↑シート打撃で菅野(左)から右中間三塁打を放つ石川(左端は高橋監督=カメラ・小林 泰斗)
↑2打数2安打の活躍に笑顔の石川
パワフルな打撃が売りの「ダイナマイト・シンゴ」こと巨人・石川慎吾外野手(23)が沖縄・那覇での2次キャンプ2日目を迎えた15日、侍のエース撃ちで外野のレギュラー取りへ、猛アピールに成功した。シート打撃で菅野&宮国と対戦し、開幕投手を務める菅野から右中間三塁打、ローテ候補の宮国から中前打を放ち、2打数2安打の活躍。日本ハムから移籍した右のバットマンへ、由伸監督も大きな期待を寄せた。
「ガツーン!」という打球音が那覇の空に鳴り響いた。その瞬間、白球は猛烈な勢いで伸び、右中間を深々と破った。打球の方向を見つめながら、石川がダイヤモンドを激走する。スタンディングのまま悠々と三塁に到達した。パンチ力あふれる打撃から「ダイナマイト・シンゴ」と呼ばれる23歳。侍のエース、巨人の大黒柱から放った一撃には、大きな価値があった。
「自信にはなります。菅野さんという球界を代表する、日本代表のエースから打ててよかった」。シート打撃の第1打席。カウント1―1からの3球目、132キロの甘く入ったスライダーを仕留めた。第2打席は開幕ローテ候補の宮国と対峙(たいじ)。124キロのフォークを中前に打ち返し、マルチ安打とした。外野の定位置争いへ、十分すぎるアピールだった。
昨年11月、日本ハムから移籍。直後、秋季宮崎キャンプに参加すると、韓国・ハンファとの練習試合(サンマリン宮崎)では先制打、決勝2ランの大暴れ。由伸監督の目に留まり、今春の1軍キャンプ抜てきへとつなげた。恩に報いるべく、今回も指揮官の前で勝負強さを発揮した。
打棒に高橋監督は「結果も出たしね。若い選手に練習試合のチャンスを与えようと思っているが、誰を先に使っていこうかの基準になる」と18日のサムスンとの練習試合(那覇)から始まる実戦5試合での優先起用を示唆。村田ヘッドコーチも「ああいう元気で、長打力のあるやつがいればいいよね」と好評価した。練習中には外野から、常に石川の声が響く。泥臭いプレースタイルが身上で、汗だくになって白球を追う。オフにはG球場に通い詰め、新天地での不安を鍛錬することでかき消していった。
「アピールできたかどうかは、僕が判断することじゃない。第三者が決めること。一日一日、後悔のないようにやるだけ。その積み重ねがキャンプだと思います。環境もチームメートも変わりましたけど、やるべきことは変わらない。うまくなりたい気持ちはずっと同じ」。野球少年のような熱き情熱を胸中に秘める。
昨季は1軍で出場12試合にとどまり、結果を残せなかった。それでも堤GMは潜在能力に注目し、獲得に動いた。東京ドームで打つことが、恩返しになる。「僕は走攻守、全てが課題。でもそれだけ、まだまだうまくなると自分で信じているんです。だから無駄な日は一日もない」とシンゴ。大爆発の瞬間まで、貪欲に牙を研ぐ。(長井 毅)
◆各界のダイナマイト
▽「ダイナマイト打線」 1948~49年の大阪タイガースは別当薫、藤村富美男らがそろい、「ダイナマイト打線」と呼ばれた。
▽「KOダイナマイト」 プロボクシング前WBA世界スーパーフェザー級スーパー王者・内山高志=ワタナベ=はパンチ力の強さから「ノックアウト・ダイナマイト」の異名を誇る。
▽「爆弾小僧」 初代タイガーマスク(佐山聡)と名勝負を演じた英国人プロレスラーのダイナマイト・キッドは、妥協なき全力ファイトで人気を博した。
▽「ダイナマイト関西」 女子プロレスラー・ダイナマイト関西は大きな体に京都出身ということから名乗り、アジャ・コングとの死闘で沸かせた。吉本興業が主催するイベントのタイトル名としても使われた。
▽「ダニッシュ・ダイナマイト」 攻撃的なサッカーからデンマーク代表に付いた愛称。86年のメキシコW杯で初出場ながら3試合9得点の爆発力が由来。
▽名曲も 小林旭「ダイナマイトが百五十屯」やSMAP「ダイナマイト」が有名。
◆石川 慎吾(いしかわ・しんご)
★生まれとサイズ 1993年4月27日、大阪府生まれ。23歳。178センチ、76キロ。右投右打。
★球歴 中学時代はジュニアホークスボーイズ(硬式)に所属し、投手として3年夏に全国大会出場。東大阪大柏原高では3年夏に甲子園に。11年ドラフト3位で日本ハム入団。昨秋に大田、公文と吉川光との2対2トレードで、巨人入団。
★スーパー小学生 小5の時に参加した野球教室では、講師役の清原和博氏(当時巨人)を「いい筋肉してるな!」と驚かせた。
★ミラクル中学生 中3時には、背筋力が235キロにまで進化。ジュニアホークスで1学年上だった一二三慎太(東海大相模―元阪神)の160キロを大幅に上回る怪力ぶりだった。
★左キラー 昨季は12試合の出場にとどまったが、15年は西武・菊池から本塁打を放つなど、対左投手で打率3割1分4厘をマーク。“左キラー”の存在感を際立たせた。
★愛されキャラ 昨年11月に巨人移籍が決まった直後、日本ハムの納会ゴルフでは選手会から「トリプルスリーを目指せ!」と書かれたゴルフボールを贈られた。クラブハウス内では登場曲で使用していた関ジャニ∞の「もんじゃいビート」で送り出されるなど、ナインから愛された。
