて、夢見てきた『うたのお兄さん』が思っていたとおりのお仕事なんだと思い、過ごすことができた」と話した。ノリツッコミで大人も楽しめるコーナー「ナ~ニ君」で見せる“変顔”は好評で、子ども達に数字を教える「かぞえテング」も大人気だった。
9年間務めた大役の間に、自身の人生も左右することが起きた。東日本大震災。多くの子ども達が心に傷を負った。横山は「僕たちの番組は子ども達に近しい存在。『友達』と呼んでいる存在の子ども達が悩んでいるのを見て、どういうことができるのかすごく悩んだ。当時のプロデューサーと何度も何度も話し合いをした。特番で現地に行ったり、スタジオで子ども達が入らない収録もした」と振り返った。当時を思い出すと、壇上の「お兄さん」は目を赤くし言葉に詰まった。そして「その中で自分が大切にしたのは『うたのお兄さん』になった時に先生に言われた『詞を子ども達に届ける。メロディーよりもまず詞を読み込んで届ける』。おかあさんといっしょの歌はシンプルな言葉が多いが、子ども達が聞いて素直に笑えるようにと心に決めて歌いました。その中で『ぼよよん行進曲』という曲を震災の時は魂を込めて歌った。子ども達や親御さんに伝わったというか一つになった瞬間を感じて、歌というのはちゃんと人の心に届くんだなと感じました」と号泣しそうになるのを懸命に堪えて語ってくれた。
こうして子ども達のことをたちを真っ先に考え、愛された横山も“引き際”を考えるようになった。「昨年のさいたまスーパーアリーナと大阪城ホールでのコンサート」だったという。この年からメンバーに加わった「うたのお姉さん」小野あつこと3体のキャラクターたちが、訪れた親子と心が通じ合っているのが見えたという。「Say!good―bye ~明日をみつめて~」という歌を歌っているときに「ずっと楽しい時を過ごしてきたなという思いと、いつかは終わりが来るという思い、笑顔でいられるようにという気持ちを歌いながら、歩んできた道とここで…というのを本能的に感じてしまった」と決断の瞬間を明かした。
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すでにスタジオ収録は終了。「うたのお兄さん」としての仕事は、あと2か所のコンサートを残すのみとなった。放送はスタジオ収録分が3月30日が最終放送、31日と4月1日はコンサートの模様が放送され「朝の顔」が交代する。
今後は「最後の最後まで幕が閉まる瞬間まで『うたのお兄さん』としてできることを」とまずはコンサートに全力投球する。その後は決まっていないことが多いというが「子どもが好きで歌が好き。子どものための歌を歌いたい。生涯、そういうお仕事ができたらいい」と語り、子ども向けのミュージカル出演希望も明かした。
余談ながら、記者の長女が抽選に当たり昨年4月に「おかあさんといっしょ」の収録に参加することができた。当時3歳の娘は撮影後「だいすけおにいさんとあそんだの」と何度もうれしそうに話していた。横山は「子ども達にも本当に素敵なものをいただきました」と語っていたが、「うたのお兄さん」の思いが子ども達に通じていたと確信している。9年間、ご苦労さまでした。あと1か月、毎朝楽しみに視聴します。
「だいすけおにいさん」の熱い思いが込められた、約1時間の“卒業会見”だった。17日の午後、ネットを駆け巡った速報に、子育て中のお母さん、お父さんから驚きの声が上がった。NHK・Eテレの幼児向け番組「おかあさんといっしょ」(月~土・前8時)の11代目「うたのお兄さん」の横山だいすけが、年度内限りで卒業すると発表された。会見で横山は「うたのお兄さん」への思い、子どもたちに届けたかった勇気、希望など、時折涙を見せ、声を詰まらせながら語った。
「高校生のときから『うたのお兄さん』になるのが夢でした。子どもたちに勇気や希望の歌を届けたい」という横山。初めての収録のことを語り出すと、声が震え、目が赤くなった。「このスタジオで初めて収録するとき、尋常でない緊張で頭が真っ白になった。スタッフが笑顔で子どもたちを迎え入れてくれて、僕らも受け入れてくれて、このスタジオが笑顔で一杯になる瞬間の中で『うたのお兄さん』としていることができて、夢見てきた『うたのお兄さん』が思っていたとおりのお仕事なんだと思い、過ごすことができた」と話した。ノリツッコミで大人も楽しめるコーナー「ナ~ニ君」で見せる“変顔”は好評で、子ども達に数字を教える「かぞえテング」も大人気だった。
9年間務めた大役の間に、自身の人生も左右することが起きた。東日本大震災。多くの子ども達が心に傷を負った。横山は「僕たちの番組は子ども達に近しい存在。『友達』と呼んでいる存在の子ども達が悩んでいるのを見て、どういうことができるのかすごく悩んだ。当時のプロデューサーと何度も何度も話し合いをした。特番で現地に行ったり、スタジオで子ども達が入らない収録もした」と振り返った。当時を思い出すと、壇上の「お兄さん」は目を赤くし言葉に詰まった。そして「その中で自分が大切にしたのは『うたのお兄さん』になった時に先生に言われた『詞を子ども達に届ける。メロディーよりもまず詞を読み込んで届ける』。おかあさんといっしょの歌はシンプルな言葉が多いが、子ども達が聞いて素直に笑えるようにと心に決めて歌いました。その中で『ぼよよん行進曲』という曲を震災の時は魂を込めて歌った。子ども達や親御さんに伝わったというか一つになった瞬間を感じて、歌というのはちゃんと人の心に届くんだなと感じました」と号泣しそうになるのを懸命に堪えて語ってくれた。
こうして子ども達のことをたちを真っ先に考え、愛された横山も“引き際”を考えるようになった。「昨年のさいたまスーパーアリーナと大阪城ホールでのコンサート」だったという。この年からメンバーに加わった「うたのお姉さん」小野あつこと3体のキャラクターたちが、訪れた親子と心が通じ合っているのが見えたという。「Say!good―bye ~明日をみつめて~」という歌を歌っているときに「ずっと楽しい時を過ごしてきたなという思いと、いつかは終わりが来るという思い、笑顔でいられるようにという気持ちを歌いながら、歩んできた道とここで…というのを本能的に感じてしまった」と決断の瞬間を明かした。
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すでにスタジオ収録は終了。「うたのお兄さん」としての仕事は、あと2か所のコンサートを残すのみとなった。放送はスタジオ収録分が3月30日が最終放送、31日と4月1日はコンサートの模様が放送され「朝の顔」が交代する。
今後は「最後の最後まで幕が閉まる瞬間まで『うたのお兄さん』としてできることを」とまずはコンサートに全力投球する。その後は決まっていないことが多いというが「子どもが好きで歌が好き。子どものための歌を歌いたい。生涯、そういうお仕事ができたらいい」と語り、子ども向けのミュージカル出演希望も明かした。
余談ながら、記者の長女が抽選に当たり昨年4月に「おかあさんといっしょ」の収録に参加することができた。当時3歳の娘は撮影後「だいすけおにいさんとあそんだの」と何度もうれしそうに話していた。横山は「子ども達にも本当に素敵なものをいただきました」と語っていたが、「うたのお兄さん」の思いが子ども達に通じていたと確信している。9年間、ご苦労さまでした。あと1か月、毎朝楽しみに視聴します。