↑2打数2安打の活躍に笑顔の石川
パワフルな打撃が売りの「ダイナマイト・シンゴ」こと巨人・石川慎吾外野手(23)が沖縄・那覇での2次キャンプ2日目を迎えた15日、侍のエース撃ちで外野のレギュラー取りへ、猛アピールに成功した。シート打撃で菅野&宮国と対戦し、開幕投手を務める菅野から右中間三塁打、ローテ候補の宮国から中前打を放ち、2打数2安打の活躍。日本ハムから移籍した右のバットマンへ、由伸監督も大きな期待を寄せた。
「ガツーン!」という打球音が那覇の空に鳴り響いた。その瞬間、白球は猛烈な勢いで伸び、右中間を深々と破った。打球の方向を見つめながら、石川がダイヤモンドを激走する。スタンディングのまま悠々と三塁に到達した。パンチ力あふれる打撃から「ダイナマイト・シンゴ」と呼ばれる23歳。侍のエース、巨人の大黒柱から放った一撃には、大きな価値があった。
「自信にはなります。菅野さんという球界を代表する、日本代表のエースから打ててよかった」。シート打撃の第1打席。カウント1―1からの3球目、132キロの甘く入ったスライダーを仕留めた。第2打席は開幕ローテ候補の宮国と対峙(たいじ)。124キロのフォークを中前に打ち返し、マルチ安打とした。外野の定位置争いへ、十分すぎるアピールだった。
昨年11月、日本ハムから移籍。直後、秋季宮崎キャンプに参加すると、韓国・ハンファとの練習試合(サンマリン宮崎)では先制打、決勝2ランの大暴れ。由伸監督の目に留まり、今春の1軍キャンプ抜てきへとつなげた。恩に報いるべく、今回も指揮官の前で勝負強さを発揮した。
打棒に高橋監督は「結果も出たしね。若い選手に練習試合のチャンスを与えようと思っているが、誰を先に使っていこうかの基準になる」と18日のサムスンとの練習試合(那覇)から始まる実戦5試合での優先起用を示唆。村田ヘッドコーチも「ああいう元気で、長打力のあるやつがいればいいよね」と好評価した。練習中には外野から、常に石川の声が響く。泥臭いプレースタイルが身上で、汗だくになって白球を追う。オフにはG球場に通い詰め、新天地での不安を鍛錬することでかき消していった。
「アピールできたかどうかは、僕が判断することじゃない。第三者が決めること。一日一日、後悔のないようにやるだけ。その積み重ねがキャンプだと思います。環境もチームメートも変わりましたけど、やるべきことは変わらない。うまくなりたい気持ちはずっと同じ」。野球少年のような熱き情熱を胸中に秘める。
昨季は1軍で出場12試合にとどまり、結果を残せなかった。それでも堤GMは潜在能力に注目し、獲得に動いた。東京ドームで打つことが、恩返しになる。「僕は走攻守、全てが課題。でもそれだけ、まだまだうまくなると自分で信じているんです。だから無駄な日は一日もない」とシンゴ。大爆発の瞬間まで、貪欲に牙を研ぐ。(長井 毅)
◆各界のダイナマイト
▽「ダイナマイト打線」 1948~49年の大阪タイガースは別当薫、藤村富美男らがそろい、「ダイナマイト打線」と呼ばれた。
▽「KOダイナマイト」 プロボクシング前WBA世界スーパーフェザー級スーパー王者・内山高志=ワタナベ=はパンチ力の強さから「ノックアウト・ダイナマイト」の異名を誇る。
▽「爆弾小僧」 初代タイガーマスク(佐山聡)と名勝負を演じた英国人プロレスラーのダイナマイト・キッドは、妥協なき全力ファイトで人気を博した。
▽「ダイナマイト関西」 女子プロレスラー・ダイナマイト関西は大きな体に京都出身ということから名乗り、アジャ・コングとの死闘で沸かせた。吉本興業が主催するイベントのタイトル名としても使われた。
▽「ダニッシュ・ダイナマイト」 攻撃的なサッカーからデンマーク代表に付いた愛称。86年のメキシコW杯で初出場ながら3試合9得点の爆発力が由来。
▽名曲も 小林旭「ダイナマイトが百五十屯」やSMAP「ダイナマイト」が有名。
◆石川 慎吾(いしかわ・しんご)
★生まれとサイズ 1993年4月27日、大阪府生まれ。23歳。178センチ、76キロ。右投右打。
★球歴 中学時代はジュニアホークスボーイズ(硬式)に所属し、投手として3年夏に全国大会出場。東大阪大柏原高では3年夏に甲子園に。11年ドラフト3位で日本ハム入団。昨秋に大田、公文と吉川光との2対2トレードで、巨人入団。
★スーパー小学生 小5の時に参加した野球教室では、講師役の清原和博氏(当時巨人)を「いい筋肉してるな!」と驚かせた。
★ミラクル中学生 中3時には、背筋力が235キロにまで進化。ジュニアホークスで1学年上だった一二三慎太(東海大相模―元阪神)の160キロを大幅に上回る怪力ぶりだった。
★左キラー 昨季は12試合の出場にとどまったが、15年は西武・菊池から本塁打を放つなど、対左投手で打率3割1分4厘をマーク。“左キラー”の存在感を際立たせた。
★愛されキャラ 昨年11月に巨人移籍が決まった直後、日本ハムの納会ゴルフでは選手会から「トリプルスリーを目指せ!」と書かれたゴルフボールを贈られた。クラブハウス内では登場曲で使用していた関ジャニ∞の「もんじゃいビート」で送り出されるなど、ナインから愛された。